IT企業にSEとして入社後、現場で働く中で自分の好きを見つけ、現在は社内起業家として活躍されている近藤綾華さん。前編では、社内起業家としての取り組みと学生時代・SEとしてのキャリアについて詳しくお聞きしました。王道のキャリアを歩む中で見えてきた、自分自身の向き・不向き。後編では、プロジェクトマネージャーを目指したきっかけや、PMとしてチームをまとめ、円滑にプロジェクトを進めるための近藤さん流の工夫について伺います。
適正を見極めPMへ。試行錯誤で成功させたkintone事業
前編では、プログラミングの業務を好きになれなかったとお聞きしました。なぜでしょうか。
機能開発のタスクが個人に割り当てられて作業を進めていくのですが、コードを書くこと自体をあまり好きになれず、正体不明のエラーが出た際の原因究明といった技術的な深堀りには、とくに熱が持てませんでした。実装レベルの細部を追求するよりも、もっと上流の仕事、設計や企画などより全体を見る仕事に関心があると気づいたことが理由ですね。
SEならではの探求のプロセスとご自身の関心の方向性が異なっていたのですね。では、PMの道を選んだのはなぜですか。
最初は、SEとしての道を極めるか、PMを目指すかというキャリアパスの中で、「ならばPMに挑戦してみよう」と考えたことがきっかけでした。ですが、実際に現場に立ってみて、プロジェクトを成功に導くという大きなミッションに向けて、メンバーやお客様とコミュニケーションを取りながら、調整を重ね、チームを動かしていく仕事がとても好きだと気づきました。振り返ってみれば、大学時代のアルバイトの経験も、PMの仕事と共通する部分が多く、当時からメンバーに役割を割り当てて共通の目標に向けて作業を進めていく楽しさを感じていたのだと思います。
実際にSEとして現場に立ったからこそ、ご自身の向き不向きが明確になったのですね。UXデザインに関心を持ったきっかけは何がありましたか。
きっかけは、オフィスで使うような業務システムの使い勝手への疑問でした。当時はスマホが普及し始めて、日常では使いやすいものに自然と触れているのに、仕事で使う業務システムには使いづらさを感じることが多くありました。自分が提供する側になるなら、ユーザーが心地よく使えるシステムを作っていきたい。そのように考えて、体験価値を高めていくUXデザインという分野に関心を持ち始めました。
SEとして働く時に感じていた疑問を、新しい領域の学習によって解消しようと考えられたのですね。これまでのキャリアで、印象に残っている出来事を教えてください。
10年ほど前、サイボウズ株式社のkintoneというノーコードでアプリが作れるサービスに出会いました。圧倒的な手軽さと使いやすさに魅力を感じ、社内でまだ誰も取り組んでいない中、サイボウズの担当者とも密にコミュニケーションを重ねながら地道に提案活動を続けました。少しずつ成果が出始めて、お客様への提案から導入後のデリバリーまでを自ら手がけながら、kintoneビジネスを育てていった結果、サイボウズ株式会社からセールスアドバイザ・オブ・ザ・イヤーを受賞することができました。前例のないところから自分で道を切り開いていったこの経験は、いまでも非常に印象に残っています。
kintoneビジネスを進める中で苦労を感じたことはありますか。また、具体的にはどのように開拓していったのですか。
当時はkintoneに興味を持つ人が少なく前例もなかったので、どんな提案方法や使い方講座が良いかを考えるのはとても大変でしたね。社内の方やサイボウズの方など多くの方に協力していただきながら、試行錯誤を重ねていきました。またkintoneの良い所は、プログラミングの知識がなくてもアプリを作れることですが、より使いやすく円滑に業務を進めるためにはプロによるカスタマイズが必要になってきます。この点に着目して、 全体像の設計とカスタマイズ提案をセットで行う提案スタイルをとり、ビジネス拡大を図りました。
プロジェクト成功のための工夫 / 他者との信頼関係の構築
PMとして、プロジェクトを円滑に進めるために工夫していることはありますか。
いろいろあると思いますが、プロジェクト全体を見たときにメンバー全員が同じ方向を向いているかという点が重要だと思います。このプロジェクトでは何を達成するためにやっているのか、最終的に何がどう変わるのか、などの目的を共有するようにしています。プロジェクトの中でも部署や役割によって目的への理解度や温度感が異なることがあります。そういったズレを感じたときは、タスクを進める前にまず対話して目線を揃えることを心がけています。全体として同じ方向を目指せるよう、メンバーへの働きかけを意識しています。
それでも、人同士で行う仕事である以上、プロジェクトが上手く進まないこともあると思います。そのような時、近藤さんはどう対処していますか。
自分の中で意識していることとしては、物事を多角的な視点で見ることがあります。メンバーやお客様など関わる人それぞれの立場から状況を見直したり、ある方法が難しければ全く別のアプローチを検討したりと、問題をより立体的に整理するようにしています。それでも簡単に解決しないこともありますが、何か方法はあるはずと考えるようにしているので、一つの方法が上手くいかなくても別のアプローチを考えて次々と試しています。
多角的な視点で、突破口を見つけているのですね。プロジェクトメンバーとの人間関係を構築する際に意識していることはありますか。
相手にとってやりやすいコミュニケーションスタイルを考えるようにしています。メンバーが作業を進めるためには、どの程度の情報が必要か・どのような期限設定が適切かを、会話を重ねる中で見極めて調整するようにしています。進捗が思わしくない場合も、まずは会話をするように心がけています。遅れている原因がどこにあるかを突き止めて、その要因を取り除く作業をメンバーと共にしています。
今後の展望について教えてください。
いまも挑戦し続けているなかで、使う人が仕事のパートナーとして自然と愛着を持てる、現場の『推し』になるようなプロダクトを作り続けたいという思いがあります。スマホアプリなどでも誰かに勧めたくなるようなものがあると思いますが、そういったものをビジネスの現場でも実現したいです。イノベースでの実現を目指して、開発を続けています。
最後に、やりたいことが見つからない学生へのメッセージをお願いします。
自分の強みや弱み・これからやりたいことの答えは、全て自分の中にあると思います。自分を大切にして、自分に向き合い続けることで次の道が見つかっていくと思います。自分の好き嫌いや得意なものが分からず悩む人もいると思いますが、新卒で入社した時に天職が見つかることの方が珍しいかもしれません。ライフステージの変化によって、自分自身の価値観も変化していくと思うので、その時々に応じて様々なキャリアを選択していくことが自然だと感じています。
取材を終えて
今回の取材を終えて、やりたいことを見つけるタイミングへの意識が大きく変化しました。就活を意識しだしてから、「私のやりたいこと、得意なことってなんだろう?」と、これまでの経験から答えを見つけ出さなければいけない焦りを感じていました。しかし、近藤さんのお話を聞き、入社前に必ずしもやりたいことが見つかっている必要はなく、働く中で見つけていけばいいのだと心が軽くなりました。また「大学時代のアルバイトとPMの役割は共通する部分が多く、当時から楽しさを感じていた」というエピソードが印象的でした。今なんとなく続けているアルバイトやサークルの活動も、実は将来のヒントになっているかもしれない。そう考えると、日常の捉え方が変わりました。これからは過去の経験の中に隠れている好きや得意を大切にしながら、「今」の自分がやりたいこと・向いていそうなことを少しずつ考えていきたいです。 近藤さん、貴重なお話をありがとうございました!(学生記者:りの)

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写真提供:近藤さん

