「将来やりたいことなんてない」「自分が好きなこと・得意なことをまだ見つけられていない」-就活を意識するようになってから、そう悩んでいる人も少なくないのではないでしょうか。今回は、IT企業にSEとして入社後、現場で働く中で自分の好きを見つけ、現在は社内起業家として活躍されている近藤綾華さんにお話を伺いました。アイデアの実現のために、挑戦を続ける近藤さんのお話は、働き始めた後の自分を考えるヒントになるはずです。
現場の『推し』になるサービスを目指して。社内起業家として取り組んでいること
現在の仕事内容を教えてください。
AIを活用した新規事業開発と研究開発の両面に関わっています。
2022年に社内で企業した「イノベース」では、AIを軸にした新規事業のサービス設計や企画、デザイン、マーケティングまでを一気通貫で担当しています。また、研究開発を担うカスタマーイノベーションラボという組織にも所属し、AI技術の検証や業務・サービスへの実装に取り組んでいます。
新規事業では、どのようなサービスを開発しましたか。
最初にAI自動検品サービスを開発しました。例えば、電子機器の中に組み込まれているプリント基板・ネジ・ガラスなどの部品を製造している製造業のお客様は、部品に傷がついていないか・定められた品質を満たしているかなどを目視や従来型の検査装置によって確認していました。この作業は属人化しており、非常に時間もかかることから、写真を撮るだけで部品に問題がないかを判断できる仕組みを画像認識AIによって実現しました。
AIを活用してお客様の業務の効率化を推進しているのですね。現在はどのようなサービスを開発していますか。
現在はプロジェクトの状況を主観的・客観的な情報を組み合わせてAIが分析し、「見える化」するサービスを開発しています。
特に現場の状況は見えにくいことも多いので、早い段階で変化や兆候に気づけるようにして、先手を打てるよう支援したいと考えています。
幅広い事業で、AIを活用されているんですね!社内で起業をすることになったきっかけは何があったのでしょうか。
2022年に始まった社内起業コンテストがきっかけです。上司とAIエンジニアの三人のチームで参加し、選考を勝ち抜いたことで事業化の権利を獲得できました。そこから、イノベースとして活動を開始しました。
選考を勝ち抜いて、新会社を立ち上げられたのですね!イノベースで仕事をする中で、どのようなやりがい、喜びを感じていますか。
イノベースでは、大きな裁量権を持って仕事を進められることが、とても楽しいです。与えられたことだけをこなすのではなく、自分で道を切り開いていくことが好きなので、時代の変化や企業のニーズを考慮しながら考えたサービスを自分たちで実現できることに、やりがいを感じています。
なるほど!自分のアイデアや理想を形に出来る環境なのですね。反対に、苦労を感じることはありますか。
裁量権があってやりがいを感じる反面、自分たちの決定がプロジェクトの成功を左右することが怖いと感じることもあります。自分の判断によって、膨大な時間やリソースが無駄になってしまう可能性があるため、その責任の重さへのプレッシャーもあります。新規事業では前例の少ない意思決定を積み重ねていく必要があり、答えが見えない中で判断しなければならない場面も多いですが、最後は思い切って決断を下すようにしています。
自分で様々なことを決められる分、責任も重大なのですね。AIを扱う事業を担当されていて、急速な発達を続けるツールを扱う上で難しさを感じることはありますか?
AIに関しては、毎日アップデート情報があり進化を続けているので、ついていくのが非常に大変です。そのために、チームメンバーのエンジニアと週に一度共有会を開いて、最新の動向を追いかけています。
近藤さんのこれまで 学生時代から現在のキャリアまで
どんな学生時代を過ごされましたか。
英語系の学部に所属していました。アルバイトは、レストランのホールスタッフとして4年間同じ職場で働きました。そのレストランでは、デザート作り担当・配膳の担当・お皿を下げる担当などの複数の役割に分かれていて、フロントという役職が全体に指示を出していました。実際に自分がフロントになった時に、「いかに早く席を空けて、回転率を上げるか」を考えながら、指示することがとても楽しかったです。
文系出身の学生時代から、IT業界を目指すようになったきっかけは何があったのでしょうか。
最初からIT業界を目指していたわけではありません。幅広い業界の説明会に参加して、自分に合わない業界を見つけていきました。その中で関心を持ったのが、IT業界です。「様々なお客様からの要望を実現するシステムを作る」という概要を聞いて、非常に面白いし、この方法なら私も社会に貢献できそうだと感じました。元々パソコンを触ることが好きだったこともあり、IT業界を選びました。最初は営業職として応募していましたが、人事の方から「エンジニア適性がある」とアドバイスをいただいたことで、システムエンジニア志望へと切り替えて就活を進めました。
就活をしていく中で、関心を持てる業界を見つけられたのですね。入社後は、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。
入社後の半年間は、研修施設でエンジニアとして現場に立つための基礎知識を網羅的に学習しました。その後の半年間は実際の現場で先輩についていきながら実践的に学びました。研修後は、既に出来上がってきたシステムをテストする役割であるテスターから始まり、その後は実際にプログラムを作る・設計を担当するといった役割でプロジェクトに参加し、SEとして王道の経験を積んでいきました。
手厚い研修の後、現場で経験を積んでいったのですね。その後はどのようなキャリアに進みましたか。
その後は、私自身プログラミングがあまり好きではないと気づいたので、4年目からプロジェクトをマネジメントしていく方にキャリアを進めていきました。小さい案件のプロジェクトマネージャー(PM)から始めて、それに並行して、関心を持ったUXデザインを学習し、少しずつ仕事にしていきました。
(学生記者:りの)
SEとして、王道のキャリアを歩む中で気づいた「自分の好きではないこと」。なぜ近藤さんは、マネジメントの世界に飛び込んだのか。後編では、その決断の裏にあった想いと、プロジェクトマネージャー(PM)としての仕事術に迫ります。
写真提供:近藤さん

