毎年応募倍率が3倍を超え、優勝グループには賞金40万円と、政策提言権が送られる7泊8日の『学生のための政策立案コンテスト』。主催する学生団体GEIL(ガイル)で設立以来初の女性代表を務められた荒川恵美さんにお話を伺いました。
「政産官学民」の視点から、現場に即した政策を提言する場を提供
GEILとは、どのような団体ですか?
毎年夏に7泊8日の政策立案コンテストを開催している団体です。政策立案に関する研究を行うケース局、イベント運営の中核を担う運営局、合宿で参加学生を精神面・身体面からサポートする学生対応局、渉外局、広報局、の6つの局に分かれて、コンテストを運営しているんです。
活動拠点である東京大学の学生の他にも、早稲田・慶應・一橋・上智・ICUなど様々な大学のメンバーがいます。
政策立案コンテストのおすすめポイントを教えてください。
推していることが3点あって、1つは長さです。7泊8日192時間もずっと思考し続け、議論し続ける経験は、絶対何かを変えると思うんです。
2つ目は、全国から集まる学生です。理系文系問わず幅広い人がいて、最近だと留学生も多いですね。そこでの出会いは一生ものですし、すごくいい刺激を受けられると思います。
最後は「政産官学民」の視点から、議論ができることですね。官僚、学者、民間の「官学民」という言葉がありますが、それに政界、産業界が加わったものです。
GEILのコンテストでは、官庁訪問、民間企業の現場見学などのフィールドワーク、有識者の人からのヒアリングなどで社会問題に直面している現場の人や、政策を作っている側の考えを聞くことができます。これらによって、机上の空論に止まらない、現場に即した政策を作る工夫をしているんです。
GEILの団体としてのミッションは何ですか?
「政策を通じて人と社会を変える」というのが、ミッションです。政策立案を通じて、いろいろな立場の方との合意形成を行う。そして、社会の現状を知って、社会を変えていく人材を輩出する。そういう人材を増やすとともに学生達の考えや活動自体も発信していくことで、社会全体における社会問題への関心を高め、大人を巻き込みながら社会を変えていくことを目標としています。
福祉国家スウェーデンへの憧れから、日本の政策に興味を持った高校時代
荒川さんがGEILに入ったきっかけを教えてください。
私はもともと、官公庁で働くことに興味があったんです。
そう思ったきっかけは、高校時代までさかのぼります。家庭科の授業で、福祉国家特集のビデオを見たんですよ。そこに登場したスウェーデンの共働きの夫婦が、日本では考えられないくらい解放的で自由な働き方をしていて、二人とも育児をする時間の余裕がありました。私は母が専業主婦で父が夜遅くまで働いているという家庭で育ったので、その光景に衝撃を受けたんです。
それまでとは違う、新しい価値観に出会ったということですね。
「将来こんな生活を実現できるような職業に就きたい」と思いました。ワークライフバランスや少子高齢化問題を改善して、中心から日本全体を変えられるのは官庁じゃないかなと。そこで大学入学後GEILを見つけて、政策について勉強できるぴったりの団体だなと思って、入りました。
初女性代表として新しい風をもたらすとともに、周囲の支えを実感
代表をやってよかったことはなんですか?
すごく大きかったのは、周りの人たちに支えられていることを実感できたことですね。今までは、比較的小規模な団体の代表をやることが多くかったんです。その場合、熱意があるだけでも認めてもらえて、自分でグイグイやって、周りがそれについてくる形で成立していました。
でも80人の団体になると、一人の力では絶対に無理で。あとは、すごく優秀なメンバーがたくさんいる中で、自分は何をするべきか迷っていた時期もありました。そんな中、みんなで一緒に私の役割を考えてくれたり、私のやりたいことに反対意見を持ちつつもついてきてくれたり、周りの人たちがどんなに協力してくれてるかを目に見える形で知った機会でした。
女性初の代表として、周囲からの反応はどうでしたか?
周りの方々に、初めての女性代表ということで注目してもらえたと思います。あと、私の代はそれまでよりも女性の幹部が多かったんですよね。私は、中高時代から委員長とか部長を経験していましたし、前に出ることを躊躇しないタイプなんですが、周りには前に出にくいと感じている女性もいたと思います。そういった人たちに少しでもいい影響を与えられたらなという思いはあったので、それが形になってよかったです。
荒川さんが代表になったことによって、周りの女性のメンバーもモチベートされたんですね。最後に、ハナジョブ読者にメッセージをお願いします。
いろいろなところに足を運ぶことが大切だと思います。一見、自分に関係ないようなことや、興味のない分野にこそ、積極的にアプローチしてほしいです。今はオンラインでできることが増えていますけど、実際に会って人間同士の関係を築くとか、知見を広めたりしておくと、いつかそれが役に立つときが必ず来るんですよ。それって、時間がある学生時代にしかできないと思います。
取材を終えて
今回お話を聞いて、「ついていきたい!」と思わせるようなエネルギーや親しみやすさなど、代表として男女ともに支持された荒川さんの魅力が伝わってきました。
また、政策立案で終わるのではなく、「政策を通じて、社会と人を変えたい」。そんな願いの込められたコンテストが、今後どのような人材を輩出し、社会に影響を与えていくのかとても楽しみです。
政策立案コンテストのお知らせ
学生団体GEIL主催の政策立案コンテストの告知です!
2泊3日で考えていただくテーマは「技能実習生問題」
全国から集まる学生と現在の日本を揺るがせている問題について考え議論してみませんか?
詳細は以下の通りとなっております!
【イベント詳細】
イベント名称: Spring GEIL
日時 : 3月18日(月)~3月20日(水)
場所 : 国立オリンピック記念青少年総合センター
参加資格 : 大学生、大学院生(40名限定)
参加費 : 10,000円
申し込み期限: 2月20日(水)
申し込み方法: 下記HPより、お申し込みください