コーヒーの無限の可能性に魅せられて。研究から開発へ、自分のプランになかった未来が私を変えた(UCC上島珈琲)

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UCCが力を入れている一杯抽出タイプのコーヒーシステム「DRIP POD」の開発で、プロジェクトリーダーに抜擢をされ活躍している植田恵美さん。農学部で植物の研究をしていたことから、研究職で入社しましたがすぐに開発部門へ異動に。商品開発の面白さや、コーヒーへの熱い思いなどをインタビューしました。(2016年3月時点の情報です)

そばにあると心が豊かになる、そんな存在が私の軸

具体的にはどのようなお仕事をしていますか?

現在は、DRIP PODという一杯抽出タイプのコーヒーシステムの企画開発をしています。商品化のために立ち上がった社内プロジェクトに参加してからもうすぐ3年になります。

開発だけではなくて、お客様にどんな風に伝えていくかといったコミュニケーションまで含めて担当しています。入社して半年間は研究職でしたが、半年後に商品開発やマーケティングをする部署に配属されたんです。自分のビジョンになかったことだったので驚きました。

まさかの異動だったんですね! どのような心境でしたか?

最初は驚きましたし、もう少し研究職を続けたかったなと思うときもありました。けれど、すぐに良かったなって思うようになったんです。

マーケティングの部署では、自分たちでブレンドしたり、パッケージをデザインしたりするわけではないんです。社内や社外の人たちに協力してもらい1つのチームを作って、「こういうものを作りたい」「こういうことをお客さまに伝えたい」ということを伝えて、一緒に作っていきます。

研究職のときは視野が狭くなっていたんだなと気づきました。マーケティングの業務に就いて、俯瞰的に物が見られるようになったと思います。会社全体の動きを把握したり、お客様について深く考えたり、この仕事を通じて新しい考え方に出会いました。自分から志願したわけではなかったですが、やりがいのある楽しい仕事だなって思うようになったんです。

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入社当初は研究職だったんですね。どういった軸で就活をしていましたか?

学生のときは、農学部で生物系の勉強をしていました。4年生から研究室に所属して3年間キクの開花生理の研究をしていました。人々の気持ちを豊かにする植物に関わる研究がしたくて、農学部に入ることはずっと決めていたんです。

就職活動では、研究の延長線上にあるものに関われたらいいなと考えて、食品系の会社を探していました。食品の中でも「なくてもいいけどあったらいいな」と思えるようなお酒やコーヒーなどの企業を見ていましたね。

それがないと生きていけないわけではないけれど、あることで心が豊かになるところに魅力を感じました。

その中でもUCCを選んだ理由はなんですか?

UCCはハワイとジャマイカに自社農園を持っているんです。農園を持つことはこのビジネスにおいて必須なわけではないんですよね。それでも、「1本の苗木から1杯のコーヒーとしてお客様へ届けるまでを一貫して手掛ける」という考え方やすべての分野にスペシャリストがいるという活動の広さに強く惹かれました。

もちろん、コーヒーそのものにも興味がありました。コーヒーは文化や政治経済、ファッションなどさまざまなところに関わりを持っているものなんです。一種の植物なのに、それ以上のポテンシャルを持ち、世界規模で影響を与えるものってそうないと思うんですよ。そういうところに研究の視点から興味をもち、縁があって入社しました。

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チームでひとつのゴールを目指す。合言葉は「なんでだろう?」

DRIP PODはどのようにして開発したのでしょうか?

マーケティングの部署だけなく、研究所、工場、営業部門など、いろんな部署の人たちに関わってもらいました。デザイナーさん、資材メーカーさんなど、社内社外関係なくミーティングしながら、課題をみんなで解決していくというスタイルでしたね。

メンバーはほとんど男性で、キャリアや経験のある方が多くいました。女性は私を含めて数人ですね。そんな中でリーダーとなって、私は「わからないことはたくさんあるけど、お客様のことだけはわかる」という立場で取り組みました。

「こういうものをお客様に届けたい」という軸はぶらさず、そのために「あなたには、これをしてほしい」と正確な言葉で伝えることが私の仕事だと思っていて、たくさんの人に助けてもらいながらやってきました。

女性を中心にプロジェクトチームを立ち上げた事例は少ないようですが、大変なことはありましたか?

チームメンバーのほとんどが男性でしたが、だから大変ということはなかったですね。軸は大切にしつつも、あまり理詰めで考えない、その場の雰囲気で考える、煮詰まったときに違う視点で穴を開ける、柔らかくまとめていくという役割もあったのではないかと思います。

男女関係なく、チームで一つのものを作るというゴールを目指したいと思っているんです。もちろん、感覚が伝わらなくて苦労することもありますが、右脳と左脳を上手に使いながら、感覚と論理的な思考を持つよう意識しました。それは女性だからではなく、誰でもそうあってほしいですし、自分自身も両方の力を磨き続けていきたいと思いますね。

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学生時代の経験が仕事に活きた部分はありますか?

考え続けることですね。商品を作るのはすごく難しいことで、心が折れそうになる瞬間もあります。

お客様の心を読みながら、「ああでもないこうでもない」と悩みながら作ることはすごく楽しいですけど、トントン拍子ではいかないですね。壁にぶつかったときは、「なんでだろう」と深く考え続けていました。

学生時代は植物の研究をしていましたが、植物相手なのでしゃべってくれないんですよね。1年に1回しか花が咲かないのでその瞬間を逃してはいけないし、「今だ」ときに走り出さないといけないことを学んでいました。こういう経験から磨かれてくるセンスや、観察眼は活かされていると思うし、強みにしていきたいです。

そんな強みを学生時代に見つけていたんですね! 就活ではそういったことが役立ちましたか?

就活は思い出すと苦労しかなかったですね。氷河期で募集自体が少なく、研究職に絞ったこともあって大変でした。

でも、先ほどの強みも見つけることができたし、自分の棚卸になったと思います。評価するのは人なので、先生や研究室のみんなからどう見えるかを教えてもらって、ノートに書いていましたね。今でもそのノートは持っています。強みを教えてもらうことで、自信を持って面接で話すことができました。

日本人は、人に自分をアピールするのはうまくないと思うんです。でも、会社に入ってからも、自分のこと、商品のこと、会社について「きちっと伝わる言葉で相手に思いを伝えること」は大事だなと実感しています。

美味しさのその先、お客様の心に響く商品を生み出したい

UCCに入社して、もう13年目なんですね!

できることを一生懸命やって積み重ねたら、それだけ時間が経っていました。もう無理って思うこともありましたが、諦めないでやってきましたね。

どうして諦めなかったかというと、楽しみにしてくれるお客様や期待してくれる同僚や先輩に応えたいという気持ちがあったし、乗り越えることで自分も成長できると信じているからですね。辛いこともたくさんあるけれど、純粋に面白くてこんなにやりがいがある仕事ってないと思うんです。

UCCという企業は、本当にコーヒーにこだわっているんですよ。カップから農園までを一貫して見ていて、そこにはそれぞれスペシャリストがいて、私たちもそのスキルを学ぶ機会をどんどん与えてもらっています。

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コーヒーへの情熱が伝わってきました! でも、最近はライバルも多いですよね。

そうですね。最近はいろんなところで手軽に美味しいコーヒーが飲めるようになりました。だから、おいしいのは当たり前で、それをどんな風に楽しめるか、何か新しさを感じてもらえるかなど、そういった付加価値での戦いになりますね。おいしさの先を行くのは大変ですが、UCCは80年の歴史があって全国規模、世界規模で展開しているからこそできることがあると思うんです。

去年、コーヒー鑑定士という資格を取るためにブラジルに行かせてもらいました。そこで、1杯のコーヒーができあがるまでに、どれだけの人の手と技術が重ね合わせられているのかを学びました。そういったことをお客様に知ってもらえたら、もっと1杯のコーヒーを大事に飲んでくれるかなって思っています。

DRIP PODを完成させた今、次の目標はなんですか?

商品作りの経験をもっともっと重ねていきたいですね。お客様の心に響くような商品を作りたいと思っています。

そのためにも独りよがりにならず、ビジョンに向かってものごとや人を導いていけるようなスキルとセンス、そして何より人間性をキャリアの中で磨けていけたらなと思います。

最後にハナジョブ読者にメッセージをお願いします。

いろんな意味で人と深く付き合って、関わってほしいなと思います。

おそらく1人でできる仕事ってほとんどないと思うんですよ。それに、どんな仕事も必ずお客様はいるので、お客様の心を読んでいくという点でも人から目を離してはいけないと思います。

関わりの中で観察する目だったり、気持ちを読む心だったり、そういうのを感じ取ってほしいんです。でも、やってみようと思ってもなかなかできないから、積み重ねだと思いますね。

学生の間は、いろんな人と関わる時間も環境もあるから、人とのつながりを学んでいってほしいです。そのつながりは、いつか自分を助けてくれる存在になると思います。

インタビューを終えて

若い女性リーダーとして全力を出す植田さんの姿を見て「私もこうなれたらいいな」と思うことができたし、ハナジョブ読者の背中も押すような言葉がたくさんあったと思います。また、理系ならではの視点もあり、理系女子の働き方の1つとして学ぶことがたくさんあったインタビューでした。

学生記者:田中萌奈

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企業紹介

レギュラーコーヒー国内最大手のUCCグループの企業。生産国の直営農園で苗木を育てることから、原料調達、輸入、研究開発・品質保証、製造、製品・販売、さらには文化の創出に至るまで、世界唯一の『カップから農園まで』一貫したコーヒー事業を展開

Webサイトはこちら→http://www.ucc.co.jp/

「DRIP POD」のサイトはこちら→https://www.ucc.co.jp/drip-pod/

ハナジョブ企画運営:NPO法人ハナラボ

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About Author

田中萌奈

笑顔、察するパワー、チャレンジ精神!の3つを強みにして21年間生きてきました。小さな頃から沢山見ていたディズニー映画とカフェのバイトを通して魅力に気がついた珈琲が大好きで、3つの強みが生まれたきっかけにもなっています。大学では法律を学び、ゼミでは毎週模擬裁判を行っています。何故かいつもくじ引きで被告になってしまう訴えられ女子です。「女性として」働く事を真剣に考えたい、同じことを考えている女子大生の皆さんに何か発信したいと思った結果ハナジョブに参加することになりました!学生記者だからこそ届けられる思いを伝えていきたいです。

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