酸いも甘いも知っているからこそいえる、仕事において大切なこと
仕事をこなすうえで、大切にしてきた思いはありますか?
まずは「覚悟」。自分の考えや意見に沿って強い信念を持って行動することを常に意識していました。次に「鈍感力」。役割によっては修羅場も経験しますし、批判を受けることもあります。でも、これを「自分が責められているわけではなく、仕事に対して意見を言われているんだ」と考えて乗り越えてきました。落ち込んでいても気にしないふりができる、つまり「鈍感なふりができる」技を身につけることが重要だと思います。
鈍感力が必要だと感じたのはいつごろですか。
管理職になってからです。上司が落ち込んでいたら、組織は立ち行かなくなるんですよね。もちろん自分が傷ついていないわけではないんですけれど、「家に帰って泣けばいいや。だけど会社では絶対に泣かない」みたいな意地がありましたね。どんな事があっても顔に出さない。それが管理職に必要なことだと思います。
他にはどんなものを大切にしてきましたか?
人脈とチームワークです。組織の業務を活性化するために、いろんなことに積極的に参加してネットワークを築き、より多くの情報を得る努力をしていました。チームワークは仕事を進めていく上で1番大切で、対話と尊重を心掛けていました。最後は「オンリーワンになる」こと。小さなことでもいいので私じゃないとできないもの、「これは陶山に聞いてみよう」と思われるような存在になることを心掛けてきました。
チャンスは自分から掴みにいくもの。自分に自信を持って!
リーダーシップを発揮して活躍したいと考えている学生に向けて、メッセージをお願いします。
社会人としてこれからステップアップしたいと思っている方こそ、いろんな壁にぶつかると思います。他人と比較して自信をなくし、落ち込むこともあるかと思います。そんなときこそ他人との違いをすべて「個性」として受け入れて、良い方向に伸ばしてほしいです。磨きをかけた個性を持って楽しみながら、しなやかに挑戦していただきたいです。そしてチャンスが巡ってきたら、躊躇することなく自信をもって「真っ先にやります!」と言うこと。バッターボックスに立たないと何事も始まりません。それを意識して頑張ってくだされば、企業の多様性の力として活躍することができるはずです。
チャンスを自分からつかみにいくうえで、陶山さんが意識してきたことはありますか?
チャンスは人から与えられるものではなく、自分から掴みに行くものだと考えています。ですが素晴らしいチャンスが目の前に来ていても、見過ごしてしまう人って結構いると思うんですよ。それはその人の持つ情報量が少ないから。判断材料となる情報の引き出しが常に自分の中にあれば、チャンスを自分で掴みに行けると思うんです。とにかくいろいろな情報を引き出しに用意しておくことで、自分にとって素敵なチャンスを掴むことができると思います。
ありがとうございます。最後に、ハナジョブ読者へのメッセージをお願いします。
私は常に仕事に夢を持つようにしてきました。夢は叶えてもらうものではなく、自分で叶えにいくもの。夢を持つことで受動的ではなくて能動的に、ネガティブではなくポジティブに行動ができるようになると思います。ぜひ仕事だけでなく、プライベートにおいても「こうなりたい、こうしたいな」っていうものを常に持って取り組んでほしいです。皆さんに期待しています!
取材を終えて
陶山さんの「女性初」という肩書きの裏には、たくさんの努力や仕事に対する工夫がありました。目前に近づく社会人生活。私も陶山さんのように信念を持っていろんなことに「挑戦」し続けたいと思います。今回の取材にあたり、ご尽力いただいた陶山さなえさんをはじめ、秋田県庁の皆さんありがとうございました!
写真提供:陶山さん
陶山さなえさん
1957年生まれ。79年、安田火災海上保険(現・損保ジャパン)に一般職として入社。95年に総合職に転換。2008年部長、2013年執行役員を経て、2017年にSOMPO企業保険金サポート、2019年にはSOMPOコミュニケーションズの代表取締役社長に就任。2021年7月に現職の秋田県理事に就任。庁内外での女性活躍や男女共同参画の推進を担う。