3人のお子さんを育てながら、講談社で編集長として働く浅野聡子さん。小さい頃から読書が大好きで、なんと、今でも月に20冊もの本を読んでいるそうです。いったい、多忙な日々のなかでどのように時間を使っているのでしょうか。「編集者になりたい」という夢を叶えていきいきと働くうらには、どのような思いがあるのでしょうか。浅野さんの素顔に迫ります。
「失敗なんて数えきれない」新人時代の過酷な経験が、今の自分の糧になっている
現在の仕事内容を教えてください。
「たのしい幼稚園」という子ども向け雑誌の編集部で、編集長として働いています。雑誌の編集者はディレクターのような役割で、編集者を起点としてライター、スタイリスト、ヘアメイク、モデルなど、本の制作にかかわる人々を束ね、ページを作っていきます。その他、付録の企画なども行います。
入社してからずっと子ども向け雑誌の編集をされていたんですか?
入社当初は、希望が叶い、女性誌「With」のファッション班への配属でした。
新人の時はいろいろなことを経験できましたが、本当に辛かったです。新人に対するあたりが強かったり、夜遅くまで仕事をしたり。それで泣いてしまうこともありましたし、失敗も、数えきれないほどしましたよ。今と違って「パワハラ」という言葉がほぼない時代でしたから、新入社員は大変でした。
そうだったんですね。今、当時を振り返ってみてどう思いますか?
当時の経験が、今の自分の糧になっていますね。今は働き方のバランスが重視されている時代なので少し言いづらいですが、歯を食いしばってでも、諦めずにやらないと身につかない時期ってあるんですよ。もちろん、ワークライフバランスもとても大事です。でも、それだけでは超えられない壁もある、と私は考えています。大変な日々でしたが、経験できてよかったです。
「歯を食いしばってでもやる」、胸に刻んでおきます。では、大変な日々の中でも、諦めずにいられた原動力は何ですか?
もともと、すっごく負けず嫌いでせっかちなタイプなんですよ。あとは、小さな頃から本当につきたい仕事につけた!という喜びが原動力でしたね。私は就職氷河期に就職活動をしていて、そんな中で一番入りたかった会社に入れたので、恩を返したいと思って一生懸命働きました。当時は若くて馬力もあったので、無茶も効きましたが、今、寝ないでやるのは絶対に無理です(笑)。
会社に対して、感謝の気持ちがあるんですね。諦めずに続けた結果、どんなことが得られましたか?
自分の中に知見がたまって、昔はうまく操縦できなかった自分の能力を、自由に動かせるようになりました。それがすごく気持ちいいです(笑)。経験値がたまると、「こういうパターンの時にはこうする」というのが分かるようになるんですよね。昔は「やりたい」と思っても力不足できないことが沢山ありましたが、今はやりたいことができるようになって、すごく楽しいです。
では、仕事をする上で気を付けていることは何ですか?
生活している中で感じたことを仕事に活かすようにしていますね。私は子どもが3人いて、今作っている雑誌は、購入者の立場でもあるんです。なので、子育て世代の親御さんたちを裏切るようなページを作らないよう、強く意識しています。
特に小さい子たちって喜び方がダイレクトなので、「本を抱っこして寝てます!」なんて聞くと、本当に嬉しくなりますね。