みなさんは、普段どのようにニュースを見ていますか?
昨今では、インターネットでニュースを見ている人も多いのではないでしょうか。
今回は、最も有名なインターネットメディアの1つであるBuzzFeed Japanでご活躍されている、小林明子さんにお話を伺いました。過去に新聞社や出版社で働いていた経験から、インターネットメディアで働く面白さや苦労について語ってくださいました。
ワークの理由とライフの理由で決めた2度の転職
現在のお仕事の内容を教えていただけますか。
BuzzFeed Japanというインターネットメディアで、ニュース部門の編集長をしています。記者としての仕事とは別に、ニュース部門の編集長としてニュース部門にいる記者や記事をチェックしているエディターのマネジメントや、動画部門など、社内の他の部門との連携を取ったりしています。
新卒で毎日新聞社に入った後、朝日新聞出版に転職されたそうですが、どういったきっかけで転職されたのですか。
よく新聞に投書していたくらい、元々文章を書くことが好きでした。社会問題について発信することで、社会を少しでも変えられる新聞記者という仕事を面白そうだと感じたことから、毎日新聞社に入社しました。全国紙の記者には転勤がつきものです。24歳のときに同じく全国紙の記者と結婚して、夫婦どちらとも転勤がありえる状況になりました。どちらかが同じ場所で仕事をし続けた方が、将来的に展望が描けるのではないかと思ったことが転職のきっかけです。これがライフの理由です。
ワークの理由は、仕事のハードさからです。午前3時ごろまで取材をして、昼間は車で寝る、という生活を続けていた28才のある日、白髪を見つけてしまったんです。それから、自分が興味のあるダイバーシティやジェンダーについて書ける場は新聞以外にもあるのではないかと考えるようになりました。そして新聞社を辞めてフリーライターを経験した後、朝日新聞出版のAERAに転職しました。
その後、BuzzFeed Japanに転職されたそうですが、どういったきっかけだったのでしょうか。
前職のAERAでは自分のやりたい仕事ができていましたし、毎日新聞社に勤めていたときよりも仕事と生活が両立しやすい環境でした。ただ、校了日には仕事が午前0時ごろまで続き、まだ小さい子どもの世話との両立が難しかったです。働き方改革を提案してみたりもしたのですが、自分1人の都合では変えられない部分もあったので、もっと柔軟に働ける仕事はないかと探すようになりました。これがライフの理由です。
ワークの理由としては、インターネットに将来性を見出していたからです。インターネットが急速に発達していく中で、果たして自分たちの子ども世代はニュースを紙媒体で読むのだろうかと考えるようになりました。若い世代に良質なニュースを届けるために、新しい形のメディアでの発信に挑戦してもいいのではないかと思っていたときに、BuzzFeed Japanの社員から直接お誘いを受けたこともあり、転職を決めました。
BuzzFeed Japanで働くようになってからは、ワークとライフは両立できていますか。
子どもが大きくなっていることもあり、今はしっかり両立できています。新型コロナウイルスの影響で、完全在宅勤務に切り替わったことも大きいです。また、退勤を必ず6時、遅くても7時と決めて働くなど、突発的なことがない限りは自分も他のメンバーも効率的に時間を使うことを心がけています。
多様性は諸刃の刃
仕事の楽しさややりがいを感じるのはどういったときですか。
BuzzFeed Japanには、今まで私が一緒に仕事をした経験のない職歴の人や若い世代の人、また外国出身の人もいて、バックグラウンドが非常に多様なんです。そういう多様なメンバーと一緒に何か1つのものを創ることが楽しいですね。例えば、ニュースのライブ番組を作りたいと思ったとき、自分はそこに呼ぶゲストや扱うテーマを考えることはできますが、そのライブの配信方法や効果的なデザインにはあまり詳しくありません。でも、自分が分からないことを得意としている人が会社の中に必ずいます。会社にいる多様なメンバーと協力することによって、自分1人ではできなかったことができるようになっていくのは、楽しく、やりがいがありますね。会社員の良さはまさにこういうところだと思っています。
反対に、仕事上で苦労を感じることはありますか。
メンバーが多様であるが故に、自分が思っていることが相手にうまく伝わらなかったり、皆のやりたいことが違ったりしてしまうこともあるんです。多様性は、それぞれの良いところや強みを活かすために必要ですが、各々が好きなことを好きなように捉えて仕事をしているとチームがまとまらなくなってしまいます。ですので、マネジメントの立場として、「あの人にはこういう風な言い方をしたら分かってもらえるのでは」「多分わかってると思うけど、もう1回念を押して言っておこうか」というように、失敗を重ねながらもコミュニケーションの取り方を工夫しています。