半導体製造装置向けロボットの営業をしている安川電機の前田香織さん。アメリカで働くなど、さまざまな環境の変化に対応し、半導体のスペシャリストとしてご活躍されています。そんな前田さんに今後の産業用ロボット業界のこと、仕事の魅力などを伺いました。
お客さんと未来のロボットを繋ぐ
現在のお仕事内容を教えてください。
半導体製造装置向けロボットとモーターの営業です。簡単に言うと、「半導体を製造する装置に使う製品」を売っています。BtoBの企業なので、基本的には担当の取引先に訪問して、製品を提案します。
「半導体を製造する装置」のメーカーが、安川電機のお客さまにあたります。装置メーカーは3年に1回程度のスパンで新しい装置をリリースします。新しい装置に当社の製品を採用してもらえるように、日々情報収集しています。適切なタイミングで、お客さまの求める評価機(完成する前の製品)を持っていけるかがカギなんです。
スパンの長い仕事なんですね!仕事をしていて一番楽しい瞬間はいつですか。
営業なので、やっぱり注文をもらったときですね!自分が種をまいて育てて花が咲いたときが一番嬉しいです。それに勝るものはないですね。といっても、評価機が採用されてから改良や調整を行って、最終的に使われるのは2〜3年後なんですけどね。
お仕事の苦労を教えてもらえますか。
お客様に怒られることもありますし、仕事で大変だなと思うことは多々ありますよ。でも、お客さんと話すことは楽しいですね。
製品を購入してもらえればもちろんいいのですが、買ってもらえなかったとしてもお客さんの声を直接聞けるのは営業ならではで、やりがいを感じています。
お客さんの困りごとや、こんなのあったらいいなという声が、次世代ロボットの開発に繋がることもあるので、そこも嬉しいです。
お客さんに一番近い存在なんですね。元々半導体に興味があったんですか。
初めて入った企業で、たまたま半導体のロボットや装置の営業に関わることになりました。それから約15年間、半導体に関する仕事をしています。私は文系ですが、お客さんは基本的に技術系の方。知識を頭に入れておかないと相手にしてもらえないので、日々勉強しています。
半導体のスペシャリストですね!長年、ロボットに関わってきた前田さんが考える、ロボットの魅力ってなんですか。
ロボットって何でもできると思っている人も多いかと思いますが、実は万能ではないんです。普段なかなか気づきづらいと思うんですが、人間ってすごいんですよ!!
人間だったら、何も考えずに物をつかんだりできますが、それをロボットでやろうと思うと、細かいプログラミングが必要だったり、装置自体を変えなくてはならなかったりで、とても複雑なんです。
最近ではAIを活用してロボットを動かせるようになってきていますが、器用な動きは人間の方が優れていることが多いです。それでも、ロボットにしかできないこともあります。例えば、重いものを持つとか、24時間働くことができるとか。ロボットを使うメリットもたくさんあるので、人間とロボットがうまくすみ分けられたら、世の中のロボット化も進むのではないかと思います。