経験を積み重ねていくことで整理できた気持ち
今は記者として迷いはありますか?
今はないですが、入社して3年目ぐらいまではかなり迷いがありました。初めは事件、事故の取材が多くて、嫌がられるような取材に意味があるのかなとか、自分がやったことが何かの役に立っているのかなとか、葛藤がありました。
気持ちの整理がつくようになったのは、やはり年数の積み重ねが大きいですか?
そうですね。年数を積み重ねて、役に立つこともあると思えるようになりました。嫌がる方への取材に対しては今でも悩むことはありますが、葛藤しながらやっていくというのが私の答えです。
今現在、記者という仕事はどういうものだと思っていますか?
難しいですが、必要な仕事だと思いますね。市民に情報が届かないというのは問題なので、情報を伝える人として社会に必要なんじゃないかなと私は思っています。
今後どんな記事を書いていきたいと思いますか?
今は総務省担当なので、制度についてできるだけわかりやすく伝えていきたいですね。制度の話は抽象的でわかりにくいですが、歴史的背景を紐解くとなぜ現在の制度になったのかを理解できるんです。
学生に向けてのメッセージ
実は私も記者職に興味があります。これから同じ仕事に就きたい人に対して伝えたいことがあればお聞きしたいです。
先ほどもお話しましたが、記者は葛藤が生じる職業です。そういう部分では大変かもしれませんが、自分が興味を持ったこと、すごいと思うことを記事にして発信できるのでやりがいはとてもありますね。だから、やりたいのであればぜひ目指してほしいという気持ちです。自分が理解した上でわかりやすい文章としてアウトプットするのは、面白い作業なんですよ。 どんな仕事でも2年程したら「自分が思っていたものと違う」と壁にぶつかることはあると思うんですよね。でも、その職業に自分が希望を持っているなら、続けてほしいです。壁はどこかで乗り越えないとその先にはいけないですし、そこを乗り越えると見えてくる世界が違ってくるのかなと。
最後に学生にメッセージをお願いします。
学生のときは本当にいろんなチャレンジができる時期だと思います。自分が向いているとか向いていないとか、そういうのをあまり気にせずにトライしたらいいかなと。サークルでもバイトでも本業の学業でも何でもいいですしね。どんな過ごし方をしても自分の経験になると思うので、やりたいなと思ったことは躊躇せずにやってみたらいいと思います。
取材を終えて
世間ではマスコミの負の側面がクローズアップされ、私も記者職にはわりとハードなイメージをもっており、現役の記者の方がどんな思いをもって働かれているのか気になっていました。 今回、共同通信社の藤元さんにお話を伺いましたが、あくまでも謙虚に丁寧にご自身の仕事を振り返ってお話される姿がとても印象的でした。同時に、非常にハードな地方勤務や、2人の子育てと記者仕事の両立してきた藤元さんのタフさには驚きました! 多くの経験を重ねた今でも悩みながら、必要性や魅力を感じて、記者を続けていらっしゃる藤元さんに話を伺うことができて、自分にとっていろんな学びがありました。お忙しい中、お時間いただきありがとうございました。
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