「コミュニケーション力を活かせる仕事に就きたいけど、どんな仕事があるんだろう?」と思ったことはありませんか?今回はその答えの一つ、「購買」のお仕事を紹介します。 アメリカの大学生活で培った英語力、添乗員で育んだオープンマインドとコミュニケーション力、これらの経験が全て繋がってSTEM分野で活躍する高根さんのお話を伺いました!
人生はチャレンジの連続
現在どのような仕事をされていますか?
日本フィッシャ株式会社の佐倉工場で、購買課の課長として働いています。発電所や工場の配管に取り付けるバルブを製造していて、そのための部品や素材をメーカーから調達することが私たちの仕事です。取引先は国内50社、海外100社を超え、英語はもちろんのこと、コミュニケーション能力や交渉力が重要になります。
アメリカの大学へ進学して英語力を磨いた経験が生かされているのですね。そもそもアメリカの大学へなぜ行こうと思ったのでしょうか?
幼い頃、家にオーストラリアからの交換留学生が来ていて、英語にとても興味を持っていました。日本の大学で学ぶこともできましたが、受験勉強をするうちに勉強でなく英会話をできるようになりたいという思いが強くなり、アメリカの大学に進学することにしました。
費用を計算して親にアメリカに行かせてください、と交渉したり、雑誌で情報を見つけて電話をして面接に行ったりと、山に囲まれた田舎で情報がない中、とにかく自分で動いて実現できました。
大学でトラベルツーリズムを学ばれたのですよね。なぜこの専攻を選んだのですか?
最初はリベラルアーツという一般教養を専攻していたのですが、夏休みは学校が閉鎖されてしまうんです。それで、夏休みに授業を受けられる学校を探していたら、トラベルツーリズムのコースを見つけて、これ行きたい!と直感で思いました。実際に行ってみたらとても面白く、アメリカ人のルームメイトとも仲良くなり、夏休み後もずっとそこに通って卒業しました。
小さい頃からのキャビアアテンダントになりたいという夢や、アメリカの生活で様々な国の人と出会い、それぞれの文化や考え方を知るうちにもっと海外について知りたいという思いがあったので、観光に興味を持っていました。
大学卒業後、日本の旅行会社で添乗員のお仕事に就いたと聞きました。そこから転職しようと思ったきっかけはなんでしたか?
自分では中々行けない高級なホテルに泊まったり、世界中を年間200日回ることができて、添乗員の仕事はとても楽しかったです。
ただ20代後半になったとき、周りの友達が結婚しだし、インターネットが普及し始め情報に敏感にならなければ、と焦りが重なりました。そんな時、帰国したら日本の政権がいつの間にか変わっていて、このままほとんどの時間を海外で過ごしていたら社会から取り残されてしまうと思いました。そこで、日本で働こうと転職を決心しました。
様々な人との連携プレーがポイント!購買課の仕事
国際宅配便の会社へ転職されてから、もう一度転職をして現在の会社で働き始めたのですよね?
現在の会社は派遣社員からスタートしました。40歳を過ぎていたので、転職なんて無理だろうと派遣を選びましたが、働く中で正社員になるチャンスがまだあるんじゃないかと思い始めました。求人サイトで探していたら、ちょうど私の部署で正社員を募集していたので会社に話したらとんとん拍子に面接になり、正社員として採用していただきました。
購買課はどのような仕事をするのでしょうか
様々な部品や素材を調達するのですが、納期が間に合わなそう・丁度良い物が見つからないなどの問題に対処しなければなりません。この素材がダメならこっちの素材で代用できる!発注しなくても工場で作れる!などなど、一見解決策が見つからなくても上司や他の部署の人含めあらゆる人と相談して乗り越えてきました。
購買課だけで判断はできないので、技術の人や品質保証の人との連携も大切です。
技術系の経験がない中、機械の会社で活躍する秘訣はなんですか?
私自身理系の勉強をしてこなかったので、その都度分からないことは積極的に聞いて教えてもらっています。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、本当にこれにつきますね。
添乗員として見知らぬ海外の土地で案内しないといけない時に、バスの運転手さんやお土産屋さんなど色んな人に聞いて助けてもらってきた経験が、今に生きているなと感じます。
若手リーダーを育てたい!課長としての環境づくり
現在課長として働かれていて、やりがいはなんですか?
メンバーが様々なトラブルを抱えるのですが、それをみんなで協力して取り組むことがとても楽しいです。失敗をしたらオープンにみんなで話し合い、原因を考えて次はどうするのかを決めます。意識の違いをすり合わせることも重要です。
一緒に解決してくれるリーダーがいるからこそ、社員がのびのび働けるんですね。では、心がけていることはなんですか?
正直に、誠実でいることです。ダメなことはダメ、失敗したら失敗したと報告を怠らないようにしています。でないと後輩たちはついてきてくれないと肝に銘じています。
そうしているからこそ、ミスに気づいた時にみんなで正直にレビューをして、次の仕事に繋げていけます。
なるほど、部下の育成にとても力を入れていらっしゃるように感じます。
はい、若い世代がリーダーとしての能力を育める環境づくりに注力しています。勉強会を開いて、若手にトレーナーとして得意分野のノウハウをみんなに教える機会を作っています。
若手の成長に力を入れているのはなぜなのでしょうか?
私は50歳の時に課長になったんですが、それでは遅いと感じていて。30代や40代からリーダー職に就いて、もっと会社を引っ張ってくれる人が必要だと思い、早く次のリーダーを育てるべく活動しています。若い人が活躍できる会社にしていきたいですね。
最後に学生へのメッセージをお願いします。
将来を心配しすぎず、チャレンジしてほしいです。20年ほど前、私の周囲では、出産したら女性は会社を辞める傾向にありました。そして時代が移り変わり、子育てしながらもマネージャー、ディレクタークラスのバリバリ働いている女性が周りに出てきました。前例はたくさんあります!なので、心配しすぎず何事にもチャレンジして働いてほしいです。
取材を終えて
その時感じたことに正直に、パワフルに様々なことに挑戦する高根さん。結果経験が積み重なり現在のお仕事にそれら全てが活きている様を目の当たりにして、計画を綿密に練って自分を縛りすぎず、今の自分の声に耳を傾けて行動に移すことの大切さを学びました。
日本フィッシャ株式会社
巨大プラントに用いられるコントロールバルブやレギュレーター、インテリジェントポジショナーなどのプロセス制御機器の製造や販売および輸出入を行っています。グローバルイノベーターとして、世界をより健康で、より安全で、よりスマートで、より地球環境に配慮したイノベーションを推進していきます。
写真提供:高根さん