みなさんは、ラベルがついていないペットボトル商品を見たことはありますか?環境への配慮と手間を省けるメリットが、今話題をよんでいます。 今回は、そんな“ラベルレスボトル”を業界に先駆けて開発・発売されたアサヒ飲料株式会社で、マーケティング本部マーケティング二部お茶・水グループ主任を務める荒巻美奈さんにお話を伺いました。ラベルレスボトル開発の始まりとは?そもそもマーケティング部門の仕事とは?常に誰かの視点を意識されている荒巻さんのお話は、きっと女子学生のみなさんへのヒントになります!
営業から未経験のマーケティングへ。仕事をしながら知識をつけていった
荒巻さんの現在のお仕事について教えてください。
マーケティング本部マーケティング二部のお茶・水グループで担当ブランド・商品の戦略や、企画を担当しています。私は期間限定の商品を担当することも多いので、新しいフレーバーやコンセプトを検討した上で、味の開発を研究所の担当者と相談したり、外装についてデザイナーさんとやり取りをしたりして、商品を作り上げていくというのが仕事内容になります。
入社してからずっとマーケティングの仕事をされていたのですか?
弊社の採用は営業職と技術職に分かれていて、私は営業職採用でしたので、入社から最初の2年間は営業の仕事をしていました。自社商品の営業活動や、新しいイベントやプロモーション活動があるときは担当するエリアの量販店に提案をしていました。
もともとマーケティングに関することを大学で学んでいらっしゃったのですか?
大学では人間工学を専攻していて、「人がより使いやすいものってどんなものだろう」とか、「心地よいものってどういうものだろう」ということを学んでいました。また、大学で所属していたスポーツ新聞部の活動を通して、みんなで何かを作ることや、出来た物を手に取っていただいた方のリアクションを見ることにやりがいを感じていたので、将来的にはマーケティングや商品開発の仕事に携わりたいとは思っていました。
では異動されてからマーケティングの知識をつけていったのですね。
はい。マーケティングの知識がまだ浅いうちは、自分が思っていることを相手に伝えることが難しいなと思っていました。ただ時間が経ってくると、関連する部門の担当者との関係性が築けるようになり、事前にいろいろなことを調べて自分がやりたいことを実現するための素材集めが出来ることが増えてきました。今、振り返ると周りの方に支えていただき、少しずつでも成長できてきているのかなと感じますね。
お客様のメリットを追求し、たくさんの人に働きかけた“ラベルレスボトル”
現在の部署では今までどのような商品を担当されていたのですか?
入社3年目からマーケティング本部に異動になり、最初は「十六茶」ブランドの商品の企画を担当しました。その後に希釈用の「カルピス※」や、「ぐんぐんグルト」など乳性・乳酸菌飲料の商品企画を昨年まで担当していました。現在は、「アサヒ おいしい水」ブランドの戦略の策定や、水やお茶を中心とした商品の環境配慮型商品の企画などを担当しています。
環境配慮型というと…最近「ラベルレス」の商品をよくお見かけします。
弊社は数年前から、ラベルレスやシンプルecoラベルといった、ラベルをなくしたり、小さいシールの形にしたりすることで使用する樹脂量を削減するような環境に配慮した商品の提案に力を入れています。これらは環境配慮に加え、ラベルを剝がしたり分別したりするなどの小さな手間が省けるといったメリットもあり、お客様にご好評いただいています。
「ラベルをなくす」という発想は、とても革新的ですよね。
ラベルレスの商品は、インターネットで箱単位で商品を購入される方が増えている中で、「それなら1本1本に詳しい情報を載せる必要はないんじゃないか」という発想から商品の開発が始まりました。このように時代の潮流に合わせた商品を検討するというのが私たちの使命だと思っています。
今までになかった商品を売る際に心がけたところはありますか?
「使っていただくお客様にとって使いやすい」という点を大切にしています。環境配慮型商品とは言っているものの、“エコ”だけでなく、お客様にとってのメリットを実感していただきたいと思うんですね。だからこそ、環境に配慮していると実感しやすいように、また、分別のしやすさやラベルの剥がしやすさはしっかりとこだわって設計するように心がけています。
他の部門の方と1つのチームを作り上げる上で、心がけていることや意識していることはありますか?
初めてマーケティング部門に来たときは、自分が起点になって仕事をしていかなければいけないのに1番経験が浅かったような状況だったので、まずは、分からないことがあったらすぐに、直接話を聞きに行くことを心がけていました。やはり関連する部門の仕事を知ることや、コミュニケーションを取ることはとても大事だと思うので、そういった機会を通して、その部門がどういう仕事をしているのか、どのような苦労をしているのか、そこを理解することを意識しました。
自分主軸というより誰かの視点に立って動かれているのがすごく伝わってきます。
自分一人では出来ない仕事だと最初に分かったので、いかにみんなで仕事をするか、前に進めていくかと考えたときに、「サポートしていただくためにも、周りの方のことを理解しよう」というところを意識していたのかなと思います。
今のお仕事をしていて楽しいことや、やりがいを教えてください。
自分が携わった商品をお客様が手に取って下さって、かつリアクションをして下さるというのはすごく貴重な経験だと思っています。やっぱり「この商品があって嬉しい!」と言ってもらえると一番嬉しいですね。
お客様からのリアクションは、どのような媒体で知るのですか?
お客様相談室などにも多くのお声をお寄せいただくので、日々参考にさせていただいています。そのほか、コロナ前は社員が全国のスーパーマーケットの店頭で実際に販売や試飲をさせていただく機会がありました。その際にお客様から、商品の感想などを直接お聞きする機会があり、励みになりました。最近はなかなかそういう機会は作れないのですが、SNSで商品の検索をすると、写真をアップロードしてくださっている方やコメントをあげてくださっている方もたくさんいらっしゃるので、そういったものを参考にさせていただくことが多いですね。
SNS上の反響を調べるのも、お仕事の1つなのですね!
はい。私たちの仕事は世の中に販売して終わり、ではなくて、販売したものに対してどういったリアクションがあって、どう受け入れられたのかを見たうえで、今後どうしていくべきかを考えて商品を開発する・・・というのを繰り返していくことだと考えていますので、リアクションを知ることはかなり重要視しています。やはりお客様あってのお仕事だと思っているので、そこは1番大切にしていますね。
お客様の視点を持ち続けながら、視野を狭めずにチャレンジしていきたい
荒巻さん自身の、これからの目標や夢などはありますか?
マーケティングの仕事を軸にしながら、お客様にとって魅力ある商品を考えることにこだわっていきたいです。より多くのお客様に商品を知ってもらう機会を作ることや、発信することにもとても興味を持っているので、マーケティングの仕事だけに視野を狭めずにさまざまなことにチャレンジしていきたいです。
同じ会社でも、さまざまな部署やお仕事があるということですね。
マーケティングの部門が起点になって、やりたいことを実現するためにいろいろな部署の担当者に手伝っていただくことが多くあります。いろいろな方と仕事をする中で、その仕事のことを知らなかったなという発見も多く、またどの部門の仕事も、とても魅力的だなといつも思っています。
これから同じような職種に就きたいと考えている学生へのアドバイスはありますか?
マーケティングの仕事、という観点からですと、例えば今ある商品に対して「もっとこうなったらいいのに」という点を自分の中で考えてメモをしたりなど、まず生活者の視点を大事にしてほしいです。この仕事はお客様がどう感じられるかを第一に考えることが大事なので、もし将来マーケティングの仕事を担当されることがあったら、その点を生かして、生活者の方に寄り添ってお仕事をしてもらえたら嬉しいですね。
最後に、人生の先輩として、学生へのアドバイスがあれば教えてください。
コロナ禍で実現が難しいこともあるかもしれませんが、部活動やアルバイトなどの学生だから出来ることや、自分が興味を持ったこと、あとは勉強もどんどんしていってほしいなと思います。私自身も現在、英会話スクールに通っています。今までは学校の勉強や海外旅行の時くらいしか使っていなかったのですが、英語は違う文化の人と幅広くコミュニケーションをとれるツールになると思うので、改めて勉強しています。
少し苦手かも、と思うことも、社会人になって役立つこともたくさんあると思うので、興味を持ったことからでもまずは学んで、そしていろいろなことに挑戦していってほしいなと思います。
取材を終えて
インタビューを通して、お客様の視点を持ち続けることへの意識と、たくさんの方と協力して1つのチームを作るために努力されていたことがとても伝わってきました。他の部署の方々をリスペクトされているご様子はもちろん、あたたかく謙虚なお人柄に感銘を受けました。お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!
写真提供:荒巻さん
※「カルピス」はアサヒ飲料株式会社の登録商標です。
アサヒ飲料株式会社は、飲み物やサービスを通して健康、環境、地域共創の3つのマテリアリティ(重点課題領域)から社会に貢献している企業です。『100年のワクワクと笑顔を。』という目標のもと、お客様とのつながりを大切に、安全でおいしい商品を提供しています。