今回は、フェムテックの商品を扱う、株式会社Neithを起業した信近エリさんにお話を伺いました。会社の起業をされる前には歌手や飲食店経営者としてマルチに活躍されていた信近さん。現在のお仕事の内容から挑戦するコツまで、さまざまなお話をしてくださいました。「フェムテックのお仕事ってどんなことができるの?」「起業に興味がある!」という方は、必見です!
フェムテック・・・Femme(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語。女性が抱える特有の健康の課題を技術で解決できる製品やサービスのことを指す。
フェムテックの会社を起業したきっかけはオタクっぽさ!?
今現在されているお仕事の内容について簡単に教えていただけますか?
2020年12月に株式会社Neithを創業し、生理中にナプキンなしで過ごせる吸水機能のあるショーツを販売するフェムテックブランドを展開しています。今は創業メンバーの3人で運営していて、私はマーケティング、SNSの運用、ビジュアルの撮影やコンテンツ制作などを中心に担当しています。
たくさんのことをやられているんですね!現在のお仕事をされる前には、歌手や飲食店経営者として活躍されていたと伺いましたが、そこからなぜ今の会社の起業にまで至ったのでしょうか?
吸水ショーツに初めて出会った時に、毎月ナプキンを消費するというのが当たり前だと思って暮らしていたので、「ナプキンをつけないという選択肢もあって、尚且つこんなに快適なのか!」とすごく感動したんです!
私自身がオタクっぽいところがあって、そんなにいいものがあるなら世界中から吸水ショーツを集めて、一番気に入ったものを毎月使おうと決めたんです。30着くらい試したのですが、吸水量がイマイチだったり、締付けが強かったり、それぞれに惜しい所があって、個人的にすごく気に入るものがなかったんです。
そこで自分の手で作ろう!と思われたのですね。
はい。吸水ショーツの存在によって助けられる人がこれから先たくさんいるだろうと思った中で、もっと吸水ショーツのクオリティーを上げていく必要があるんじゃないかなと思いました。また、いろいろなブランドが出てきていて、市場としては活発な印象はありつつも、吸水ショーツを使うことが女性全員の選択肢の1つであるという認知はまだまだ広まっていないと感じました。
そういう意味でやるべきだなと強く思って、リサーチも含め動いていたところ、良い工場さんに巡り合うことができ、良いタイミングが重なって、創業することになりました。歌手は子どもの頃からなろうと思って目指してやっていたものなので少し違いますが、飲食店経営も含め、その時々に世の中に必要なのに足りていないものを、ジャンルは違えど何かの流れで自分が手がけていることが多いですね。
私は、日本では最近になってようやく性の話題についてオープンになってきたと感じているのですが、性の課題に関わるフェムテックの商品を扱っていて、周囲の反応で大変だったことはありますか?
意外に世の中理解しようと努めてくれる人はたくさんいるんだなと感じていて、ブランドを創設してからは、やりにくさを感じたことはあまりないです。でも、資金調達をお願いする投資家の方はほぼ男性なので、よく分からないことにお金を出すのが怖いと感じている方もいました。
女性の意見に応えるような商品が世の中に出づらい状況にならないようにするために、「なぜ吸水ショーツがいいのか」「なぜナプキンをつけないということがそもそも嬉しいのか」「女性がナプキンのどんな部分に悩んでいるのか」など、ナプキンについて一から説明し、納得していただいて資金調達をしなければならなかったのは大変でしたね。
「その時に自分が一番興味のあること」が私の仕事!
ずばり、信近さんにとって仕事とはどんなものですか?
「そのとき一番興味のあるもの」です!時間と資産は有限で、自分の高揚感のようなものを常に考えているので、自分の好奇心や知識欲が原動力になっています。費用対効果とよく言いますけど、自分のわくわくに対してかける時間や費用を敏感に考えています。
学生の時にいろいろなアルバイトをしましたが、全然楽しくなくて本当に憂鬱で、どうやってさぼろうか考えていたんです(笑)。でも「楽しくないな」ということに時間を費やすような生き方をしたくない。自分が興味のあることを人の何倍もやることで、それをライフワークにしていこうというテーマがあります。
なので、すごくハマっているゲームを寝ても覚めてもやりたいのと同じで、特に頑張っているのではなく、自分の一番興味があることをできていて幸せですね。やりたくないことをやらなくて済むようにするために、常にやりたいことは妥協しないようにしています。だから、今は目を開けてから閉じるまでほぼ仕事をしています!
なるほど!仕事をする上で一番大切にしていることや意識していることは何ですか?
多角的に物事を捉えて、クリエイティブとビジネスのバランスを大切にすることです。もちろんかっこいいものや素敵なビジュアルを作るようにはしていますが、結果を出さないとビジネスではないので、外見だけでなく、機能性とのバランスも考えています。
あと、日々「これが当たり前だと思っているけど、もっとこうしたら便利なんじゃないか」と考え、常に何かアイデアを持っておくようにしています。仕事をしていて大変なこともありますが、想像力と気合いがあれば乗り越えられると思って、日々取り組んでいます。
これから挑戦してみたいことはありますか?
フェムテックという分野で、吸水ショーツのブランドの立ち位置をしっかり確立していくというのはもちろん身近な目標なのですが、今後は出産後のお母さんが母乳パッドをつけなくてもよいように、吸水機能もついた吸水ブラも出す予定です。資金集めの難しさはありますが、育児やその先の教育において「需要があるのに存在していないもの」に対して、フェムテックの領域を超えても取り組んでいきたいなと思っています。
新しいことを始めようとすると、失敗を恐れて、立ち止まってしまう人も読者の方にはいるのではないかと思います。新しいことを始めよう、挑戦しようとしている人にアドバイスがあれば、教えて下さい!
実際のところ、失敗することに対しては皆あんまり怖がっていなくて、「失敗したことを、周囲の人に失敗したって思われること」を気にしている人が多いと感じます。だから、取るに足らない所に目を向けないというところと、「後からいくらでも挽回できる」と思っていれば、何でも挑戦できるのかなと思います。
ありがとうございます。周囲の反応をあまり気にしないことは難しいことですが、大事なんですね。最後に学生に向けてメッセージをお願いします!
自分の中にある好奇心や高揚感に敏感になってさえいれば、やらないほうが良かったと思うことはほとんどないので、何でもまずやってみるというのが一番だと思います!あと、ある程度続けるというのも大事です。周囲の人は「また言ってるけど、すぐやめるんだろうな」と力を貸してくれなくなってしまうので。一定期間続ける覚悟を持っていれば、基本的にやらなくて良かったとはならないと思います。
挑戦する勇気と継続することを私も意識してみたいと思います。お忙しい中本当にありがとうございました!
取材を終えて
職業の肩書にとらわれず、自分の好奇心を大切にして、仕事に取り組む姿勢が、本当に素敵だなと感じました。自分の好奇心と仕事が直接的に結びつくと考えたことがなかったので、取材を通じて新しい発見がありました。私自身、挑戦することに対して「失敗したらどうしよう」と不安に思ってしまう時がありますが、お話を聞いて、周囲の反応を恐れずに一歩踏み出す姿勢を大切にしていきたいと思いました。お忙しい中、貴重なお話を聞かせて頂き、本当にありがとうございました!
写真提供:信近さん
株式会社Neith https://www.neithinc.jp/
女性が女性特有の悩みによって日々のパフォーマンスを左右されることなく、心身ともに健やかに過ごすサポートをしたいという思いから、2020年12月に創業。フェムテックブランド「Rinē(リネ)」を運営し、吸水ショーツや吸水ブラレットなどの製品を展開している。