今回は、住友商事株式会社で広報を担当されている武田友希さんにお話を伺いました。広報部でのお仕事や営業部でのトレード業務、ヨハネスブルグでの駐在生活など、実にさまざまなご経験についてお聞きすることができました。これから「グローバルに活躍したい」「海外と関わる仕事がしたい」と考えている方は武田さんのストーリーを覗いてみませんか?
多様な人と関わり、日本と海外をつなぐ営業の仕事
これまでのご経歴を教えてください。
2006年に新卒で住友商事に入社し、初めは資源・エネルギー総括部(当時)という部署で部門全体の業績や予算の管理業務を行っていました。入社時より営業志望でしたので、その後は鉄鋼原料部という鉄を作るのに必要な鉄鉱石と副原料のトレード※や事業投資を担う部署に異動になり、のちに研修生として南アフリカのヨハネスブルクに2年間駐在しました。帰国後は石炭・原子燃料部で主として石炭のトレード業務に携わりましたので、合計で10年間ほどトレードビジネスに関わってきましたね。現在は広報部の報道チームで住友商事が取り組んでいる事業を広くさまざまな方々にお伝えする仕事をしています。
※トレード:他国の取引相手と商品の売買を行うこと。他国へ商品を販売・送り出すことを輸出、他国から商品を購入・持ち込むことを輸入と言う。(出典:JETRO HP:図解・貿易のしくみ)
広報部の報道チームでは、具体的にはどのようなことをされているのですか?
プレスリリースという会社として正式な発表文章の作成、発表後の問い合わせ対応が主な仕事です。他にも、当社が注力している事業や取り組みを取材いただくべく売り込みをしたり、今はコロナ禍で難しいですが、メディアの方に当社事業の現場を取材いただく機会を企画・運営したりしています。一般的に総合商社は、会社の名前は知っていても実際には何をしているのかが分からないという方が多いので、インターネットや新聞、雑誌などさまざまなメディア・媒体を通じて当社を広く多くの人に知ってもらうことが目的です。
営業部でのトレード業務は具体的にはどのようなことをやられていたのですか?
鉄鋼原料部では南アフリカで産出される鉄鉱石や、副原料のマンガン鉱石を中国・日本・韓国の需要家に販売する仕事に携わっていました。生産者の出荷タイミングや需要家の引き取り希望時期の調整を各拠点にいる同僚とともに進める業務です。広報部に異動する前はロシアで産出される石炭を韓国や中国、台湾などの新たな需要家に販売する業務で、コロナ禍前でもあり、月に2、3回ほど韓国・台湾・中国・ロシアなどに行って、現地拠点の同僚と一緒に取引先と面談していました。
「外に出たい」幼少期からの強い思いで海外へ
学生時代から英語や海外での仕事に興味があったのですか?
私は実家が最寄りの駅までバスで15分、小学校は6年間1クラスという場所で育ったこともあり、幼い頃より外に出ていろいろな人と交流したいとの思いがあり、高校生のときにオーストラリアに留学しました。現地校への通学、ホストファミリーとの時間、またアメリカやヨーロッパ、中南米、アジアなどさまざまな国から来た留学生との交流を通じて世界に対する関心が高まり、「世界と関わる仕事に就きたい」と思うようになりました。大学の時には関心があった中南米についてもっと勉強すべく、アメリカに留学しました。留学中は、単位の取得が大変でしたが、同じ学生数人と家をシェアしての共同生活や、中南米への旅行と異なる文化やバックグラウンドを持つ人たちとの交流を楽しみました。
ヨハネスブルグではどのように過ごしていましたか?
日本にいたころと同じビジネスを現地の立場で行う業務でしたので、業務の面では入りやすかったです。取引先とのコミュニケーションを意識して週に3〜4日は訪問し、商品の状況確認や交渉をしていました。新たにモノを仕入れる、というよりは、長年に亘り取引している取引先との関係強化が重要でした。アジアのお客様にとって南アフリカという地理的に遠い国から商品を購入することは心配事も多いです。取引先と一緒に、できる限り需要家の希望にあったタイミングで安全に運び届けるべく、鉱山における採掘から出荷港までの状況を管理していました。帰国する頃には家族のような関係になっていたのが心に残っています。
ヨハネスブルクは文化的にも社会的にも日本と異なる点がありましたが、気候的に過ごしやすい場所だったので生活で大変なことはあまりありませんでした。初めは少し不安がありましたが、「知らないことってもしかしたらすごく損をしているかも?」と思い赴任して良かったです。実際、素晴らしい自然と多民族国家の文化に触れ、周辺国への旅行も含めて新たな発見が多く、良い経験をさせていただきました。仕事や上司、同僚、社外のお友達などいろいろな面でとても恵まれていましたしね。
帰国してから現職に変わったきっかけは何かありましたか?
キャリアの中でトレードの仕事に長く携わってきたので、長い社会人生活を考えた時に、今までとは異なる業務に挑戦し、新たな経験を積み上げたい、との希望から現職に辿り着きました。他の営業部や、広報、IR、サステイナビリティ推進部など様々な分野に関心があり、最終的にはご縁をいただき広報部に異動になりました。異動をサポートしてくれた上司に感謝しています。