弁護士として、ファッション業界を働きやすい場所にしたい!元雑誌編集者が切り開く道

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ファッション業界での経験を生かし、「ファッションロー」を牽引

今のお仕事のやりがいや面白さを教えてください。

元々問題意識を持っていたことを解決するために働きかけられることや、「ファッションロー」という新しい分野に取り組んでいることにやりがいを感じています。これまでの法律業界は、例えば契約や離婚などを対象とする「民法」、刑事事件などを扱う「刑法」など、法律ごとに専門分野をとらえる傾向が強かったように思います。これに対し、「ファッションロー」は「ファッション業界」にかかわる法律問題をカバーする法分野ですが、業界単位で横断的に捉えることで、業界の特殊性を踏まえた法サービスを提供できます。こうした業界に着目した法分野を開拓する動きは近年活発化してきた新しい取り組みといえます。

私自身、ファッション業界の慣習やシステムに関しては経験としてわかっているので依頼者との話もスムーズですし、問題をすぐにあぶりだせるのは強みですね。例えば契約書の作成の際には、業界ならではの問題や事情を当事者として理解した上で、依頼者にアドバイスができます。ファッション業界で働く当事者としての経験を生かしつつ、法律という観点から業界を見ることで自分の視野が一気に広がったと実感することも多いですね。

今のお仕事で心掛けていることはなんですか?

1つ目は、依頼者の立場に立って物事を見ることです。「依頼者が本当に求めているのは何か」ということを、本人の気持ちになってできる限り依頼者と一緒に突き詰めて考えるように心がけています。私自身当事者でしたし、法的なアドバイスを超えた依頼者とのやりとりを意識しています。

2つ目は、ファッション業界全体の弁護士に対する敷居を下げることです。日常的に弁護士とコミュニケーションを取ることの重要性を講演会や面談などでお話ししています。弁護士は紛争が起きてから依頼するものと思われがちですが、実は、紛争が起きる前に弁護士が介入することでトラブルを未然に回避でき、時間も手間も費用も抑えることができることは大きなメリットだと思います。弁護士が介入することが少ない業界だったので、弁護士に相談すること自体に不慣れな方も多いことを念頭に置いて、業界全体の意識改革を進めていくことを心がけています。

ファッションローを扱う弁護士はあまりいないのでしょうか?

特に力を入れてファッションローに取り組んでいる弁護士は、日本ではまだまだ少ないのが現状です。とはいえ、ファッションローはアップカミングな法分野として非常に注目を集めており、ここ数年で一気に知名度が上がってきた印象です。最近では、ファッションローに興味を持っている現役弁護士や司法修習生などから連絡をいただくことも頻繁にあります。特に若い世代からご相談をよく受けますね。

「法律をよりデイリーに」法律の観点からファッション業界を変えたい

今後やりたいことを教えてください。

長期的な目標は、ファッション雑誌を出すことです。昔から雑誌を作るのが大好きだったので、自分で雑誌を出すことは私の夢です。また、弁護士が仕事をする上で、ファッションをどのように利用するといいか周知できる機会も作れたらいいなと思っています。裁判や依頼人との面談といった場面でも、ファッションをツールとして使ってうまく自己表現することに私自身もとても興味があるので。

中期的な目標は、法律をファッション業界にとってより身近なものにすることです。例えば、「ファッションロー・トーキョー」をより多くのファッション関係者に利用してもらったり、「ファッションロー・ユニット」を通じてさまざまなプロジェクトを行うことで、ファッション業界の日常に法律を浸透させたいと思っています。法律をより身近なものにするためには、法律が行動や活動を「制限するもの」ではなく、「活発化させるもの」であるという認識を業界全体に広めることが重要だと感じています。法律へのハードルが低くなることで、ファッション業界全体が働きやすい環境になり、業界で活躍できる人が増えると期待しています。

最後に学生に一言お願いします!

「やりたい」と思った時こそがやりどきだと思います。だから「やりたい」という自分の直感を信じて、様々なことに挑戦してほしいです。行動して失敗したとしても、新しい側面が見えて面白かった、自分にはやはり合わなかった、など必ず学びはあります。
そして、やりたいことを見つけた時にすぐにそれを行動に移せるような環境を普段から整えておくことが大切だと感じます。家族から同意を得る、貯金をするなどもよいかもしれませんね。
思い切って行動にうつすことを恐れるべきではないと思います。ただ、あまりに無計画だと失敗する可能性も高くなるので、普段から戦略的に動くことが大事なのではないでしょうか。

取材を終えて

こんなにインタビューって楽しいものなの!?

そう思えるぐらい、海老澤さんの取材では素晴らしい時間を過ごすことができました。海老澤さんの価値観・ファッション業界の事情・弁護士としてのお仕事内容に関するお話はもちろん、謙虚で前向きなお人柄に心から感銘を受けました。

私も海老澤さんのように「やりたい」という自分の思いを信じ、全力投球しながらキャリアを重ねていきたいです。お忙しい中取材を受けてくださり、本当にありがとうございました!

写真提供:海老澤さん

海老澤美幸さん

1975年生まれ。1998年 総務省(旧自治省)に入省。1999年 株式会社宝島社に転職し、編集者として雑誌『SPRiNG』を担当。2003年に渡英し、スタイリストのマルコ・マティシック氏に師事。
2004年には、ファッションエディターとして独立し、雑誌『ELLE japon』『GINZA』『Casa Brutus』等で編集・スタイリング・ディレクションを手がける。
2014年に、一橋大学法科大学院を修了し、2017年に弁護士登録(第二東京弁護士会)。ココネ株式会社・林総合法律事務所を経て、現在は三村小松山縣 法律事務所(https://mktlaw.jp/)にてファッションローを専門に活動し、「ファッションロー・ユニット」のメンバーも務める。
ファッション関係者のための法律相談窓口「fashionlaw.tokyo」(http://fashionlaw.tokyo)主宰。

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About Author

兵庫県出身、現在はオランダの大学に在学中。大学では国際政治や歴史、ジェンダーを中心に学んでいます。輝いている女性の存在を伝えたい、取材経験を積みたいと考えてハナジョブに参加しました。スポーツ全般、ドキュメンタリーや海外ドラマ鑑賞が好き。超好奇心旺盛です。

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