実は今、農業でIT革命が起こっています!農業って遠い存在だと思っていませんか?そんな読者の皆さん必見です!食品の先には農家さんがいる。農業は意外と身近で、なくてはならない存在という事を北原さんのお話を読んで、感じてもらえたらと思います!農業機械の開発に携わり、今は行政とも関わって仕事をしている北原さんに農業機械の魅力、やりたいことの見つけ方などを伺いました。(2018年8月29日時点)
農業とITが起こすイノベーション。開発に携わったからこそ、できること。
現在のお仕事内容を教えてください。
農業機械を中心とした機械事業に関して、会社と行政や業界団体との橋渡しをする仕事です。スムーズな事業展開やプレゼンス向上を目的に、農業機械関係の情報収集する一方で、弊社の取り組みを社外に発信します。
さらに、社外で得た情報を踏まえて、社内でどのように事業を進めていくのかを関係部署と連携して考えていくといった業務です。
会社と行政との橋渡しとは具体的にどのようなことですか?
「スマート農業」という言葉を聞いたことはありますか?現在日本の農業は、就農者の高齢化、後継者不足、若者や女性が参入しにくい等、様々な課題があります。スマート農業とは、ロボット技術やICTを活用して、そういった農業が抱えている課題を解決する新しい農業なんです。
当社は国内農機メーカーの中では先陣を切ってスマート農業実現の検討を始め、2014年KSAS(クボタスマートアグリシステム)を発表しました。KSASとは簡単に言うと農業機械とICTを利用して、データを使った農業を行うためのサービスです(詳しくはこちら)。現在政府も、農業にICTを導入して国内農業を強化することを方針として掲げていて、今農業は、ICTブームなんです!
これを実現させるために、当社のような農機メーカーと行政とが「ロボット農機の安全性」や「農業データの連携」について意見のすり合わせを行うなど、様々な活動を進めています。
農業にもITが導入されているんですね!今の仕事をするまではどんなことをしていましたか。
前の部署では収穫機技術部に所属し、稲や麦を刈るコンバインの開発に携わっていました。その中でも、KSASに対応したコンバインの開発担当で、刈取りをしながら、収集した作物の食味値(水分値やタンパク値)、収量のデータを取得できるんです。そのデータは自動でサーバーに飛び、農家さんは自宅のパソコンやスマホで、今日作業した田んぼや畑、一枚一枚の収量や作業時間などのデータを確認できるようになりました。
開発をされていたんですね、すごい…!データを収集することでどのようなメリットがあるのですか?
今まで経験と勘で行っていた農業を、このようにデータを見える化することで、農家さんそれぞれが戦略的に農業を行うことができます。
同じように肥料を与えても、圃場毎に地力や育つ環境が異なるため、収量や食味にばらつきが出ます。これからは収量や食味値を見ながら圃場毎に、例えば施肥量を変えることを毎年繰り返すことで、バラツキが少なくなり、美味しいお米を安定した収量で収穫できるようになります。
実はお米のおいしさにはタンパク値が重要で、それは肥料の与え方にすごく影響されるんです。これからはこのデータ活用がますます重要になるでしょう!
イノベーションですね!開発の仕事で楽しいところはどんなところですか。
現場に出て、実際に農機が設計通りに動いているのか確認したり、農家さんと関わる機会が多いことは楽しく、やりがいがありますね。クボタは「現場主義」を掲げていて、「現場」を大切にしているので、積極的に外に出て自分の目で確認することができる職場なんです。
農機の動きを見ながら、畑の横でプログラムを組んだり、改造したり、ものづくりしてるな!って感覚。楽しいですね。また、農家さんと話せるということは、生の意見が聴けるということ。ここをこうしてほしいとか、具体的な要望をダイレクトにやり取りできるところもおもしろい仕事だなと思います。
お客さんと密接に関わっていける存在なんですね。今のお仕事では行政と関わっていらっしゃいますが、大変なことはありますか?
国や会社の方針が関わることなので、社内でも上層部への橋渡しが必要です。そういう方たちには、中途半端な知識では通用しませんよね。行政のことも社内のことも把握しないといけないので、大変だと思うことはあります。ただ、両方を理解できればいろいろな提案ができるようになると思うので、これからの初心を忘れず貪欲に吸収していきたいと思います。