今年発売30周年を迎える『アサヒスーパードライ』。きっとみなさんも一度は口にしたことがありますよね?自らの手でモノを売りたいと強く思い、アサヒビールに就職された鳥沢さんに、営業現場での商談の難しさや、企画立案のコツ、子育てに対する思いについて伺いました。
全国というフィールドで企画立案
鳥沢さんの現在のお仕事内容について教えてください。
1本でも多く、一度でも多くお客様に当社の商品を飲んでもらい、喜んでいただくために、営業本部の量販統括部に所属して商品の販売方法を企画立案する役割を担っています。全国各地にいる営業の方々は、立案した商品・販促企画を元に、それぞれのチェーン様・店舗様に合わせた提案を行っています。対象となる業態は、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、ホームセンターなどです。お客様が実際に商品を手にとって買ってくださる一番重要な場所です。
とても重要な企画を考えていらっしゃるのですね。具体的な企画の例を教えてください。
例えば、10月には「ハロウィン」をテーマに大人がお酒を楽しむシーンをお客様に想起いただけるような売場提案を行っています。どうやったらハロウィンを楽しいイベントにできるか、そこにどのようにお酒を登場させることができるかをよく考えて、様々なアイデアをグループのメンバーとともに検討しています。
ただ、店頭に並べてもらうためには、売り場の確保が必要です。黙っていてもアサヒビールの商品が当たり前に並ぶということはないので、当社の商品を少しでも多く、少しでもスペースを取ってもらうための提案を日々検討しています。
鳥沢さんは、入社後に名古屋で営業を8年ほどなさっていたそうですが、自分が思っているスペースの確保が難しいときにはどのように対応するのですか。
売場のスペースに応じた企画を提案することや、商品の陳列方法の変更を提案することもあります。考え方もチェーン様ごと・店舗様ごとに違うため、チェーン様・店舗様にあった提案がどれだけできるかが問われる場面です。
営業のときは、相手の性格を理解し、また自らの経験を活かし、様々な手法によりコミュニケーションをとりながら商談を始めるように工夫していました。商談がスムーズに進行し、お得意先様の売上も上がり、さらに弊社の売上や店内シェアが上がったときは、本当に嬉しかったですね。
担当の方の性格まで理解して営業をするんですね。置く場所によって売上は変わるんですか?
売上の9割は、「冷ケース」と呼ばれる場所となります。この冷ケースのスペースを確保するために、年に2回大きなプレゼンをさせていただく機会があります。商品力、提案力、営業力を駆使して臨みます。
もともと売れている商品は扱っていただくことが多いですが、主力ブランド以外の商品を扱ってもらうためには様々な提案が必要となります。成長させたい・成長させなければならないブランドをいかに取り扱ってもらうかが腕の見せどころとなります。
そして、この冷ケースで購入いただくために、催事やエンドといった特設コーナーがあり、そこで需要喚起をはかる様々な陳列をしています。
そういえば、他の売り場にビールが置いてあったりしますね!スーパーで企画を立てる上で大切なことはなんですか。
お酒を買うことを目的にスーパーに来店する人は多くありません。生鮮食品、お菓子などを買うために来店されることがほとんどです。生鮮食品を買ったついでにお酒を買おう、と思っていただくことが大切です。
いつもお酒を飲む人に対しての提案ももちろん重要となりますが、「いつもお酒を飲まない、何かイベントごとの時にはお酒を飲む」という人たちに1本でも、1回でも多くお酒を手に取っていただき、そして楽しんでもらえる機会を作っていくのが、私たちの目指しているところですね。
人口減少に伴い、飲酒人口の減少が継続的におこっています。お酒を飲まない世代が増えてきているといった報道もされているので、お酒を通じて楽しい時間を過ごしていただく機会を提案していくのが大切だと思います。ぜひ皆さんに飲んでいただきたいです!
モノを売りたいと思わせてくれた幼少期での経験>
就活をする上で希望の業界は決めていましたか。
業界は絞っていなかったですね。ただ、モノを自分の手で売ってみたいと思っていました。そのため、自分が知っているメーカーを中心に就職活動をしました。
なぜ自分の手でモノを売りたいと考えたのですか。
父親が自営業をしていました。中古車販売をしていたのですが、父が働いている姿を幼い頃からいつも見ていました。車が売れる瞬間の喜びや面白さを間近で感じられたのが大きく影響していますね。その経験があったからこそ、私も自分自身の手でモノを売りたい!と思うようになりました。
お父さんの存在が大きかったのですね。メーカーがたくさんある中でアサヒビールに入社した決め手は何ですか。
当時の採用担当の方が本音で学生に語りかけていると感じたからです。あるとき、採用担当の方に、他社で「結婚したらどうしますか?」と聞かれて困ったという話をしました。今聞かれても答えられないというのが、本音でした。そうすると、その方は「10年後のことなんてわからないから、わからないって言うべきじゃない?今決める必要はないと思う」とおっしゃられたんです。その言葉を聞いて驚いたと同時に、本音で話せる人や雰囲気がある、本音で過ごせるいい会社だな、と思い入社しました。
出産前、「絶対安静」で仕事を離れたときに感じた、仕事への思い
お子さんが2人いらっしゃると伺ったのですが、結婚は名古屋でされたのですか。
そうです。名古屋で結婚しました。その後、妊娠して産休に入ったのですが、夫が東京に転勤になってしまったので、私も東京に転居しました。復帰するときに東京で復職させてもらったんです。自分で勝手に東京に転勤した感じですね(笑)。
会社は自分の生活スタイルにあった職を提供してくれます。育児だけでなく、介護でもそうです。
パートナーと一緒に転勤できるなんて、理想的です!お子さんを出産されたときは営業をされていたのですよね。大変ではなかったですか。
1人目のときは、ちょうど営業している時期で大変でした。新幹線での移動や商品の陳列もしていて、妊娠していたのを気づかず仕事をしていたんです。その影響かはわかりませんが、切迫流産と診断され3ヶ月くらいの絶対安静が必要だとお医者さんに言われてしまいました。その間は会社を休んで家に閉じこもって、まったく動かない生活をしていました。
急に仕事を手放してしまったので、周りの方々に本当に迷惑をかけたなと思いますね。身近にいる方には事情を説明して、電話で仕事を引き継いだり、資料を渡したりして3ヶ月間乗り越えました。子どもを授かった喜びと申し訳ない気持ちで葛藤の日々でした。
今は時短制度を利用して仕事をされているのですか?
時短制度は会社にありますが、私はあまり利用していません。5時半に鳴るチャイムと同時に退社して、保育園や学童に子どもを迎えに行き7時に帰宅という生活です。様々なメンバーと議論を交わしながら決めていくことが多いので、早く帰ってしまうとやや仕事に支障が出てしまうんです。住んでいる環境や保育園の環境、ライフスタイルによって働き方は人それぞれですよ。
時短制度を利用するかしないかは、人によって違うんですね。仕事をしながら育児をするのは大変ですか。
仕事よりも育児の方が大変ですね!育児は何十年という長期戦でゴールがないし、子どもも言うことを聞いてくれないので。仕事だと相手は大人ですから、話し合って進められますからね。
家事は夫婦で分担されているのでしょうか。
家事はほぼ私がやっています。平日にやる家事と休日にやる家事を分けてしまえば、なんとかなります。1人目のときは大変でしたが、2人目のときは自分が経験していることばかり起こるのでだいぶ余裕が出てきました。子どももあまり手がかからなくなってきたので、今は少し仕事に比重を置いている感じですね。
ステップアップを意識し、常に前進
今後どのように働いていきたいと考えているのですか。
ちょうど今考えているところです。営業から企画立案へステップアップしたように、そろそろ次のステージに行きたいですね。また、今よりも子どもに比重を置くようにしたいとも思っています。小さい頃は体力的に手がかかりますが、大きくなるにつれて、思春期など心の問題が出てきますよね。自分の心を子どもへ向ける時間をしっかりとらないと、将来後悔すると思うんです。
子どもに少し比重をかけた上で、仕事でもステップアップしたいということですね!
そうですね。後退するということはまったく念頭にありません。役職と就くというステップアップもあると思うのですが、今はそれよりも内容を重視しています。違う分野にチャレンジすることで視野も広がると思いますし。自分には仕事が必要不可欠で、何より楽しいので、定年まで働いていたいです!
最後に学生へメッセージをお願いします。
1日1日を大切にして、いろいろなことにチャレンジしてほしいです。その上で自分の興味を広くして、自分のやりたいことを見つけてほしいですね。そして、自分のやりたいことがやれる会社をがんばって見つけてください。
取材を終えて
鳥沢さんが本音で向き合ってくださっている、と取材を通して本当に感じることができました。入社の決め手と伺った、本音で語り合える会社で働いている鳥沢さんだからこそだと思います。鳥沢さん、ありがとうございました!!
アサヒビール株式会社 会社概要
ビールシェアNo1の「スーパードライ」をはじめ、洋酒・ワインなども扱う総合酒類企業。「すべてはお客様の”うまい!”のために。」というものづくりへの想いを大切に、お客様の期待を超える新しい価値を提供し、進化し続ける企業を目指します。