昔から住宅のチラシやモデルルームが好きだったという江山真衣さん。現在は、住宅用玄関ドアの企画の仕事をしていらっしゃいます。子育てと仕事のバランスのとり方、仕事の楽しみ方について伺いました。(2017年1月時点の情報です)
小さいころから関心があった、「家」に関わる仕事
現在のお仕事の内容を教えてください。
住宅用玄関ドアの開発をする部署で、商品企画の仕事をしています。
年に2~3回の新商品発売に向けて、ターゲット設定やニーズ調査といったマーケティングリサーチから、カタログ作成など発売に向けての準備まで担当しています。
江山さんが企画した商品には、どのようなものがあるのですか?
昨年の4月には、防火対応のリフォーム用ドアを発売しました。
もともと当社には、リフォーム用だと非防火の商品しか取扱いがなく、東京や神奈川といった防火地域のお客様から「リフォームでも防火の商品が欲しい」という声をいただいていました。
今、リフォームの市場は伸びています。その流れを止めたくないですし、なによりお客様の求めるものに応えたいという思いから企画しました。
玄関ドアもリフォームできるんですね!
そうなんです!玄関は古くなったり立て付けが悪くなったりした際に、リフォームされますね。
ただ、そもそも玄関をリフォームできるということをご存じでない方が多いんです。玄関をリフォームすることで、使い勝手はもちろん、家のイメージががらりと変わることを伝えていきたいですね。
仕事をしていて楽しいのはどんなときですか?
キッチンやトイレと違って、玄関はLIXILが持っている商材では珍しく、外から見ることができるものなんですよ。
まちを歩いているとつい玄関をチェックしてしまうのですが、過去に自分が企画した商品を使っている家を見つけると嬉しいですし、達成感がありますね。
江山さんは、なぜLIXILに入社されたのですか?
大学では建築学科の音環境研究室で、吸音材などの研究をしていました。
就職活動では、設備環境や住環境に携わる仕事を探していて、当時CMをたくさん流していて、勢いがあると感じ、アルミ建材メーカーのトステム(現LIXIL)に入社しました。
入社後は三重の工場に配属され、加工や受注の仕事も経験しました。その後、エリアマーケティングという特定のお客様に専用の玄関デザインをご提案する仕事を経て、今の商品企画の部署にいます。
建築や家に関心を抱いたのはいつ頃だったのでしょうか?
いつでしょう・・・。小さい頃からチラシでハウスメーカーの間取りを見るのが好きでしたね。家具も好きですし、モデルルームにもよく遊びに行っていました。
あとはとにかくトイレの空間が好きで、大学生の頃は「▲▲ビルの何階にあるトイレが好きだから、あのビルに行こう!」なんてこともありました(笑)。なので、トイレの開発にもいつか携わりたいという想いがあるんですよ。
ちょっとしたユーモアで、仕事を楽しく。
仕事をするうえで、大切にしていることは何ですか?
いかにバランスよく働くか、というところです。
子どもがいますのでオンとオフのバランスもそうですし、丁寧にやるところと抜くところのバランスも見極めながら働いています。
また、仕事をする上で、面白味を大切にしたいなと思っているんです。企画書にイラストを貼って笑いを取ったり、会議でもアイスブレイクの時間を必ず取るようにしたり、真面目になりすぎないように意識しています。
そういうユーモアがあると、場が和みそうですね。
そうですね。商品を発売するためには、商品部だけでなく開発部や営業部などさまざまな部署との連携が必要です。商品部はそれらの関係部署を取りまとめる調整係のようなところもあります。
だから、人と人の関係性や人と仕事の関係性を円滑にして進めるためにも、面白そうだな、協力したいなと思ってもらえるように心がけています。みんながピリピリしていると、余裕がなくなってギクシャクしちゃいますからね。
お子さんがいらっしゃるそうですが、仕事と子育てはどのように両立していますか?
子どもが7か月のときに仕事復帰しました。
会社と自宅が自転車で10分なので、最初からフルタイムで戻ることができました。夫の協力もありますし、そんなに気張らなくても両立できているのかなと思います。
出産して復帰するまでの育児のみの7か月よりも、「育児は育児、仕事は仕事」とメリハリをつけて2つの顔を持てる復帰後の方が、私としては生きやすいですね。
夜遅くまで働くことはないのですか?
企画のサイクルは1年から1年半なので時期によりますね。
忙しいときには残業もするし、家に持ち帰って仕事をすること、休日出勤をすることもあります。ただ、クールダウンの時期にはとにかく休むようにしています。
今は毎日きっちり定時に帰っていますよ。
LIXILさんは女性活躍推進に力を入れていらっしゃると伺いました。昔と比べると、社内の変化を感じますか?
そうですね。数年前までは、部署で出産後に職場復帰する女性がいなかったので少し不安だったのですが、私が出産する1年程前から女性活躍推進の取り組みが始まり、戻りやすい環境になりました。
もともと私は出産後も戻る気満々でしたが、上司も「戻ってこい」と言ってくださりありがたかったですね。
その後はなぜか出産ラッシュが起きて、現在は育休取得後に復帰した女性が部署にたくさんいます(笑)。
子育てがドアを企画する際のヒントになることはありましたか?
子ども目線でドアを考えることができるようになりました。
私の子どももカギを自分で閉められる年齢になったので、「子どもはこういうところに手が届くんだな」とか「こういうところに手を挟むんだな」ということを以前より実感として持つことができています。
例えば、子どもの指はさみ防止策としてできることをカタログに掲載したら、子持ちの方に伝わるのではないか、というヒントを少しずつ発見できていますね。
20種類のアルバイトで社会を知った
そんな江山さんは、どのような学生時代を過ごされたのでしょうか?
たくさんアルバイトをしていましたね。2~3年続いたものから短期間のものまで、20種類くらい経験しました。
続かなかったわけではなくて、いろいろやってみたいなと手を出していったらこんな数になっていたんですよ。歯科助手や結婚式場のシスターなど、友人は誰もやっていないような職業を経験できて面白かったですね。
20種類とは多いですね!
ステップアップのために転職する方もいらっしゃいますけど、たいていの人は就職すると同じ会社にいるじゃないですか。
そう考えると、アルバイトでいろいろな職種を経験できるのは、学生の特権ですよね。学生だからこそのこういったチャレンジも、今となっては良かったのかなと思います。
同じような職業に就きたい学生へのメッセージをお願いします!
いろいろなことに興味を持って、自分の幅を広げることが大切だと思います。
特に商品企画の仕事では、世間が何を思って何を求めているのか敏感に感じ取ることが大切なので、あらゆることに目を向けて、好奇心旺盛でいてほしいですね。アルバイトでも勉強でも遊びでも、いろいろとチャレンジしていってはどうでしょうか。
江山さんにとって仕事とは何ですか?
私は実は引きこもりタイプなんですね。
だから、仕事がないと、母親としての自分ではなくて、「江山真衣」としての成長が止まってしまうのではないかと思って。
仕事をしていると新たな知識も得られるし、新鮮でいられるのかなと思います。かといって、仕事一本で生きていく気もないんですけどね。仕事は、自分が人として成長していくためのものかな、と思っています。
最後に、これから挑戦したいことを教えてください!
玄関は、キッチンやお風呂と比べてこだわりを持っている方が少ないんです。ですので、「玄関にこだわりたい!」と思う人をどんどん増やしていきたいと思っています。
そのために、まずはターゲットを選別して特定の方に魅力を感じていただける商品に挑戦していきます。心躍るようなドアを企画するために、ドアをもっと極めたいです!
取材を終えて
取材中もユーモアたっぷりにお話してくださった江山さん。これぞ仕事を楽しむコツだな、と思いました。アルバイトを20種類も経験されたお話にはびっくりでした!!いろいろな仕事、社会の裏側を知る学生時代の過ごし方も良いですよね。江山さん、ありがとうございました!
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