ビルに特化した不動産会社、ダイビル。TV番組の収録にも使われる、スタジオアルタが入っているビルもダイビルが所有しています。今回インタビューしたのは、大学院で建築を学び、女性初の総合職としてダイビルに入社した古川恵理さん。現在は子育てをしながら営業、開発、広報の仕事に携わっています。ダイビルを選んだ理由、仕事のやりがい、そして子育てと仕事の両立についてお話を聞きました。(2016年5月時点の情報です)
入社1年目、手探りで進めた開発案件!
ダイビルについて、そして現在のお仕事について教えてください。
当社はビルを自社で所有し、経営、管理および賃貸借まで行う、ビルに特化した不動産会社です。所有は所有、管理は管理で別々に行っている不動産会社が多いのですが、競争力を高めるために当社はビルをすべて自前で管理しています。
私は2006年に入社して、東京営業開発部に配属されました。最初に携わった仕事は、ビルの営業でした。契約のタイミングだけではなくて、日々の困りごとを解決するのも営業の仕事です。お客様からビル専属の技術、設備、警備スタッフなど誰かに相談があったときに、すぐ対応できるよう全員で情報を共有しているんですよ。
自前で管理しているからこそできることですね!入社してからずっと営業ですか?
入社から半年が経って、東京開発部に所属になりました。開発は、新しい物件を探してくる仕事です。立ち上がったばかりの部署で、部長と課長と私の三人体制。最初に携わったのは、当社物件の小さな隣地を購入する仕事でした。入社1年目で右も左もわからない中、手探りで勉強しながら進めていきました。でも、模索したからこそ、ちゃんと仕事が身についたのかなあと思います。
ご出産されたのはいつ頃でしょうか?
2010年の3月から、1年間育児休業を取りました。2011年の4月に復帰して、営業と開発が一緒になった東京営業開発部に配属され、仕事とプライベートのバランスをとりながら、仕事をしていました。それから現在では、営業と開発を担当しています。
ビルを建てるだけでなく、街にどんな影響を与えるのかを見届けたい
大学時代は何を学ばれていましたか?
建築の意匠を専攻していて、大学院まで進みました。実は学部のときも就職活動をしていて、そのときはゼネコンや設計事務所など「設計する仕事」を見ていました。最終的に大学院に進んでから、徐々に「街に影響を与える仕事」に携わりたいと思うようになりました。
設計する仕事だと、完成したら仕事は終わりですよね。そうではなく、自分たちが作り上げたものがどう使われて、街にどんな影響を与えていくのか見届けたいと思ったんです。大学院で設計しているときも、その土地や地域の必然性からデザインを考えるタイプだったので、その建物が街にどう溶け込んでいくのかを常に考えていました。それで、大学院のときは、不動産会社や不動産を所有している企業に絞って就職活動をしました。
そこで、ダイビルさんに出会ったんですね。
当社はビルを建てて、ずっと使い続ける会社なんです。当社のスローガンは『ビルはビルでもダイビルです』で、ダイビルにとって「ビルは、建てるものではなく、育てるもの」というメッセージが込められているんです。その理念に共感して入社を決めました。
世の中には、不動産を売買して利益を稼ぐというビジネスもあります。でも、当社はいったん作ったら、手放さないんですね。愛着を持ってビルを育てていって、20年経ったらリニューアルやお化粧直しをする。そういう意味では、ビルを子どものように思っているかもしれないですね。
効率性より、お客様やビルを大事にするという精神が強いんですね。
そうですね、REITと呼ばれる不動産投資信託なども扱っていませんし、ビジネスとして考えると効率は悪いかもしれません。でも、当社はお客様に対して手厚いサービスをすることを強みとしているんです。
仕事で楽しさややりがいを感じる瞬間はどんなときですか?
営業では、お客さんに「このビルに入ってよかった」というお褒めの言葉をいただくと、ありがたいと思いますね。
開発では、物件を買ったりビルを建てたりという大きな波があります。負荷も大きい分、物件を買えたときや更地にどんな建物を建てようかと話し合っているときは、ものを作っていることを実感できて楽しいですね。
今後の目標を教えてください。
東京での大きいプロジェクトに携わりたいですね。目標をいつか叶えたいという想いが、今の仕事に対するモチベーションになっています。
後ろに続く後輩のためにがんばりすぎず、成果を出す!
古川さんは総合職として、初めて育児休業を取得したと聞きました。初めてということで戸惑いはありましたか?
育休を取ったのは私が2人目で、総合職としては初めてだったので、会社も私も手探りの状態でしたね。
ただ、入社したときも周囲の人に「女性が少ないけど、大丈夫?」と言われたんですけど、「まあ、大丈夫かな!」という感じだったんです(笑)。同じように、育休のときも多少不安はありましたけど、実際にやってみなきゃわからないと思っていました。
育休をとってよかったことはなんですか?
子どもとじっくり向き合える時間を取れたことですね。ただ、育休に入って最初は楽しく過ごせるんですが、出産して育児が落ち着いてくるとやっぱり自分は働きたいなって想いが湧き上がってきました。
人によると思いますが、私は専業主婦で子どもとだけ向き合う方が大変だなって思ったんですよ。お母さん業もサラリーマンとしての仕事も、両方あったほうが切り替えられるなと。逆にお母さんだけをやっていると、視野が狭くなっていく気がするんです。夫に何かあったときにも、自分が会社にずっと所属していた方が安心ですしね(笑)。
育児と仕事を両立するコツはありますか?
実家が近くにあるので、とても助かっています。
母はパートで働いていましたが、どちらかというと子育てに重きを置いてきた人なので、最初は私のやり方に反対でしたね。0歳から保育園に入れて馴染まなくて、泣きはらした顔で帰ってきた子どもの顔を母がみて「そこまでして、働きたいの」と言われたことはあります。
最初はそんな感じでしたけど、大きくなってくるとお友だちができて毎日楽しいし、子どももおばあちゃんと2人きりだと飽きてきますよね。おばあちゃんも体力的にきつくなってくるし、2人の世界よりも色んな人とふれあえるほうがいいかなって思います。保育園とおばあちゃんなしでは働けないですね!
復帰するときに意識したことはありますか?
復帰するタイミングで、「創業以来、はじめてだよ」って言われることが多かったんです。つまり、私の後ろに続く後輩たちがいるということですよね。初めて取得したからこそ「次の人が取りやすくなるように」働きたいなと思いました。
「先輩は復帰してバリバリ働いているけど、私にはあんな働き方ができないから、復帰できるかが心配」と言っている大学の友人もいて、私の後輩がそんなふうに思ってしまったら申し訳ないなと思っていました。仕事をコントロールしながら、できるだけ5時で帰るように意識しましたね。それが、私の責任だと思いました。周りのサポートもかなり大きかったです。
日々の仕事を整理整頓、進捗を周りにわかりやすく
子育てするようになって、仕事に対する向き合い方は変わりましたか?
復帰してから、仕事の考え方が大きくガラッと変わりましたね。それまでは、自分の時間を100パーセント仕事に使えましたし、「自分がわかって自分ができればいい」という考え方で仕事をしていたと思います。
今は時間にも限りがあるし、もしかしたら今日の夜に子どもが熱を出してしまうかもしれない。そんな状態だと、電話で「資料がそこにありますから、それを持っていってもらえればわかります」と指示できないと、仕事が回らなくなってしまいます。
「このクライアントの資料はここにあって…」という整理整頓から始まって、常に報告しなくても進捗状況をわかってもらえる状態にする必要があるんですよね。
すぐに誰かが引き継げる状態にするのは大変ですね!
勤務時間が9時から5時までしかないので、仕事の優先順位をしっかりつけるようになりました。復帰して子育てしながら働いていると、どんどん割り切りが潔くなっていきますね。
100%とまで行かなくても、時間内に一定の水準を満たすようにしないと回らないんです。逆にそうやって効率よくやれば、他の人も長時間働かなくても回るのに!と思っています(笑)。男性が意識して早く帰るようにならないと、女性の働き方が変わらないですからね。
古川さんのような働き方が社内に浸透すると効率がよくなりますね!
そうですね、残業がなくなるかもしれませんね。ここ最近、残業をよしとしない社会的風潮も広がってきて、生産性向上やワークライフバランスの実現が求められるようになってきましたよね。
会社でもノー残業デーができたり、7時以降になるとパソコンが立ち上がって終業を知らせるメッセージが流れてきたりするんですよ。
最後に、人生の先輩として女子学生へメッセージをお願いします。
あれもこれもやりたいんだったら、がんばってやればよいと思います。
子育ても仕事も、プライベートで自分だけの時間を作るのも、やろうと思えばかなえられる社会環境になってきていますよね。社会全体が女性活躍を後押ししてくれているので、その波に乗って自分が信じた道を突き進んで行ってください。
会社紹介
1923年の創業以来、多くの企業様に優良なオフィス空間を提供してきたダイビル。一貫して豊かなオフィス空間の創造と賑わいのある街づくりに取り組んでまいりました。
現在は東京・大阪の都心部に24棟のオフィスビル・商業ビル、15棟の賃貸マンション・老人ホームを所有・運営。ベトナム等海外の成長市場へも進出しています。都市開発というスケールの大きな仕事でありながら、その中心となっているのはわずか80名程の社員。部署を横断しての取り組みも多く、若手でも会社の中心メンバーとして活躍できるのが当社の最大の特徴です。任される責任が大きい分、仕事の面白さや成長が実感できます。あなたも、私たちと一緒に思う存分活躍してみませんか。