短大卒業後、IT企業を経て、現在は非営利型株式会社Polarisで代表取締役として働きながら、二人のお子さんの子育てをしている市川望美さん。
「心地よさ」という言葉から生まれた、コワーキングスペース「cococi」へお邪魔して、市川さんの学生時代やPolarisで行っている新しい女性の働き方のお話をお伺いしました。
Polarisでは、新しいはたらきかたを実現するためにコワーキングスペース「cococi」の運営、子育て中の女性がチームで仕事を請け負う「セタガヤ庶務部」の運営、企業と主婦による商品企画など、地域で働く女性をさまざまな形でサポートしています。
行きの飛行機と1週間分のホテルだけ取って留学!
学生時代はどんな夢を持っていましたか?
私が子どもの頃はまだ海外が身近ではなく、テレビ番組の海外特集を見て海外に興味を持つようになりました。
「スチュワーデス(CA=客室乗務員。当時は「スチュワーデス」と呼ばれていた)になれば海外に行ける!」と思い、CAを目指すことに。中学の卒業文集にも「スチュワーデスになりたい」と書いていました。
そのまま将来の夢は変わらず、CAの養成校といわれるほど希望者が多い短大の英文科へと入学しました。
その後、短大1年生のときにオーストラリアのシドニーに留学しました。
留学で得られたことはどんなことでしたか?
初めての海外で、誰も私のことを知らない土地で、言葉も通じずに過ごしたことは大きな成長に繋がりました。
シドニーにはフェリーがたくさん走っていて、そのフェリーのパスを買って、おやつを食べながら一人で静かに海を見たりしました。
これがすごく孤独で、自由だったんです。この孤独を味わえたことが一番良かったことですね。
あとは、当たり前のように日々一緒に過ごしていた友達の中にも、連絡をくれる子くれない子がいて。
それが良い悪いではないのですが、当たり前だと思っていたことが当たり前ではなかったのかもと感じました。
当たり前だったことが当たり前ではないと気づけたことは大きな収穫ですね。
これに気づいてから、当たり前のことに縛られなくていいんだなって気分にもなりました。
初めての海外、初めての一人旅なのに、行きの飛行機と1週間分のホテルだけ取って留学したんですよ。
行ってから住むところと学校は決めようと思って。正味4カ月半くらいしかいなかったので、自分の力で関係を作っていきたいという気持ちが強かったんですね。
こんな風に、ゼロから自分一人ですべてを決めて行動する経験をさせてもらったことに感謝していますね。
留学先の学校も決めずに行くなんて、すごく勇気が必要ですよね。そんな留学経験を経て、どのように就活は進んでいったのでしょうか?CAは特殊な世界ですよね?
航空関係の会社の面接で出会ったライバルたちは、会社の型にしっかり合わせてマニュアルを読みこんだような子が多かったんです。
こういう子が求められているのだとしたら、自分はCAとしてやっていくのは難しいかもしれないという想いもありました。
型にはまるのがイヤで、みんなが紺色のスーツなのに、あえて半袖のベージュのスーツを着ていくこともありました。暑いのに、みんなと同じ格好で行くなんてやだなって(笑)。
なかなかできないことですね!CA以外にはどんな企業を受けていたのでしょうか?
通信系の会社を受けていました。
留学したときは、まだメールもなかった時代なので、毎週土曜日の朝6時に実家の母に電話で近況報告をしていたんですよ。
「一瞬で日本と繋がれることってすごいな」と思って、国際通信系の仕事にも興味が湧きました。
もちろん、CAになることが夢だけど、他の道を探すとしたら国際通信に関われる仕事がいいなと思いました。
CAを目指しつつ、ほかの企業も並行して受けるのは大変そうですね。
ほかの企業の面接では、航空関係が第一志望ということは言わないことが暗黙の了解でした(笑)。
CA志望と言うと、内定を辞退するだろうと懸念されてしまうんです。
でも、私は変に正直なところがあってこのセオリーに従うことができず、正直に話していました。
私が夢と思ってずっと頑張ってきたこと知ってもらって、認めてもらいたいと思っていたんです。
ありのままの自分をアピールしたんですね。企業の反応が気になります。
そういう熱い思いを伝えると「僕らにはそういうやる気のある女性は受け止めきれないかも」なんて、プチ圧迫面接のようなことを言われてしまうことも多かったですね。
私もそういう会社に対してはスッパリとご縁がないと諦めました。
就活は面白かったですね。値踏みされて値がつかない経験もあれば、あなたのこういうところがいいよって言ってくれる人もいて。
休学した結果1年生を2回やりましたが、その1年で就職氷河期が来て、JALでCAの採用がなくなってしまい、目の前で扉が閉まるという経験もしました。
内定をいただいた会社は「あなたがそうやって夢を追いかけてきたことはすごく応援したいけれど、できればうちに来てほしい。
あなたと一緒に仕事がしたい」と言ってもらえたんです。そんな風に私を必要と言ってくれたのは、この会社だけでした。
結果的にCAは最終面接で落ちてしまったのですが、この会社で働きたいという想いが強くなっていましたね。
「お母さんだからこうあるべき」ではなく、もっとゆるい括りで生きる
会社を立ち上げるということは、なかなか今の女子大生には想像できません。どんな思いで起業したのでしょうか?
実家が自営だったので、起業には抵抗がありませんでしたね!
母は若くして子どもを産んだのですが、私が中学に上がる頃には外で働きはじめて、いろいろな仕事にチャレンジしていて。
いくつになっても、やろうと思えば何でもやれるんだなと思っていました(笑)。
会社員だった頃は給料が良くて、辞めるときには「こんな給料を手にすることはもう二度とない」って思いました。
女性は仕事を離れると生涯賃金が大きく変わるので、そこに関しては考えることもあったけど、当時の仕事で満たされない部分もありました。
今の方がずっと社会に貢献できる仕事をしていると思いますね。
ご両親も自由な生き方をされていたんですね。
引っ越しも多かったんですよ(笑)。
自分たちが行きたいと思った場所に引っ越し、そこで新しい暮らしを作っていくという。母は外で働く以前は、家で仕事をしながらPTAもバリバリやるような人でした。
私が中学生の頃はまだおおらかな時代で、先生と親の距離も近くて、一緒に飲みに行くこともあって。
自分たちにとって怖かった先生とも母たちは仲良くしていて、「先生」と「親」としてではなく、人として付き合っている姿を見ていました。
親でもあり、働く人でもあり、先生の友人でもあり・・・役割が固定的ではないんですよね。
仕事帰りに飲んでから帰って来て、酔っぱらったまま空の鍋をかきまぜている姿を見て、すごくほほえましかったです。「お母さんだからこうあるべき」ということはないんだなと感じました。
だから私も「仕事」「育児」と振り分けるのではなくゆるい括りで考えているし、「こうならなきゃ」と自分に言い聞かせることもありませんね。
お子さんたちは、市川さんの働き方をどんなふうに感じていますか?
上の子が生まれて育休を取っているときに、世田谷の子育て支援に出会い、関わるようになったんです。
当事者として、子どもが小さいときは乳幼児のお母さんの居場所作りをして、自分が学童の母になったら学童のこどもたちのいる母親たちはどうしたらいいかって考えて。
テーマが変わっていきながら活動し続けているけど、子どもたちはお母さんが働いているというイメージはあまりないかも。
でも、私がやっていることはとても身近に感じているしすごく理解してくれていると思います。
思春期に差し掛かってきた今は、子どもたちに色んな大人と出会わせてあげたいと思っているんです。
夏休みに「イケナイ大人と出会う会」というイベントを開催したとき「どんな大人が来るの?」と子どもたちに聞かれて、「決めつけたり、大人の理屈を押しつけたりしない人が来るよ」って言ったら、「母ちゃんの周りってそういう人ばかりだよね」って言ってくれて。
多様な大人がいるということは理解してくれているみたいですね。
場所も食べ物も未来も、「心地よい」にこだわり続けること
Polarisが運営する「cococi」は「心地よい」がキーワードとなっていますが、どうやって思いついたのですか?
私は彼氏に「普通こうだろ」と言われることや、部活の先輩によくわからない伝統ルールを押し付けられることも嫌いでした。
正義感は強いし、根底から正しいものは好きですが、なんかこう押しつけられるようなものは苦手だったんです。「良いことをしているのにしんどいのはどうしてだろう」と考えることもありました。
そんな思いがある中で、ある保育園の園長先生が子育て支援の講座で「子どもは快、不快の世界で生きています」というお話をしてくださいました。だから、大人の世界の正誤を押し付けてはいけないんですと。
「正誤」ではなく「快不快」が子どもたちの世界で、「普通そうするでしょ」という大人のものさしで測ってはダメだということを知りました。そして、大人の私たちこそ、もっと「快不快」の感覚を取り戻さなくてはいけないと思いました。
園長先生のお話が「心地よい」というキーワードを生み出すきっかけになったんですね。
創業する際にどんなことがしたいか考えたときに、正しいことに縛られない働き方をしたいと思いました。そのとき「心地いい」というキーワードが思いついたんです。人は、「心地いい」って言葉にウソはつけないんですよ。
「私正しいと思っています!」ということはできても、「私、心地いいと思っています!」と言うのは難しいんです。自分の中の踏み絵にする意味でも、みんなにあなたの価値観を大切にしたいよ、という意味でも「心地よさ」というものを一番大切にしたいと思いました。
ご自身が「心地よく」いられる秘訣はありますか?
心地よくあるためのコツに、パワーフードを知る、というものがあります。自分が元気になれる場所や食べ物を知っておくと、頭で煮詰まったときにリセットできます。私は豚汁がパワーフードなんです。「何が好きなの?それはどうして?」と自分に何度も問いかけていくうちに答えが出ました。
お肉や野菜がたくさん入っていて、あったかい豚汁が好きなんです。だしをとり、野菜を切り、お肉をいため、煮る。この手順をしているうちに、なんだか自分を取り戻せるような気がします。だから、うまくいかないときは豚汁をつくって自分をリセットしています!
キャリアロスなんてありません、子育て経験というキャリアがあるからできることを仕事へ
Polarisにはどんな人が集まるのでしょうか?
Polarisを経営する役員は4人。雇用はしていないけど、Polaris全体の事業に関わってこういった働き方を広めていこうと活動しているコアメンバーが4人。
子育て中の女性がチームで仕事を請け負う「セタガヤ庶務部」には、170人の登録があり、チームで仕事をしています。
所属している母たちは「やる気がないわけでも、働きたくないわけでもなく、働くために必要な環境が得られない。
2人目3人目が欲しいけど、子どもはいつできるかわからない。だから、長期で働く約束もできない」という人がほとんどです。
「この一カ月なら幼稚園のイベントにかぶってないから大丈夫」とか「3日間なら時間が取れる」という感じで、単発の仕事を自分の暮らしのリズムに合わせて選びたいと考えているんですね。
登録メンバーの半分くらいは近隣か隣接のエリアに住んでいますが、遠くから仕事を受けてくださっている人もいます。一番遠い人は今オーストラリアに住んでいるんですよ!
遠くに住んでいる方も一緒にお仕事していることには驚きました。
セタガヤ庶務部には、転勤族も多いんです。辞令が降りたら2週間で引っ越ししなければならず、自分のキャリアを自分の意思で続けることが難しい。
でも、セタガヤ庶務部はクラウドで繋がっているので、引っ越してもすぐ仕事ができるんですよね。
私たちはこういう働き方を「地域×クラウド」と呼んでいて、地域にも根ざすけど場所や時間に囚われない働き方を提案しています。
いろんな地域に「自分のまちで働きたい」と考えている人がいるので、そういった人たちと連携して仕事ができないかなと考えています。
「お引っ越し下見サービス」もその一例です。その土地に住んでいるからこそできる仕事を沢山生み出したいなって思っているんです。
お引っ越し下見サービスはどのようにして生まれたのでしょうか?
転勤族は、物件も見に行く時間もなく、家の図面と勤務先へのアクセスだけを確認して引っ越しているような人が多いんです。
近くに児童館があるかどうか、保育園や幼稚園はどう選べばいいのか、こどもの習い事は続けられるのか、そんな地域の子育て情報がわからなくて、引っ越したらもうヘトヘトで探す気力もなくて。
そんなお母さんたちが、引っ越す前に、自分たちの暮らしに必要な色んな情報を取り入れることができたらいいのに、と思いました。
そこから引っ越し下見サービスが始まったんです。この発展形で、企業とのコラボで地域情報コンシェルジュという仕事もやっています。
マンションのモデルルームに滞在して、契約希望者向けに、地域情報をお母さんたちが伝えて教えています。これが、すごく契約率に貢献をしているんですよ!
お母さんの視点を活かした新しい仕事の形ですね。
庶務部は基本業務の請負なので事務なのですが、事務のスキルってやっぱり使わないと劣化するんですよね。
10年経って新しく学ぼうとしても、若い子に勝てるわけもないですし。
だから、再就職をして企業の末席に座らせてもらったとしても、それが本当に好きな仕事にならないと「子育てより優先してまでやりたいか」と悩みますよね。
さらに「社会復帰」なんて言われたら、子育てしてきた10年間はなんだったんだろう、と悲しい気持ちになったりするんです。
たしかに、「社会復帰」という言葉は主婦の方に使われるイメージです。
お引っ越し下見サービスは、そんなキャリアブランクのある人たちの話が一番活躍してくれています。
まちの様子、お店のこと、幼稚園も習い事も耳鼻科も小児科も知っている。彼女たちの情報が一番価値のあるものになっています。
これまでの経験が仕事に活きると「私、主婦でよかったです」と言ってくれるんですよ。
既存の労働市場に入っていくことも大事だと思うけど、やっぱり今までの暮らしを否定されることなく、そこからダイレクトに価値を見出したいなって思ったんです。
そうなれば、「キャリアロス」になりませんよね。
なるほど、主婦としてのキャリアが活きるんですね!
こういった、地域の価値に繋がる仕事を「ロコワーク」と名付けています。ローカル×コワーキングの造語です。
そのまちに住んでいるからできる仕事、生活者だからできる仕事をたくさん作りたい。自分の経験が価値になって自信がつくと、逆に企業での再就職に前向きになったりする人もいるんですよ。
みんなが同じ思いで過ごし働けるように、虹色のキーワードで架け橋を
たくさんのお母さんが働くPolarisでは、仕事をする上でどんな工夫をしていますか?
母たちは優しくて周囲に気配りできる人が多いからこそ、モヤモヤする人も多いんです。なので、モヤモヤ解消のコミュニケーションを取っています。
「私の考えすぎかも」や「これを発言すると空気読めないかも」「こう答えるべき?」なんていう、本当に思っていることを言わないコミュニケーションって多いじゃないですか。
本当はそこに大切なことが隠れているんですよね。
だから、モヤモヤしていそうだなと思ったら「今、モヤモヤしてる?なんでモヤモヤしてるの?さっきの言い方が気になるの?」など問いかけてみたり、そもそも「真ん中のテーブル」という表現を使って、多様な視点からの意見を真ん中に出してみんなで心地よいコミュニケーションをしていこうと折々に発信しています。
私たちは安易に「そうだよね」って共感しないことを決めているんです。モヤモヤの根っこにあるものを自分の中で意識することができないと、心地よく暮らし働くことにも繋がらないんです。
「安易な共感より純粋な質問」を心がけるようにしています。
モヤモヤをあえて口に出すルールを取り入れて、何か効果はありましたか?
企業とのワークショップでも役に立ったことがあります。
「子育てママを応援する家電を作る」というワークショップで、話し合いの中盤に差し掛かった頃に「そもそも子育てママを応援する家電って違和感がある」とモヤモヤした気持ちが発言として出てきたんです。
ママが苦労していることを前提にしているけど、本当にそういう解消の仕方でいいのかという話になり、企業の方も今までなかった発想に驚いていました。
家事っていうのは家族のコミュニケーションを作るものとも言えるのだから、安易に楽にしてはいけないのでは、という方向へと話は進んで行きました。
事例として、追い炊き機能が壊れたときに家族がチームになったというものがありました。
お母さんが声をかけて、子どもがお湯の温度を確認して、お父さんがお湯を継ぎ足す。普段ボタンひとつで終わっていたお風呂を沸かす行為が、家族みんなでコミュニケーションするきっかけになったんです。
こんな風に、便利にすることだけがいいことじゃない、家事を別の角度から考えるとぜんぜん違うアプローチがあるかもしれないねという発想につながっていったりするんですよね。
ここまで議論が深まったのは、モヤモヤした気持ちを自分の中に閉じ込めずに企業に向けて発信できたからだと思います。
「そもそも、どうしてそうなんだろう」という本質的な問いは自分の中のモヤモヤを意識することで浮かび上がる問いです。
女性は共感力が高いし、なんかその場でふさわしい発言をしたがりますよね。賢くて優しいけど、薄く我慢している。
それじゃあ誰も幸せになれないですから。ほかにも決まりごととして「Polarisの”未来のために今だいじなこと”」という11のキーワードを掲げています。
気になるワードがたくさんありますね。紹介していただけますか?
「旭山動物園」についてですが、これはPolarisを立ち上げる際にそれぞれが憧れている組織を共有したのですが、目指す方向のイメージとしてぴったりだったのが旭山動物園でした。
ここは、「行動展示」という見せ方で動物たちの魅力を生き生きと伝えている動物園です。行動展示とは、その動物の生態やそれに伴う能力を自然な形でみせる展示方法です。
例えば、ペンギンはよちよち歩いてかわいいイメージですが、自然の中にいる彼らは空を飛ぶように泳ぐ生き物なんですよね。
旭山動物園は「空飛ぶペンギン」を見られるような展示をしています。パンダのようなスターの動物はいないけれど、そうやって、動物たちがその動物らしくある姿を見せることで価値を生み出し、沢山の人が北海道まで訪れています。
特別な動物を見せるのではなく、普通の動物の暮らしを魅力的に見せていることが価値に繋がるんです。
私たちも芸がない”フツー”の主婦だけど、芸を覚えるのではなく、その人が持つ個性や一番の力を発揮できるような仕組みを作り、発信していくことで、生き方や働き方の多様性を発信していけるのではないかと思っています。
動物園の仕組みをヒントにするのは面白い発想ですね。「0.8と1.2」というキーワードも気になります。
「ママは大変だから無理しなくていいよ」と甘えさせてくれる環境があると、1.0やらないといけないところを0.8で許されてしまう。
その環境に甘んじて「ラッキー!0.8だけやればいいや」となってしまう人ではなくて、0.8でも許されちゃうところだけど1.2まで頑張りたいなと思うような人と一緒に働きたいって思うんです。
1.2じゃなくて1.01でもいいんですよ。ここまででいいよ、と言われているラインをほんの少しでもオーバーすることは、着実に成長に繋がります。それぞれがほんの少しのオーバーアチーブを実現してくれるといいなって思います。
また、コアメンバーには「心地よく暮らし働けているか」セルフチェック表を作成してもらい、10段階で評価して、自分の暮らしの中でどれだけPolarisのミッションを体現できているかを確認してもらっています。
これから新しい時代を生きる女子大生たちに必要なことは?
育休産休が取得できるかどうかを念頭に就活をしている女子大生は多いと思いますが、それについてどう思いますか?
就職と恋愛って近いものがあると思うんです。結婚するとき「生涯愛し続けます」と誓うけど、最初のテンションがずっと続くわけではないですよね(笑)。
仕事も同じで、社会も自分も変わっていきます。「ずっと働き続けます」と言っても、できない事情だって生まれてくるじゃないですか。
古くなってしまった想いや約束に縛られるのではなく、もっと大胆に縛られない働き方を選ぶこともありだと思いますね。
最後に、ハナジョブ読者が前向きに将来を考えるにはどうしたらいいかアドバイスをお願いします。
緩やかでも価値を見出せることが大切なことですね。今まではスキルがないと価値を見出せないという時代でした。
これからはスキルじゃなくて、発想力とか提案力が求められると思うんです。
英語が喋れる、プレゼンができるとか、そういうスキルはないけれど、生活に根差した情報を持っている人でも、企業に価値を伝えられる、価値があると認められるようになってきています。
求められるところに価値がうまれるんです。だからスキルだけでなく、「これから先自分がどういう価値を出せるのか」「どんなことが必要とされているのか」にこだわった方がいいと思います。
「何も持っていないから何もできない」ではなくて、「持っているもので表現できる価値は何か」というように、自分の持ち物を磨いていこうって考えてほしいです。
そして、自分にとって「心地いいってなんだろう」って考えて、求められていることに合わせるのではなく、自分がやりたいことや言いたいことを形にしながら未来を切り開いていってほしいです。
そのほうがずっと、仕事が楽しくなりますよ。
インタビューを終えて
「心地よい」という言葉は自分で口に出しても耳にしても、ほわっと心が温かくなるような魔法の言葉だと感じます。
そんな言葉がぴったりの柔らかい雰囲気の市川さんは、目指したいものや大切なものをはっきりと話してくださり、強い芯も持っていることが伝わってきました。
育児をしながら企業で働くという未来ばかりを想像していた私にとって、Polarisでの働き方は女性が活躍できる場所が増える大きな希望であり、自分の未来に選択肢が増えた瞬間です。
この記事を通して新しい女性の働き方がハナジョブ読者のみなさんに届くと嬉しいな、とワクワク想像しながらのインタビューでした。