自分の人生を生きる、美しい母を増やしたい vol.4(マドレボニータ)

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マドレボニータの連載「母となって働く」と連動した、代表の吉岡マコさんのスペシャルインタビューです!2015年夏休み特集として、全4回でお届けします。(第1回第2回第3回

NPO法人マドレボニータは、出産後の女性のための心と体を健康にするためのエクササイズとコミュニケーション力を取り戻すワークを全国の女性に届けています。

マドレボニータが提唱しているのが“Live Your Life”。いったいどんな意味が込められているのでしょうか。

マドレボニータを立ち上げた、代表の吉岡マコさんの「これまで」と「これから」を伺いました!(2015年7月時点の情報です)

法人化して得たものと失ったもの

1998年に教室を始めて8年。2006年にNPO法人マドレボニータを設立したマコさん。法人化するにあたって、インストラクターの認定制度を始めたそうですが・・・。

すべての人に産後ケアを届けるために

法人にしてみて何か変化はありましたか?

はじめは法人化は考えていませんでした。

細々とやっていって、自分と子どもが食べていけたら十分かなと思っていました。

でも、関わってくれる人が増えていき、逃げられなくなりました。全国各地から「私もマドレボニータをやりたい」とう声があつまっていました。

マドレボニータをNPO法人しようと思ったのは、「公共性」というのを意識し始めてからです。

産後ケアは、意識の高い、選ばれた人のためのもの?違うよね。

母子手帳や母親学級と同じように、すべての人に保証されるべき権利でなくちゃいけないはず。自分の産後にそう思ったことを思い出しました。

母子手帳にだって、いつかは産後のことを載せてもらいたい。それを働きかけるにも、個人の力だけではできない。

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具体的に、どのようなことを始めたのですか?

この産後プログラムを、もっとたくさんの人に、もっと他の地域の人にも受講してもらえる体制をつくる。

そのためには、インストラクターを養成し、そのクオリティを担保するための認定制度を整備しないといけない。

インストラクターの養成は法人化する前からやっていたのですが、認定試験まではやれていなかったので、この機会に実技試験と筆記試験をつくりました。

でも、その試験を受けて認定インストラクターになってくれたのは、いままで養成コースで教えた人の2割程度でした。

マコさんの考え方に合わない、自分らしくやりたい、といって去っていった人もたくさんいました。

インストラクターに求めるもの

どのような人にインストラクターになってほしいですか?

マドレボニータの認定インストラクターは、個人としてレッスンがやれればいい、という姿勢ではなく、レッスンが終ったあとは、マドレボニータ共通の報告書に記入して、自分の教室で得た知見を仲間とシェアするという姿勢をもっている人。

仲間の報告書を読み込んで、そこから出てくる知見をみんなでシェアして、月イチの報告会でディスカッションする。

こういった作業の積み重ねが、このプログラムをよりよくする、インストラクターひとりひとりのクオリティを向上させていける、ということを理解している人です。

こうやって仲間と切磋琢磨していくことに興奮する人たち、考察好きの人達。それがマドレボニータのインストラクターです。

参加者のみなさんにも、その部分を高く評価していただいています。

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組織であるからこその世界と、その痛み

法人化して去った人もいるけれども、切磋琢磨できる仲間と日々改善を繰り返す、マドレボニータ。マコさんはその中で、組織であるからこその世界を作れるのではないかと考え始めました。

知見はインストラクター全員の宝

今はどんなことに一番苦労されていますか?

下北沢で教えている教室を九州でも北海道でもやりたいですとういう声がでてきたときに、ノウハウを渡すだけではクオリティは担保できないということがわかりました。

養成されたインストラクターひとりひとりが、毎月報告書を書いて自分たちの教室を振り返り、その報告書を持ち寄って切磋琢磨する。

岐阜教室で起きたことが、次の月には沖縄教室で起きるかもしれない。仲間のインストラクターがシェアしてくれた知見というのは、インストラクター全員にとっての宝なのです。

毎週、毎月、現場でいろんなことが起きる。それをピックアップして月に1回の報告会でディスカッションする。

たくさんの知見を集めて、日々改善しているんですね。

いまあるガイドラインやルールは、こうやって現場の知見に基づいて皆で話し合って作ってきたものです。年に一度の合宿では全員が一同に会します。研究は終わることがないですね。

こうして、同じ目的とスキルをもった人が、距離を超えて、定期的に、継続して、コミュニケーションを取り続けるというのは、想像以上に難しいことです。

テクノロジーの発達とともに、距離の問題、時間の問題を乗り越えてきましたが、顔を直接あわせられない人たちとのコミュニケーションには工夫や配慮が必要です。

赤ちゃんや小さい子どもを子育て中で時間が有限であること、各地のインストラクターたちの孤独感、産後ケアの認知度の低さ、毎月新規の参加者を集客する難しさなど、まだまだ課題はたくさんあります。

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ハードコアなスタッフと作る、新しい世界

これまで苦境をどう乗り越えてきたのでしょうか。

「これ乗り越えられるのかな」と思うとき、たくさんあります(笑)。

2006年に法人化したとき、何人もの人に別れを告げられ、誰もいなくなるかもしれないとまで思いました。その時に残ってくれた人が、今はとても重要な仕事をしています。

私には到底できないことを考えて、実行してくれて。そこが組織でやっていく意味だと実感していて、本当に感謝しています。

今マドレが生き残っているのは、いろんな人の得意分野を持ち寄っているからだと思います。

最初は1人になってしまうかもしれないと思いましたが、そこで残ったハードコアな人たち、そして新たに加わってくれた人たちが、才能を発揮して、すごくいい仕事をしています。まだ見たことのない世界を作れるなら作りたいと思って、諦めずにがんばっています。

リアルに動いている人の近くへ

最後にマコさんから女子大生へのメッセージをお聞きしました。

子どもは社会で育てるもの。自分には関係ないと思わないで。

まだ産後が身近でない学生に、メッセージをお願いします。

時間があるから今しか経験できないことを積極的にしてほしいな、と思います。

学生はキャリアプランとか婚活とかで頭でっかちになりがち。そうすると失敗するのが怖くなると思うので、頭で考えすぎず、リアルに動いている人の近くに行ってほしいです。

産後ケアということに対して学生が知っておくべきことはありますか?

学生にとっては産後ケアどころか出産もまだだし、妊娠もまだだし、結婚まだだし、彼氏もまだだしとか、まだ自分はずっと手前にいると思うかもしれないですが、「子どもは社会で育てるもの」っていうことをわかっていてほしいですね。

「自分はまだまだだから関係ない」って思わないでほしくて。

例えば先輩が妊娠出産したとき、親戚が妊娠出産したときはコミットするチャンスだから、まず産後のおうちにご飯を作りに行くとか、沐浴の手伝いをしに行ってほしいですね。

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どう関わればいいのか、わからなくて躊躇してしまいます。

産後って、「家族水入らずで、そっとしておいたほうがいいんじゃないか」って思うかもしれない。でも産後の母親は、社会から隔絶されていて、とても孤独で寂しいんです。

たとえ夫がイクメンだとしても、夫と女子トークはできないですよね。まだお出かけができない産後の初期に行ってあげると、とても喜ばれます。

でもそのときはお客さんとして行くのではなくて、マッサージしてあげたり、お惣菜を差し入れしたり、キッチンを借りてゴハンをつくったり、洗濯物をたたんだり、などのサポートをしてあげてください。

産婦がゴハンたべているときに赤ちゃんを抱っこしておいてあげるだけでも大きな助けになります。もし産婦がうっかりハイテンションになってしまったら「赤ちゃん抱っこしますから、横になって過ごしてください」ってちゃんと教えてあげてくださいね。

LIVE YOUR LIFE!!

最後に、マドレボニータはスペイン語で「美しい母」という意味だそうですが、吉岡さんにとって「美しい母」とはどのような女性ですか?

自分の人生を生きている女性。「○○さんのお母さん」というだけではなく、1人の人間として、自分の人生を生きている人は美しいと思います。

そんな大人の姿を、子どもはきっと見ていると思います。

インタビューを終えて

AFSの経験から抱くようになった社会へ貢献する使命感、運動が嫌いになった時期、社会で育てるという子育ての経験など、インタビューを終えて今までの様々なことが現在のマドレボニータを運営する吉岡マコさんに繋がっているのだということがよく分かりました。

「学生は頭でっかちで頭だけで考えがちだから出来るだけリアルで動いている人の近くへ」というアドバイスがありましたが、今回の取材で生き方や考え方を直接聞くことができ、とても刺激を受けました。

困難を乗り越えながら、これからも夢を持って前進し続ける、とてもエネルギッシュで素敵な方でした。まさに、マドレボニータです!

吉岡マコさん、お忙しい中どうもありがとうございました。

学生記者:和田紗容子

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吉岡マコ

NPO法人マドレボニータ代表。

1972年生まれ。東京大学文学部で身体論を学び、卒業後、同大学院生命環境科学科で運動生理学を学ぶ。1998年に出産。その辛さや産後女性のサポート体制がほとんどないことを知り、産後ケアのヘルスプログラムを独自に研究開発、そして教室を開講。

2007年にNPO法人マドレボニータを設立し、企業・行政・大学とも連携しながら、プログラムを普及させている。また、産後女性の体と心に関する調査研究事業も積極的に取り組み、「産後白書」を3まで出版している。

2014年6月には、マドレボニータが日本日経新聞社主催の「第2回日経ソーシャルイニシアチブ大賞」において「国内部門賞」、2015年3月にGoogleインパクトチャレンジ「Women Will賞」を受賞している。

NPO法人マドレボニータ

マドレボニータはスペイン語で「美しい母」。母となった女性が主体的な人生を歩むことのできる社会を目指し、「産後」を起点とする社会問題に取り組んでいます。
「美しい母がふえれば、世界はもっとよくなる」をキャッチフレーズに「子育ての導入期」という最も不安定な時期にある女性の心と身体の健康をサポートしています。

現在は、産後の心身のリハビリに特化した「産後のボディケア&フィットネス教室」を運営する〈教室事業〉、教室運営を通じて産後女性に寄り添うプロフェッショナルである「産後セルフケアインストラクター」を養成する〈養成事業〉、「産後」という社会問題をより広く啓発していくことを目的とした〈研究開発事業〉の3つの軸で活動しています。

http://www.madrebonita.com/

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About Author

和田紗容子

法学部政治学科3年。まだまだ初心者ですが海外ひとり旅が大好きで、長期の休みになるとヨーロッパや東南アジアやモロッコに上陸し、ぶんぶんバックパックを揺すらせながら、この目で世界を見てみたいとずんずん冒険をしています。サークルではしっとりクラシックギターでのアンサンブルを楽しみ、行政学のゼミではがっちり日本のことをあれこれ考え、家ではちゃっかり姉のシャンプーを使いよく怒られます。


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