「社会人若葉マークのわたし」では、新卒社員として入社をしてから1~2年が経過した先輩たちに「現在の仕事内容や仕事のやりがい」「入社し働いて気が付いた社会人の面白さや苦労」「これからのキャリアをどう考えているか」などをインタビュー。
社会人は大変なこともあるけれど、楽しいこともたくさんあるという思いを語っていただき、これから社会人になる女子学生の皆さんの背中を押します。今回は、スタートアップのコンサルティング仲介会社で働く新社会人Saeさんにお話を聞きました。
お客様はあらゆる業界の企業!より良い提案をするため、勉強の毎日!
現在働かれている会社について教えてください。
個人の知見と企業の課題をマッチングさせるという、知見のマッチングプラットフォームを運営する会社で働いています。企業が新規事業や研究開発など新しい領域に進出する際に、自社にノウハウがなかったり、インターネットで探しても情報がないという事態が発生します。このような企業が持つ課題に対し、彼らが知りたい情報に精通している人を紹介することで解決するというビジネスモデルになっています。
今のお仕事内容を教えてください。
企業から「こういう事業を始めるから、こういう人を紹介してほしい」という依頼をいただき、その依頼に合った人を自社のデータベースから探し出して提案するという仕事をしています。今年4月の入社から4か月半で約250件の案件を担当しました。
お仕事で大変なのはどんなことですか?
あらゆる業界の知識が必要になる点です。業界問わずさまざまな企業がお客様となるため、それぞれの業界について勉強をしなければなりません。お客様となる企業の意図や背景はもちろん、業界のトレンドも抑える必要があります。
特に大変だったのは製薬業界です。専門用語が多く、治験のプロセスや薬機法という薬剤に関する法律の勉強が難しかったです。
どうしてそこまで徹底した勉強が必要なのですか?
企業と専門家の間に入る人の付加価値が大切だからです。新規事業を始めるとなると、企業の方はアイデアがフワっとした状態で調査を開始するケースも少なくありません。
そのため、「とりあえずこんな人」という抽象的な条件で私に依頼が来ることもあります。したがって、個人の知見と企業の課題をマッチングさせる私たちは、お客様となる企業の依頼の解像度を上げる必要があり、その企業と業界について深く知っておく必要があります。よって、常に勉強が欠かせません。
入社前後でギャップはありましたか?
ベンチャー企業はガツガツした人が多いのかと思っていましたが、意外とそうでもなく、驚きました。また同期の人たちも、全業界を扱う仕事のため、知的好奇心が旺盛で、情報収集が好きな勉強熱心な人が多いですね。みなさんとても優しく、人の個性を尊重できる人ばかりで、そこが入社前とのギャップです。
大手?ベンチャー?不安な気持ちを払拭し、自分の思いを叶えられるベンチャー企業へ入社を決意!
今働いている会社を選んだ理由を教えてください。
私には就職活動をするうえで二つの大きな軸がありました。一つは、「事業と組織を創っていける人になる」こと。もう一つは、「どんな人でも強みを生かせる社会にする」というものです。
前者については、私の父親と祖父が起業家だったので、ゼロから一を作れる人に憧れていたからです。さまざまな人を幸せにできる仕組みや経営をしていける人になりたいと思っていたため、その目標が達成できそうな会社で働きたいと考えていました。
後者については、私の家は自営業で少し特殊だったため、一時経営が上手くかず家庭環境が変わってしまった時期があったことが原点です。その時期は、私も家にいるのが辛く、自己肯定感が下がってしまいました。その時に感じたのが、環境が人に与える影響はとても大きいということでした。
そうした経験から、人が置かれている環境によって人生の機会に格差が出ることに問題意識を感じていたため、そういった格差を乗り越えて、どんな人でも強みを生かせる社会にしたいという強い思いがありました。そして、これら二つの軸に当てはまる企業を探そうと思った時に、事業と組織を創っていける人になるとしたら、やはりベンチャー企業がいいなと思い、ベンチャー企業を中心に就職活動を進めました。最終的に今の会社に出会い、内定をいただきました。
周りにベンチャー企業を考えていた友人はいましたか?
全然いなかったです。周りにいなかったので、ベンチャー企業を中心に就職活動はしていたものの、正直不安でした。一応、大手企業からも内定をいただいていたので、今の会社の内定承諾期限ギリギリまでどちらに行こうか悩んでいました。しかし、元々持っていた強い思いもあり、今の会社に入社することを決めました。
大手かベンチャーかという葛藤の中でも、今の会社に入社しようと決意したのはどうしてですか?
私は就職先選びには、「お金」「身に付くスキル」「社会に与える価値」の三つの軸があると考えています。そして、その軸に照らし合わせた時に、内定をいただいていた会社はそれぞれについて良し悪しがあり、優劣つけがたい状態になってしまいました。そこで、自分の中で何を一番重視したらいいかと考え、結果的に「成長したい」「仕事を頑張りたい」という思いが浮かび上がりました。
その後、自分にとって成長できる環境とは何だろうと自問自答し、事業に対して当事者意識を持てる環境だと気付きました。事業を自分事として考えて、「休みの日も事業を考えていたら楽しい」「このビジネスや会社について考えていたら楽しい」と思えるくらいの環境だったら自分は成長できるのではないかと思ったのです。
そして、「お金」「身に付くスキル」「社会に与える価値」の三つの中で一番当事者意識を持って頑張れる環境に身を置くためには「社会に与える価値」を重視するのが一番だと考え、今の会社が自分の価値観の中でヒットしました。
今の会社に入社を決めてからはどうでしたか?
実は入社を決めてから入社をするまでが一番不安でした。不安を和らげるために、不安な理由は何だろうと考え、将来に対する解像度の低さが原因ではないかと気付きました。
そこで、会社の社員さんにOB訪問ような感じで様々なことを尋ねて、入社までに、自分が長期的にやりたいことやどういう人になりたいのかを明確にしました。そして、こうした目標からこの会社で何ができるのか、会社の中のキャリアプランを立ててみたら、自分がやるべきことがわかり、不安な気持ちが和らぎました。
自分が考えたサービスを世に出したい!目標を達成するため、目の前のことを着実に。
これからの目標を教えてください。
「事業と組織を創る人になる」という軸を持って入社しているので、いずれは会社の中で新規事業に参画して、そこを伸ばしていくということをやりたいです。
また、自分が考えたサービスを始められるくらいの企画力を持った人になりたいと考えています。とにかく今は、そのためにも、会社のミッションにコミットして目の前のやるべきことや挑戦に対して一生懸命取り組みたいと考えています。
今、社会人として何分咲きだと感じていますか?
1年目としては4~5分咲きですが、これから続く長い社会人生活の中で考えたら1分咲きにも満たない気がします。将来的に会社をさらに大きくするためにさまざまなことに挑戦したいので、今はその基礎を学んでいる感覚が強いです。とりあえず1年目の目標は、システム改善といった長期的に会社にとってプラスに働く提案や、自分が考えたサービスを社長に提案することです。
最後に、就活生に向けてメッセージをお願いします!
就職活動をやる目的は、内定をもらうのも大切ですが、最終的には自分が選んだ道を正解にできるかどうかというところだと思います。だから、自分が選んだ就職先に自信を持って、そこで頑張ろうと決意できるように納得できる就職先を見つけてほしいなと思います。
インタビューを終えて
強い思いを持って今の会社に入社されたSaeさん。周囲にベンチャー企業に進む友人がおらず、入社までは不安も大きかったそうですが、行動することでその不安を払拭されたのがすばらしいと感じました。
夢や目標を叶えるまでには、大きな壁に衝突することがあります。しかし、そこでいつまでも立ち止まるのではなく、解決への一歩を踏み出すことの大切さに取材を通して気付かされました。