【社会人若葉マークのわたし】では、新卒社員として入社をしてから1~2年が経過した先輩たちに「現在の仕事内容や仕事のやりがい」「入社し働いて気が付いた社会人の面白さや苦労」「これからのキャリアをどう考えているか」などをインタビュー。社会人は大変なこともあるけれど、楽しいこともたくさんあるという思いを語っていただき、これから社会人になる女子学生の皆さんの背中を押します。
最終面接で確信「ここなら自分の夢が実現できる」
現在のお仕事内容について教えてください。
物流部署の企画担当です。先々の商品販売計画を元に、物流事業として何をすべきか計画を立てます。必要になるトラックの手配はもちろん、その商品をお客様にどうやって届けるかということも企画しています。
物流関係の仕事にもともと興味があったのですか?
いや、正直言うと物流もメーカーも強く志望していた業界ではないです。グローバルに活躍できる仕事をしたかったので、就活の際は商社しか見ていなかったです。商社に入社して、日本の良い製品を海外にどんどん持って行き、使ってもらいたいと考えていました。
大学でグローバル関係の勉強をされていたのでしょうか?
はい、大学院に進学して、農学経済という分野を勉強していました。
農学経済というのは、農業発展の方策について、経済分析をもとに提言する研究分野です。
私はその中でも国際的なことに興味があって、途上国の開発を研究しました。途上国のデータを用いて、どうやったら経済発展するのか、経済発展しない理由はなぜなのかを調査していました。
ちなみに発展途上国に興味を持たれたきっかけは何ですか?
小学生の時に発展途上国の存在と、日本が恵まれた国であることを知ったのがきっかけです。生まれた境遇で得られる機会が違って、運命がある程度決まっている世界に違和感を持ちました。そこから調べていくうちに、発展途上国の課題っていろいろ解決策を取ってきたのに、なんで永遠になくならないのだろうと疑問に思ったんです。それで大学院で調査分析してみたいと思いました。
当初は商社を強く志望されていたとのことですが、なぜ最終的に今の会社(メーカー)に入社を決められたのですか?
決め手は、「人の良さ」ですね。面接で変に気を張ることなく、ずっと自然体でお話しすることができました。そして最終面接での人事の言葉で、自分の目標・夢が実現できることを確信しました。私、面接で志望度を聞かれたときも「商社しか考えてないです」って馬鹿正直に言ったんです。それに対して、「その目標やったらうちでできる」「うちで成長させたる」って言われて…「めっちゃ懐深いやん!」と思って飛び込んでみようと決意しました。
すごく素敵な人事の方ですね!その面接で語ったMさんの目標・夢は何だったのですか?
大学院の研究や留学で海外を何度か訪れました。そこで毎回思うのは「日本最高」。日本人の丁寧さ、謙虚さ、誠実さ、そこから生まれる”GOOD things”。この日本の素晴らしさを海外に広めたいと思ったんです。ミャンマーを訪れた時、日本で廃車になったバスが走っていたのを見て、日本製品への絶大な信頼も感じました。でも最近は他国と比べて日本の力は弱まってきていると思います。日本のゲストハウスでバイトしていた時、お客さんに「日本はITがものすごく進んでいると思ってプログラミングするために来日したけど、セキュリティが緩すぎて辞めた」と言われてショックでした。これから日本は退化していくのではないかと不安に感じました。私は、日本が大好きで、ずっと世界に誇れる国であってほしいという強い思いがあります。だからこそ、日本の良さを海外に広めていくこと、日本も海外もより良い世界にしたいという目標・夢を語りました。
素晴らしい目標ですね!今もその壮大な目標は変わっていないですか?
変わっていないです。最終的に今考えていることも、発展途上国に自社製品を持って行って、製品を楽しんでもらったり、現地に工場を作って雇用を創出したり、労働環境を整えたいと考えています!
社会に出て感じた自分の小ささ
入社前に思い描いていた社会人像はありますか?
フォーマルな格好をして、外回り営業をしているイメージ。本当に総合商社で働くことだけを考えていたので、社外の人と常に商談していると思っていました。
実際社会に出てみて感じたギャップは何ですか?
そうですね、自分のやっていることの小ささに気づきました。入社前は「自社製品をグローバルに広めていくような仕事をしよう」と決めて、そのために生産者とお話をして自社製品のファンを増やしてくというイメージを持っていました。でも実際は、そんなの一人でできるわけなく、チームで協力して進めていく必要がありました。仕事も細分化されていて、自分の担う役割は想像よりも小さいと感じています。
大企業ですし、余計仕事は細分化されていますよね…
そうですね。大企業は仕事の規模や動かす金額が本当に大きいので、どうしても個々人が大きな歯車の一つのようになってしまいますね。それでも不満はないです。何もかも規模が大きい分、圧倒的に関わる世界の広さが違って視野が広がり、やりがいにつながっています。
夢の実現に向けて、今は目の前の仕事を着実に。
社会人一年目として自分を評価するなら、今何分咲きですか?
すごく難しい質問ですね…(笑)入社前に考えていた理想や目標と、現実があまりにも違いすぎて…。目標に対しては、ゼロ分咲きです。
ただ、日本の良さを海外に広めていき、それによって日本も海外もより良くするという目標は持ち続けたいです。そのためにも、今の部署の仕事は完璧だと胸を張って言えるようにしたいです。まずは目の前の仕事を着実にこなしていくつもりです!
現在の仕事における今後の目標を教えてください。
「途上国が途上国と言われ続けるのはなぜ?」とずっと疑問に思ってきました。実際、途上国でも開発は進んでいるし、経済発展のスピードも非常に速いです。ただ、環境が悪かったり電気が通っていなかったり、飢餓に直面している実態も見てきました。こういった課題に対して、私は先進国がお金を寄付しているだけでは何の変化にもつながらないと思っています。それよりも、日本の製品が届けられたり、工場等が建設され労働環境が整うことで生活の質を上げることが重要だと思いました。そのためにも、海外に行ける人材になりたいです。語学力はもちろん、今自分に必要なスキルを身につけて、社内で海外異動をすることが今後の目標です。
では最後に、就活生に向けて応援メッセージをお願いします。
どんな会社が良いか簡単には決められないですし、とにかく不安だと思いますが、最終的に自分が納得できるところなら責任をもって働けると思います。そのためにも、自己分析を頑張ってほしいです!自分のことを深く理解した上で、ありのままをアピールして振られたとしたら「単に自分と相性良くないんや。振っといてもらってよかった」って思えるし、あきらめがつきます。私も、第一志望に行けなくて最初はショックでしたが、自分が伝えたいことは全部伝えたし悔いはなかったです。大変なことばかりだと思いますが、しっかり自己分析しておけば新たな自分の発見につながるし、入社してからのモチベーションも確立されます。両想いの会社に出会えるよう頑張ってください!
インタビューを終えて
「日本のすばらしさを伝えたい」「発展途上国の根本的な問題を解決したい」というMさんの目標は、壮大でとても魅力的でした。商社を目指していた就活時も、メーカーに入社して物流事業に携わる今も、変わることのない強い思いは、今後お仕事をされる上で困難に直面したとしても乗り越えていける動機になるのだろうと感じました。私も今後就活を進めるにあたって、将来自分が何を達成したいのか、どんな会社でどんな人とであれば実現可能なのか考えていきたいです!ありがとうございました!
取材:上田 比奈子