就活レポでは、就活を終えた先輩たちに「なぜその仕事や会社を選んだのか(会社選びの軸)」「学生時代にどんなことをがんばってきたのか」「就活でどんなことに苦労したのか」「女子就活の取り組みかた」などをインタビュー。単なる就活テクニックではなく、仕事選びのヒントをお伝えします。就活のスケジュールも掲載!
Ayakaさんの就活スケジュール(2021年3月卒業)
大学3年9月 | 教育実習で4週間、附属小学校に通う。セミナーの出願をする。 |
大学3年10月 | セミナー試験(面接、小論文、集団討論)を受ける。 |
大学3年11月 | 合格通知が届く。 |
大学3年12月 | 埼玉教員養成セミナーの受講が始まる。 |
大学4年5月 | 教育実習で4週間、公立小学校に通う。 |
大学4年9月 | 教育実習で2週間、附属特別支援学校に通う。教員採用試験を受ける。 |
大学4年10月 | 教員採用試験の合格発表で、無事に合格する。 |
中学時代の大きな挫折!教師を目指すきっかけをくれた先生の存在
教師を目指した理由は何ですか?
私は中学生の頃、将来の夢を具体的に考えてみた際にやってみたいことがあまり見当たらなかったんです。そんな時に習い事の先生から「教えるのが好きだから、教員とか向いているんじゃない?」と言われて、教員を視野に入れ始めました。
それと、中学生の頃に1回挫折をした際、すごく親身になって救ってくれた担任の先生が、出身大学の話をしてくれました。そこは教員を目指す人が多い大学だったんですが、教育学部の中で国語科と算数科が分かれているんです。先生が「好きな教科は?」と聞いてくれたんですけど、当時は特にないと思っていました。その時に、国語科や算数科以外にも学校教育専修や学校心理選修もあると教えてもらいました。そこで、心理学はちょっと面白そうだなと興味を持ちました。その後、担任の先生が学校心理という学科を紹介してくれて、その時から教員になるために入りたいって決めちゃったんですよ。未来の方向も決まってないのに。そして、目標とした大学への合格率のいい高校を探して高校を受験したので、だいぶ初期から将来の方向性が決まっていた方だと思います。
中学生の頃から夢は変わることはなかったのですか。
夢がブレることはなかったです。ただし、イメージと現実は違いました。中学の時に思っていた教員のイメージは、授業をして、休憩をして、というイメージです。保護者対応などがあるのも知っていましたが、メインは授業と生徒指導だと思っていたんですね。大学に入って、他にもたくさん仕事があることを知って、果たして自分にこなせるのかなとすごく不安でした。
不安材料を減らしたい!自信を培った1年間
就職活動はいつ頃から始めましたか?
私教育大学の教育学部だったので、基本的には周りのみんなも教員になるっていうコースでした。一方で、企業に行きたいという人もいました。大体3年生になるタイミングで企業に行くか、教員採用試験を受けるかと分かれていましたね。同じ時期から採用試験も調べ始めました。選考は、一般選考、大学推薦、セミナー特別選考があり、私はセミナー特別選考で受験していました。県によって違いますが、埼玉県の教員特別養成セミナーは、1次試験が免除になるんです。その代わり、大学3年生の終わり頃から4年生の10月までほぼ1年間を通じて、ある1つの学校に配属されています。1週間に1回は必ず行くのと、1ヶ月に1回その教育に関する講義をみんなで受けて意見共有し合います。県の中で質の高い教員を育てようと行ったプロジェクトであり、私は3年生のみんなが進路を決めるタイミングで、そのセミナーに行くことを決めました。なので、私は採用試験の勉強よりも、セミナーの特別選考に注力していました。県で50人しか枠をとってもらえないので、教採(教員採用試験)よりちょっと倍率が高かったんです。教員になれる確約はもらえないのですが、基本的にはたくさん勉強させてもらうことができます。枠が狭いのでその対策を3年生の時からし始めた感じです。
セミナーを受講しようと思ったのはなぜですか?
1番は、ひとつのクラスを長期間にわたって見続けられるっていうことですね。教員免許状は教育実習に行かないと取れないのですが、教育実習って長くても4週間なんですね。大体学級開きの時期は忙しいので、5〜6月や9〜11月と当たり障りのないような時期が多いんです。でも、セミナーは1年間かけて通えるので、始業式の日を見ることが出来たり、その学校の校長先生とかと相談して許可をもらえれば、学級開きを見せてもらったり、懇談会にも参加させてもらうことが出来ます。「先生ってこういう話をするんだ」と勉強したり、実習生だとなかなか入れない現場を見ることができるのが大きいかなと思いました。卒業式にも教員として参加させてもらえました。
そのセミナーを受講してよかったことはなんですか?
例えば、運動会に向け準備している先生の様子を見ることが出来たり、運動会の練習日数を知ることが出来ました。他には、プールに入らせてもらい、プールの授業ってこうやって進めるんだと学ぶことも出来ました。他には月に1〜2回講演があり、本当に狭い枠を潜ってきた教育への意識が高い人たちと討論できるというのもよかったです。講義の内容も、より対話的な国語の授業の進め方などの教科に関するものや、保護者対応、アレルギー児童へのエピペンの打ち方や緊急時の対応の仕方も教えてもらいました。基本的にそういうことは、教員になってから知ることが多いんですけど、私は先が見えないと不安になってしまうところがあるので、教員の1年間の流れを見せてもらってから教員になれるということは、とても心強いし勉強になったかなと思います。
子供が好き!大切にしたい軸と自分の気持ち
この先も教員を続けたいと思いますか?他にも挑戦したいことはありますか?
私は、中学の時からずっと教員しか見てこなかったので、特に教員になって1年目の時は、10年後に自分がどこまでの先生になれているかなと教員を続ける像しか見てなかったです。しかし、30〜40人の子供たちを1人の教師で見るのってやっぱり大変だなと思っています。自分の指導がうまくいかずに子供が指示通りに動けなかったときに、イライラしてしまったり、怒ってしまいました。そんな時は「私、もっと子供のこと好きだったはずなのに」と自分を見つめ直すことがあります。転職したいまでは考えていないですが、漠然と今までは生涯教員でありたいと思っていたのが、「教員以外の子供との関わり方で自分にあったものがあれば、そういう仕事を探すのもいいかな」と思っています。結局は、子供が好きというのがずっと1番の軸です。今は教員を続けて、スキルアップしていきたいなと思います。
今の目標はありますか?
今の1番の目標は、教室にいる全ての子供達が笑顔で登校してくれるクラスを作ることですね。登校を渋ってしまったり、家庭の事情でなかなか来られなかったり、体調不良が多かったり、色んな子がいるんですよね。そんな中で大半はあまり苦に思わずただ学校に毎日来る子が多いと思うので、「行って当たり前」ではなくて、「明日は何があるんだろう」ってワクワクするようなクラスをつくっていけたらいいなと思います。
最後に今の学生さんにメッセージをお願いします。
教師になるときに1番迷ったのは、他の仕事があるのかなということより、「私本当に教員になれるのかな」「私が教員でやっていけるのかな」という不安がすごく強かったんです。でも、今の時代は、転職などは全く不思議なことでないので、今自分が1番やってみたいってことをとにかく全力で頑張って欲しいです。特に今はコロナ禍であって、就活生にとって苦しい状況が続いているなとすごく感じています。でも、これで人生決まるって思うと何だか何も正解じゃないような気がしてしまうと思います。「まずこれやってみよう。ダメだったら他のこと考えてみよう」といった気持ちで決めてもいいのではないでしょうか。ただ、そこに向かって頑張る間はそこに関して全力を注ぐということが一番大切なのかなと個人的には思います。その職が本当に正解なのかは、なってみないとわからないし、なってみた私もまだ探している段階です。やりたいものに全力で向かうのが、就活の経験としても、人生の経験としても1番自分の力になってくるのかなと思います。応援しています。
取材を終えて
自分自身、まだ就きたい仕事が明確に決まっていない状況で、何か先輩の就活や仕事の話を聞きたいと思って始めたのがこのインタビューです。昔から教員になりたいと考え、就活対策も早い段階からしていたAyakaさん。そんな用意周到で意思の強い彼女でさえ、教員という仕事を知るうちに不安や迷いを感じています。未知の世界に飛び込むわけなので誰だって緊張するし不安に思って当たり前だと強く思いました。また、このインタビューを通して、自分の就きたい職業につくことがゴールではないこと、そしてそこから新たな発見もあることを知りました。大学時代の就活から現在の教員の仕事内容まで貴重なお話を隅々とお聞きできてとても勉強になりました。就活はまだ少し先ですが私も目の前のことに集中して精一杯頑張ります。