就活レポでは、就活を終えた先輩たちに「なぜその仕事や会社を選んだのか(会社選びの軸)」「学生時代にどんなことをがんばってきたのか」「就活でどんなことに苦労したのか」「女子就活の取り組みかた」などをインタビュー。単なる就活テクニックではなく、仕事選びのヒントをお伝えします。就活のスケジュールも掲載!
Ayanoさんの就活スケジュール(2020年3月卒業)
2019年3月 |
就活サイトに登録をして、福祉分野やゼミで関わっていた企業など自分の興味のある企業にエントリーシートを提出しました。 |
4月 |
企業説明会に参加して企業の方と顔を合わせ、直接連絡を取り合うようになりました。 |
5月 |
5月の半ばくらいから面接が始まりました。この頃には周りに就職が決まった人が出始めて、私はスタートが遅かったのでとても焦りました。 |
6月 |
最終選考があり、第一志望には落ちてしまいましたが二社から内定をもらいました。どちらの環境でより自分のやりたいことができるか、よく考えて最終的な就職先を決めました。 |
きっかけはボランティア。「ダイバーシティ推進」を軸に専攻とは違う分野へ
社会福祉に興味を持ち始めたのはいつ頃ですか?また、きっかけも教えてください。
本格的に興味を持ち始めたのは1年生の冬頃で、きっかけは障がい者スポーツにボランティアで関わったことでした。そこで「障がいのある方ってこんなに身近なんだな」ということを実感したのに、日常の中では全然出会えないことに疑問を抱き、「障がいのある方のことをもっと知りたい」と思ったんです。
それから、障がいのある方と関わる中で職業選択に立ち会う場面も経験しましたが、その選択肢の少なさに衝撃を受けてしまって。当たり前にやりたいことがやれない人たちってたくさんいると思うので、そこのサポートをしたいと思ったのが福祉分野にのめりこんでいくポイントでした。
なるほど。それでアルバイトも福祉系のものをやっていたんですよね。
はい、放課後等デイサービスでバイトをしていました。ボランティアとアルバイトでは何か関わり方が違うのかが気になって。表面的な付き合いではなくて、継続的にもっと深い関わり方ができればいいなと思っていました。
1年生の冬に福祉分野に興味を持って、そこからはずっと就職は福祉分野で考えていたんですか?
視野には入れていましたが、私はとにかく「ダイバーシティ推進」がやりたかったんです。でも、障がいのある方が自分らしく働くということについてはずっと関心があったし、福祉として必要なことは何かを考えたときに共感できるサービスをしているところを選んだら結局福祉サービスに行きつきました。福祉だと、そのサービスの仕組み自体に興味がありましたしね。
「やりたいことを自分らしく」焦っても、貫いた思い
会社選びの軸はなんだったのですか?
ずっと言っていたのは、「自分のやりたいことを自分らしく働ける場所を探しています」ということ。そして、私にとってその自分らしくというのは、私自身が興味を持てる分野がある仕事ということでした。
就職先の会社では具体的にはどんなお仕事をするのですか?
介護職ですが、本社総合職での採用なので、現場で施設の利用者と関わるというよりは全国の事業所を回って施設が法令を守っているかチェックして、職員の方が働きやすい職場環境を整えたりするのが私の主な仕事になります。
自己PRを考えるときに意識したことはありますか?
私はゼミの人に協力してもらって他己分析をして、自分の強みと弱みを客観的に捉えることを意識しました。
それで考えた自己PRはどのようなものでしたか?
相手の話を聴く力、誰とでも積極的にコミュニケーションが取れること、周囲に気を配れることの3つを自分の強みとして話していました。
就活中に悩みはありましたか?
周りに就職が決まったと言っている人がいる中で自分は1個も内定がないという状況が一番焦ったしつらかったですね。それこそ「1日で内定が出ます!」みたいな企業に応募してみたりだとか。数時間で我に戻って、全然自分のやりたい仕事と違うって思ってすぐに取り消しましたけどね(笑)
就職はゴールじゃない!夢を叶えるためにもっと広い世界を見たい
将来の夢はありますか?
これから高齢者はどんどん増えるけど介護者は減っていくと思うので、そこのサポートをしていきたいです。それが社会をよくすることにも繋がっていくだろうし、自分の親世代とかいろいろな人が安心して暮らせる社会にしていくというのは会社として目指していることだと思います。
個人的には、一旦企業で働くことで福祉サービスの現状も知ってみて、その本質を勉強しながらこれからのキャリアを考えたいというのが夢です。介護って唯一ビジネスとして確立している福祉分野だと思っていて、株式会社として利潤を得られるのは何か社会的に広く認知されていたり、需要が大きかったり…。その理由を知りたいんです。
なるほど。その背景にはどのような思いがあるのですか?
その仕組みや認識の広さを他の福祉分野にも取り入れていきたいという思いがあります。障がいもいつ自分の身に起こるか分からないし、児童貧困も、子供時代を経験している私たちにとって身近な問題だと思います。だから、そういう人たちと暮らしの中できちんと関りを持ちながら生きていける社会にいつかなってほしいと思っています。
では、ゆくゆくは障がい者分野へ繋げていきたいということでしょうか?
そうですね、障がいのある人が誰かの施しを受けなければ暮らしていけない社会ではなくて、当たり前に自分たちの能力を発揮して稼げる社会はどうしたらつくれるのか、模索していきたいです。
仕事をしながら、障がい者福祉にかかわる活動に参加していきたいと考えていますか?
はい! 土日が休みなので、障がい者福祉に限らず積極的に参加していきたいです。福祉の本質はどれも一緒だと思いますし、各分野が複雑に連鎖していると思うので、ひとつの分野に特化しすぎず広くひろく見ていこうと思っています。
自分らしく、そしてクリエイティブに。それがこれからの「自分軸」
就活生に向けてメッセージをお願いします。
自分の中で譲れない部分ってあると思いますし、入るべき場所は絶対にあると思うので、変に焦らずに仕事内容や会社の方針に共感できるところをじっくり考えてもいいと私は思います。あとは、面接練習にそんなに力を入れなくていいと思います。
なるほど。それはどうしてですか?
結局、面接ってただの会話なので。自己PRとか志望動機とか、最低限の項目は言葉にして持っておくべきですが、会社独自の質問は変に深読みしなくてもいいと思っていて、それよりも今自分が何を学んでいるのか、どういうところが魅力か、力を入れていることがあればその理由とか、そういうのって経験として語れるものだと思うので、気負わず面接に行った方がいいと私は思います。
その、語れる部分が自分の軸ということですね。
そうそう、絶対にあるはずなので。それで、語れないなら合っていない企業なんだと私は判断していました。興味のないことは全然話せなかったけど、「どうしてダイバーシティ推進がやりたいのか」を聞かれたらいくらでも語れます。自分のやりたいことを普段から考えておくと面接はそんなに困らないと思います。頑張ってください!
無事に就職が決まって、時間がある今だからこそやりたいことはありますか?
学生の肩書きがあるうちに、いろいろな講座やボランティアに参加したいです。まだまだ知らない世界があると思うので、学生の時間があるうちに少しずつでも知りたいです。
最後に、これからの生活で大事にしたいことを教えてください。
面白い人間でいたいと思います。就活中は、自分がどんどんつまらない人間になっていく感覚がありました。型にはめられないと生きられない自分を責めてモヤモヤした気持ちのまま就活を終えました。そんなときに、「中途半端なプロより熱狂できる素人でいたい」という言葉に出会って、私が思っていたのはまさにこういうことだな、と救われた気持ちになりました。
慣例やいろいろな考えも大事だけど、新しい何かを始めるためにはその面白さに共感して、熱狂して、実現させるためにはどうしたらいいかに腐心する方が生産性があるなと思うようになりました。否定や妥協は簡単だけど、どこかひとつクリエイティブに、面白さを追求できる自分でありたいです!
取材を終えて
今回お話を伺う中で、私にはまだまだ知らないこと、知らなければならないことがたくさんあるのだと気付きました。それらから目を背けないことが、ダイバーシティを実現する第一歩なのだと思います。知らないふりはいくらでもできるけど、自ら向き合って、さらに変えるために一歩を踏み出せるAyanoさんの行動力に感動しました。
インタビューは一時間ほどでしたが、Ayanoさんの魅力や熱意が十二分に伝わってきました。それはきっと、Ayanoさんの中に「やりたい想い」が詰まっていたからなのだと思います。「やりたいことがある」というのが自分らしさを育てていくのではないでしょうか。
ハンデの有無に関わらず、誰もが自分の夢を堂々と語れる社会。それが自分らしさをつくり、多様性を広げていくことに繋がるのだと今回強く感じました。
貴重なお時間をいただき本当にありがとうございました!私もAyanoさんの夢に共感する一人として、Ayanoさんを応援し続けたいと思います!
(取材:森 真衣香)