大佛次郎記念館と周りの地域をつなげ活性化する「ヨコハマハコいりムスメプロジェクト」から生まれた<オサラギジェンヌ>。お母さん世代には懐かしい「ハマトラ」ファッションで、横浜元町の人気スポットを紹介します♪ちなみに、大佛次郎は昭和を代表する文豪なんですよ!
こんにちは!ジェンヌのはらちゃんです。神奈川新聞の本社へお邪魔してきました!
今年創業125周年を迎えた神奈川新聞。これを記念して毎週土曜日に、大佛次郎先生の「ちいさい隅」という随筆を再掲載しているんです。
「ちいさい隅」は当時、開港100周年を記念してはじまり、1958年から14年間、のべ529編が掲載されました。
こんな大佛先生と深い関係がある、神奈川新聞。
ぜひお話を伺いたいと思い、編集局長の藤塚さんに取材させていただきました!
掲載当時の新聞も見せていただいたのですが、今のものよりずっと字が小さく詰まっていて驚きました。
現在の通常の新聞だと半ページくらいの分量のものが、1/9ほどのスペースに収まっているんです!
そのため1ページにあるトピックの数も多く、今の新聞とは少し雰囲気が違いました。
今の新聞の雰囲気になったのは、ここ20年くらいだそうです。
大佛先生の魅力はどこにあるんでしょうか?
世界が開かれていて、自由主義の精神をつらぬいているところですね。
また、暮らしや人に対するあたたかさ、人間性が大佛次郎という人の魅力だと思います。
ちいさい隅を読むとわかるように、大佛先生はスポーツから音楽、政治まで多くの洗練された趣味を持っています。
ただ声高に社会の問題等について述べているのではなく、読み手を納得させる文章になっているところにやはり、教養を感じます。
神奈川新聞にとっての「ちいさい隅」とは?
横浜開港100年を記念して始まり、529回、14年間も続いたこの「ちいさい隅」は、会社にとしての財産です。
再掲にあたり大佛先生のご親族に相談したところ、大佛先生は「横浜をこよなく愛し、横浜にあったたったひとつの新聞社である神奈川新聞も愛していたからとても嬉しい」と話してくださいました。
50年経った今、大佛先生の考えを見つめ直して、広く横浜や神奈川の人たちに伝えるということは紙媒体のメディアとしてひとつの役割であると感じています。
再掲載するにあたって当時と違うところは?
連載された529編の中から52編を選びました。
月ごとにテーマを設けて掲載しています。月初めには季節を感じられるものを選んでいます。
その回に応じて系統の似たものを紹介するコーナーや、寄稿のコーナーをつくることで双方向性のある企画にしました。
読者の声としては、今の時代でも違和感なく、むしろ今の状況を言い当てているというようなものが多いです。
今のヘイトスピーチや経済再生の問題と当時のベトナム戦争や所得倍増計画とには、共通した社会的な不安要素があるのではないかというような声もありました。
また、当時なかった見出しを付け加えました。
例えば9月12日に掲載された「セーヌ河岸」の見出しは「街頭の風にも荒れず初々しい露店の若奥さん」。これは文章の一部を抜き出したものです。
通常の新聞の見出しよりも少し長いものになっていますが、その回で伝えたいことをエッセンスとして掲載しています。
「ちいさい隅」を通じて伝えたいことは何ですか?
混沌としていて、断絶のような風潮もある現代社会。
そんな今だからこそ「ちいさい隅」を読み、大佛先生の“あたたかさ”や”ヒューマニズム”に触れることで、考え方のひとつの指針としてほしいです。
社会のことを語りながらも、大佛先生のネコ好きを知って「よく人がネコを家に投げてきて困った」というようなユーモアのある文章も多くあります。
このようなところから親しみをもっていただけたらと思っています。
再掲されている「ちいさい隅」は、ほぼ1ページあるので、読む前の感想は「文字が多い!」。
それに加えて50年も前に書かれた文章なので、難しそうだな~なんていう先入観がありました。でも読んでみると、印象ががらっと変わります。
最初の切り口からは想像つかない出口に到達する、そんな文章なんです。
飽きっぽい私も夢中になって1月から9月までの分を読んでしまいました!
私が一番印象に残ったのは、“舞台を見つめ”というお話。
昔はちいさな劇場で、舞台にいる人と見ている人が近い距離にいたのに、人口が増え劇場が大きくなり距離が遠くなってしまった。
そこで、近い距離に感じられるテレビにとって変わられてしまったなあというもので、とても納得させられたお話でした。
挿絵は当時のものを使っているそうです。記念館にも絵があるそうなので、お寄りの際はぜひ探してみてくださいね♪
今回取材をさせていただいて、より大佛先生のあたたかさを感じ、大佛先生の作品がこれからも多くの人に読まれていってほしいなと強く感じました☆
連載は12月まであるので、まだお読みになってない方にもぜひ手に取っていただいきたいと思います♪
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