こんにちは!NPO法人マドレボニータの八田吏(はった つかさ)です。
マドレボニータはスペイン語で「美しい母」。母となった女性たちの産後をケアするNPOです。
マドレボニータの考える「美しい母」とは
親となったことをきっかけに
自分自身の生き方に向きあい、
人としての真の美しさを
追求しようとする人のこと。
スタッフの多くが現役子育て中の母たち。出産やパートナーの転勤に伴う転居など、ライフステージの変化に合わせて新しい「働き方のかたち」を生み出し続けています。
わたしたちの多様な働き方をみなさんにお伝えしていきたいと思います!
第1回目は、マドレボニータが取り組む「産後ケア」についてお話します。
「産後」ってなに?
さて突然ですがみなさん、「出産」に対してどんなイメージをもっていますか?
「就職して、何年かしたら結婚して、だいたい◯年くらいしたら子ども生むのかなあ…」とざっくりとしたプランを思い描くかたもいるでしょうし、「今の彼氏とどこまで続くか分からないし、当分先の話だなあ」という方も多いかと思います。
では「産後」は?「産後」と聞いてどんなイメージが浮かびますか?
街なかで見かける、ベビーキャリアで赤ちゃんを抱きながらお買い物をしたり、カフェでお茶を楽しんでいたりする女性の姿が思い浮かぶでしょうか。
おそらく彼女たちは幸せそうに見えるんじゃないかと思います。もちろん、新しい命を迎える喜びは計り知れないものがありますし、赤ちゃんとの日々は、それまでの生活とはまったく違った発見や成長を私たちにもたらしてくれます。
でも、そんな喜びの陰で、多くの女性が人知れず悩みを抱えています。団体で行った調査によると、58%の女性が「出産後も身体は楽にならなかった」と答え、また、パートナーとの関係性についても52%の女性が「産後に『離婚』の二文字が頭に浮かんだ」と答えています(『産後白書』より)。
また、育児休暇制度などを中心とした人事制度は充実してきていますが「復帰後、育児と仕事を両立していけるか」「復帰して今と同じ働き方ができるか」といった個人の不安は依然として大きく、制度の充実と個人の気持ちは必ずしも比例していない、という状況にあるのです。
社会を巻き込み、「産後」を支える
マドレボニータの活動は、そういった「産後」をきっかけに女性が直面する様々な問題を、個人の問題ではなく「社会問題」として捉えることから始まりました。
マドレボニータでは、出産をしたらまず1か月は身体をしっかり休め、2か月目以降は心身のリハビリに取り組んでいくことが必要だと考えています。
『産後のボディケア&フィットネス教室』では、バランスボールを使った有酸素運動や、赤ちゃんとの生活で衰えてしまっているコミュニケーション力を取り戻すワークを通じ、産後女性の心身のリハビリのサポートをしています。
また、当事者へのサポートと同時に、産後の実態を調査した『産後白書』シリーズを中心とした書籍の販売を通じ、「産後ケア」の必要性を広く啓発していく活動も行っています。
〈働き方〉を創る母たち
マドレボニータで活動しているインストラクターや事務局スタッフ、また正会員の多くが、自らの「産後」をきっかけに、働き方を変えています。
その中には、不本意ながらそれまでのキャリアを中断せざるを得なかった人もいますし、会社でも家庭でもない「第三の場」としてNPOでの活動を選択した人もいます。
共通しているのは、「自分たちの働き方を自分たちの手でつくっていこう」という思いです。そうした思いが、クラウドによる事務局運営をはじめ、様々な「新しい働き方」を生み出しています。
次回から、ひとりひとりのストーリーとともに、マドレボニータで実現している「多様な働き方」についてお伝えしていきますね。
八田吏(はった つかさ)
プロフィール 1976年静岡県生まれ。中央大学文学部卒。
大学卒業後、公立小中学校、日本語学校、進学塾などで国語教師として教壇に立つ。家庭のあり方が生徒に及ぼす影響やそのことに悩む母たちの姿を、日々感じつつ働く。
2008年出産。マドレボニータの産後クラスに参加し、「美しい母がふえれば、世界はもっとよくなる」のメッセージに、それまでに出会った多くの母たちの姿を重ね、この活動に関わりたい、と正会員に。
2009年からはボランティアスタッフとして参画。第二子出産後の復職以降、教員としてのあり方と家族も含めた自分自身のあり方、生き方の齟齬に悩むようになり、退職。
2013年、オンラインストア「マドレストア」のスタッフとして働き始める。事業へのコミットを徐々に強め、現在、研究開発事業担当。
マドレボニータはスペイン語で「美しい母」。母となった女性が主体的な人生を歩むことのできる社会を目指し、「産後」を起点とする社会問題に取り組んでいます。
「美しい母がふえれば、世界はもっとよくなる」をキャッチフレーズに「子育ての導入期」という最も不安定な時期にある女性の心と身体の健康をサポートしています。
現在は、産後の心身のリハビリに特化した「産後のボディケア&フィットネス教室」を運営する〈教室事業〉、教室運営を通じて産後女性に寄り添うプロフェッショナルである「産後セルフケアインストラクター」を養成する〈養成事業〉、「産後」という社会問題をより広く啓発していくことを目的とした〈研究開発事業〉の3つの軸で活動しています。