幼児リトミック講師、幼稚園・小学校での英語の先生、ミュージックセラピスト、ジャズミュージシャン、昭和歌謡講座の講師、ボーカルクラスの講師、ライター。沢山の人から「あっこ先生」と慕われている高橋明子さんは多くの「ステージ」をお持ちのシングルマザー。父親の仕事の関係で幼少時代・中学時代の2度にわたり、アメリカに住んでいたあっこさん。音楽と英語に溢れた毎日を送っています。今回はそんな長年栄区でご活躍されているあっこさんの魅力をご紹介したいと思います。(2015年2月時点の情報です)
OLを辞め再び学び始めたきっかけは「ケイコとマナブ」
大学卒業後、外資系企業などで働いていましたが、どこも激務で働いていくビジョンが見えなかったそうです。その時にたまたま目にした「ケイコとマナブ」という雑誌。「音楽療法を学びませんか?」この募集を目にしてOLを辞め、専門学校に通い始め、音楽療法と幼児リトミックを学び始めました。
音楽療法とは心理療法の一つ。人間の本来持っている力を音楽の力で目覚めさせ、自己の回復力、治癒能力を高めます。そして幼児リトミックとは、赤ちゃんから幼稚園・幼稚園入園前までの子どもを対象に、親子の絆を深めてお母さんから離れても大丈夫だよという関係性をつくるもの。そしてお母さんから離れて子供同士でのコミュニケーションがうまくとれるようにする橋渡しのようなものです。
楽譜を見ない軽やかな弾き語り
にこりんくという栄区にある地域子育て拠点での、幼児リトミックを見学させていただきました。そこでは職員さんとの信頼関係を感じ、「声掛けから始まって、うまく縁をつくっていって、信頼関係を築くのは大事だと思うの。なんでも人との関係性が大切よ。」という取材でのお話と重なりました。
楽譜があると壁ができてしまうため、あっこさんは楽譜なしで子どもたちの表情や様子をよく見てピアノを弾き、軽やかに生き生きと歌います。これが信頼関係を築くことにつながり、その場に合わせてアレンジもできるようになるそうです。参加している親子さんもみなにこにこと笑顔でとても楽しそうでした!
いろんなレベルから頑張っている人に、音楽を通して寄り添いたい
様々な活動をしているあっこさん。しかし今の活動全てに共通していることがあります。それは、「全ての人に生きるチャンス、権利があると思う。そのお手伝いをしたい。」という気持ち。信頼関係を築き、声が出ない、うまく言葉にできない人の気持ちを音楽で表現してあげたいという思いがあるそうです。
あっこさんはアメリカの知らない土地で現地校に通い、はじめは言葉が通じないこともあり、苦労しましたが、沢山の人に助けていただいたそうです。また大学の英米文学を専攻し、アメリカ黒人女性を描いた文学作品を学び、黒人女性が虐げられて生きていた時代を知りました。それと同時に黒人女性達の生命力の強さに惹かれたそうです。
「アメリカに奴隷としてやってきた黒人の歴史の中で男性はもちろん、女性はさらに人権を無視された悲惨な生き方しかなかったの。でも女性達もこの世に存在し、生きた証拠を残したくて、はぎれを縫い合わせてキルトをつくったり、洗濯をしながらブルースを歌い彼女達は生きた。それが受け継がれて、歌い継がれた。彼女達が生きた記録はないけど、彼女達の魂、スピリッツが伝わっていった。それがすごいなと。どんなに大変でも「生きる」と決めた黒人女性の強さに衝撃を受けたのよね。」
音楽療法は高齢者はもちろん、精神疾患や障害のある人に行うことがあります。「社会には障害を理解してもらえなくて内向的になったり、自傷行為をしてしまう人、生きづらい人がいる。それを引き止めるためにも、『あなたのこと知ってるよ。生きていいんだよ。』って音楽を通して寄り添いたい。また、自分が今、体が動かなくなったとき、明るく生きていけるのか分からない。だから私は彼らをリスペクトしている。今一生懸命生きているあなたが素敵だよって伝えたい。いろんな人がいるけれど、いろんなレベルから頑張っているということを認めてあげたいの。」
取材を終えて(学生記者:和田紗容子)
取材をしていて気づいたら約3時間ほど時間がたっており、今回、あっこさんの魅力を限りある文字数の中で最大限伝えるにはどの切り口から記事を書けばよいか非常に迷いました。
多くの「ステージ」をお持ちで活躍なさっていますが、ご自宅での取材で息子さんとのやりとりを見て、「母」があっこさんのエネルギーの原点かもしれないと感じました。また、私はあっこさんの力強い歌声と軽快なピアノの弾き語りが大好きで、取材を通してファンになりました。これからのますますのご活躍、楽しみにしています。あっこさん、どうもありがとうございました!