「おばあちゃんになっても料理の仕事を続けたい」と語るのは、栄区在住の料理研究家、三谷良子さん。お子さんが1歳の時に料理研究家として独立し、子育てをしながら仕事をしています。起業ママの会の代表としても、地域で活躍中の三谷さんにお話を伺いました。(学生記者:大石真子)
パンとの出会いで料理の世界へ
三谷さんが就職活動をしていた頃は、氷河期真っただ中。とにかくどこかに入らなくては、という思いから新卒で入社したのは、地元の金融機関でした。しかし、その仕事っぷりは「ダメダメ」。会社から取るように言われた資格の勉強にも力が入らなかったといいます。
そんな三谷さんに転機が訪れたのは25歳のこと。「30歳になってもここにいるのかなあと思ったときに、好きなことやらなきゃ!と調理師の専門学校に行くつもりで会社を辞めたんですね。ちょうどそのとき、地元にオープンする料理教室で先生を募集していると聞いて、ダメ元で受けてみたら採用されたんです。それで、研修を受けて勉強をしながら料理教室で先生をしていました」。
そして27歳のとき、お菓子とパンをさらに勉強するために専門学校に通うことを決めて、初めて東京に出てきました。三谷さんが極めたいのは、「パン」。これには理由があります。
「料理教室の採用試験で、パン生地を丸める課題が出たんですが、すっごくほわほわしていて、生き返った気持ちになったんですよ。その時に『あ、これだ!』と思いました。今思うと金融機関に勤めていたときは精神的にボロボロになっていたんでしょうね」。
今では、パンに関連するワインやチーズの資格も取得し、レシピやコラムを書く仕事もしているそうです。
起業ママ仲間と上を目指して
三谷さんは、起業ママの会「マムプラス」の代表としても活躍中です。これは、横浜・湘南地区の起業ママたちをつなげ、応援しあう団体です。三谷さんがマムプラスを立ち上げたのは、約五年前のこと。江の島で開かれた起業したい人向けの講座に参加しましたが、当時息子さんは1歳。お昼ご飯の時、他の受講者に迷惑がかからないよう、同じように子連れの皆さんと集まって過ごしたそうです。そこでのつながりから講座終了後に、お茶会のような形で起業ママ同士の交流が始まりました。
初期のメンバーは引っ越してしまったり、別の仕事を始めたりしていて、コアのメンバーは変わりつつも、今も精力的に活動を続けています。マムプラスのメンバーは、とても意欲的な人が多く、一人ががんばっているのを見て、みんなが上を目指すようになるそうです。同じような立場であるため、相談もしやすく、お互いのチャレンジを支えることもできます。
「これからも仲間をどんどん増やして、細く長く続けていきたいなあと思っています。自分の仕事とも絡めて食育に力を入れたいとも思っているんです。ママたちもこういうこと考えているんだよ、というのを広められたらいいですよね」。
料理研究家として突き抜けたい
「金融機関のときは給料をもらうために仕事をしていたけれど、料理の仕事に出会ってからはどんな形でも続けよう、おばあちゃんになってもずっとやる!と思うようになりました」。料理の仕事の魅力は、生徒さんの反応がダイレクトに返ってくるところや自分のレシピが世に出たときの嬉しさがあるところだといいます。
来年、お子さんが小学校にあがり、仕事に充てられる時間も増えます。これからの展望を聞くと、「突き抜けたいんです」との言葉が返ってきました。
「主婦が片手間にやっているお料理教室というのではなくて、たくさん勉強して、新しい仕事にも挑戦していきたいです」。
将来の大きな夢は、外国と日本を行き来して、情報を発信し、なんでも知っていてみんなの憧れの的のような存在になることだそう。三谷さんのレシピ本が並ぶ日も遠くないかもしれません…!
取材を終えて
三谷さんのお話を聞いていて一番印象的だったのは、料理の仕事だったからこそ、続けたいと思った、というところです。これを仕事として頑張りたいんだ、というものに出会えるのはとても幸せなことだろうなあと思いました。
また、最後に女子学生に対してメッセージを伺うと、「社会に出ると女性は下に見られることが多いけど、負けないで。ぜひ、自活できる術を見つけられると良いと思います。」と、熱いメッセージが。専業主婦であることを求める男性ではなく、やりたいことを応援してくれる男性の方が素敵だと思うよ!ともおっしゃっていました(笑)
お土産としていただいたシフォンケーキもとっても美味しかったです。三谷さん、ありがとうございました!