マドレボニータはスペイン語で「美しい母」。母となった女性たちの産後をケアするNPOです。スタッフの多くが現役子育て中の母たち。出産やパートナーの転勤に伴う転居など、ライフステージの変化に合わせて新しい「働き方のかたち」を生み出し続けています。彼女たちの多様な働き方をみなさんにお伝えします。
こんにちは!NPO法人マドレボニータの事務局長、北澤ちさとです。
現在はアメリカのノースカロライナに住んでいます。前回の「マドレボニータの事務局長は海外在住!【前編】」では、結婚を機に仕事をやめたわたしが再就職をするまでをお伝えしました。
今回は、海外に住みながら日本のNPOの仕事をする、という現在の「働き方」についてお伝えしていきたいと思います!
マドレボニータにはオフィスがない!
リビングや出先のカフェで仕事
2013年の11月、夫と9歳、6歳の子どもと一家4人で、アメリカのノースカロライナ州に移住しました。
マドレボニータにはもともと「事務所」というものがありません。メンバーはそれぞれ自宅を仕事場にしていて、普段のコミュニケーションはチャットワークやFacebookなどを使って行い、ミーティングもSkypeを使っています。リビングや出先のカフェのテーブルがインターネットでつながって、「マドレのオフィス」になっている、というイメージです。
スーツケースの上で、Skypeミーティング!
そんなもともとの環境も手伝って、海外移住が決まったときにも「退職しよう」という発想はありませんでした。国内で転居して仕事を続けていた仲間もいたので、「海外といってもあんがい自然な流れで行けるのでは?」という気持ちはありました。
渡米してはじめてSkypeをつないだときにはテーブルがまだ入っておらず、スーツケースの上にパソコンを載せてしゃべっていました。
他の家財道具もほとんどない部屋の中で、国内の仲間からの「声が響いてる!」「がらんとした部屋の音がする!」との声を聞き、ああ、ほんとにアメリカに来たんだなあ、これからここで働いていくんだなあ、と思ったことを覚えています。
渡米してもスムーズに仕事ができたのは?
チャットでこまめに共有
事務局のチャット記録を振り返ってみると、転居する1年以上前から「もしアメリカに移住するとしたら、どんな業務を引き継いで、どんな業務はアメリカでできそうか、少しずつ意識してやっていきたい」といった言葉がみられます。
夫が将来的な展望として海外勤務を希望していることは、かなり早期に事務局内でシェアをしていました。また「英語のスクールに行き始めました」「住居が決まりそうです」「家具を引き取ってもらいました」などなど、プライベートな面での小さな進捗も、チャットでこまめに伝えていました。
話したい、知ってほしい
「情報を共有せねば!」という義務感からというよりは、話したい、知っていてほしい、という気持ちの方が大きかったのですが、あとから仲間に「少しずつ様子を伝えてもらっていたおかげで、ちいさんが移住するんだっていうことがスムーズに受け止められたのはすごくよかった」と言ってもらえました。
スムーズすぎて、一時帰国しても「わー、おかえりーー!!」という感じにならないのが若干残念ではありますが(笑)、こういう働き方が自然に受け入れられていると思うと嬉しいです。
時差は大きな問題ではない
ミーティングは米国夜間、日本午前にセット
現在は週4日、日中3〜6時間勤務しています。時差の関係で一番の懸案事項だったミーティングも、主要なものはノースカロライナ時間の夜間、日本での午前中にセットしてもらいました。
日本では勤務時間中ですが、わたしは家族のいる夜間にSkypeをすることになるので、夫と子どもの協力に支えられていると感じます。
時差だってプラスにできる
会員さんに向けた書類の発送など、転居に伴いできなくなったこともありますが、逆に利点もたくさんあります。
たとえば、わたしが勤務する時間帯は日本では夜間。メールが届いたりすることもないため、まとまった時間集中して業務にあたることができます。
Webの更新や依頼記事の執筆など、集中してPCに向き合う時間が必要なときには、時差があることの利点を感じます。
また、業務内容が、即時対応が必要なものから、ある程度時間をかけて取り組むものが増えました。その結果、余裕をもって事務局全体を俯瞰することができるようになったのも、思わぬ発見でした。
移住2年目、ノースカロライナでの暮らし
夫との絆も深まった
子どもたちは平日は現地校、土曜日のみ日本語補習校に通っています。宿題などを含め親がサポートしなければいけない面も多いのは日本も同じ(?)、または日本以上なのかもしれないと思うこともあります。でも、夫婦で協力しあって楽しんで取り組んでいます。
夫は渡米してすぐ、日本語補習校の運営委員長を務めることになったのですが、仕事と家庭以外の第3の場での活動に予想以上の面白さを感じているようです。
アメリカの学校はファンドレイジングが盛ん。夫が学校でやっている取り組みからマドレの事業についてのヒントを得たりと、共通の話題も増えました。
アメリカでの学びを仕事に活かしたい
もともと英語が大好きだった私。今年からコミュニティカレッジ(公立の短大)の留学生クラスに通いはじめました。
世界中から集まっている老若男女と共に学ぶ生活はとても刺激的です。午前中は短大、午後は在宅でマドレボニータの仕事、と忙しくはありますが、メリハリのある日々を送っています。
ゆくゆくはアメリカのNPOの事例も学び、マドレボニータの活動をより活性化していきたい、と考えています。
マドレボニータはスペイン語で「美しい母」。母となった女性が主体的な人生を歩むことのできる社会を目指し、「産後」を起点とする社会問題に取り組んでいます。
「美しい母がふえれば、世界はもっとよくなる」をキャッチフレーズに「子育ての導入期」という最も不安定な時期にある女性の心と身体の健康をサポートしています。
現在は、産後の心身のリハビリに特化した「産後のボディケア&フィットネス教室」を運営する〈教室事業〉、教室運営を通じて産後女性に寄り添うプロフェッショナルである「産後セルフケアインストラクター」を養成する〈養成事業〉、「産後」という社会問題をより広く啓発していくことを目的とした〈研究開発事業〉の3つの軸で活動しています。