マドレボニータはスペイン語で「美しい母」。母となった女性たちの産後をケアするNPOです。スタッフの多くが現役子育て中の母たち。出産やパートナーの転勤に伴う転居など、ライフステージの変化に合わせて新しい「働き方のかたち」を生み出し続けています。彼女たちの多様な働き方をみなさんにお伝えします。
こんにちは!NPO法人マドレボニータの事務局長、北澤ちさとです。
現在はアメリカのノースカロライナに住んでいます。結婚を機に仕事をやめたわたしが再就職をするまで、そして海外に住みながら日本のNPOの仕事をする、という現在のわたしの「働き方」についてお伝えしていきたいと思います!
漠然と「キャリアウーマン的な姿」に憧れて
将来の夫と出会った、大学時代
大学時代はテニスサークルに所属し、予備校で高校生向けチューターのアルバイトをしていました。予備校では冊子をつくったりイベントの企画運営をしたりと、忙しいけれど楽しい毎日。そこで将来の夫にも出会いました!
一方で、仕事を含めた自分の未来については、具体的なイメージを持てずにいました。大学で専攻していた社会学は間口が広すぎて、「社会学」を切り口に就職先を見つけよう、という感じでもありませんでした。
地域限定総合職からキャリアをスタート
一般企業で働く「キャリアウーマン的な姿」に憧れてはいましたが、志望職種もなかなか絞りきれないまま、就職活動に突入。当時は就職氷河期でしたが、なんとかリース会社の地域限定総合職として採用されました。
配属された課では営業の女子は私だけ。もともと不器用で、あまり気配りができる性格ではないので、所属長や女性事務職の先輩方とのコミュニケーションには苦労しました。でも、同期や先輩とは日々の残業を共にし、たくさん助けてもらいながら営業としての経験を少しずつ重ねていくことができました。
出産したら「しばらくは家庭に専念」?
夫の希望を踏まえて退職
とはいえ当時の職場は「出産したら当然退職」という風潮。わたしにしても、営業の仕事にはやりがいを感じていましたが、出産後も続ける、というイメージは持てずにいました。
就職後5年経って、予備校のアルバイトで知り合った彼と結婚の話が持ち上がりましたが、当時の彼は「夫婦のどちらかが仕事に、もう片方は家庭に注力した方がいい」という考え方。私も「しばらく家庭中心に過ごすのもいいかな」と思い、結婚を機に退職しました。
何かを一生懸命やりたい!
その「しばらく」に区切りをつけるきっかけとなったのは、長女出産後に通った「産後のボディケア&フィットネス教室」。
4回コースの最終回に「5年後の私」について語るワークがあるのですが、そのときに、5年後ものんびりと育児と家事に専念している自分の姿が思い浮かびませんでした。
「仕事か、趣味か、ボランティアか、何かはまだわからないけれど、何かを一生懸命やりたい!」と話したことをよく覚えています。産後クラス受講後、まずは地域の子育て支援団体でのパソコン講師として仕事を再開。
また、人材派遣会社に登録し、少しずつ本格的な社会復帰の準備をし始めました。
パートナーと会話も変わった
言葉にして伝える
産後クラスの受講から、夫との会話も少しずつ変わってきていました。自分が「してみたい」と思っていること、将来について考えていることを、以前よりも言葉にして伝えるようになりました。
夫も「将来的にはアメリカで働きたいと思っている」と、自分の希望を話してくれました。「下見に行ってくる」とひとりで向こうに行っちゃったりしたことも。実際にアメリカに行ってみて、「将来的にここで暮らすのなら共働きが良いのではないか」とこれまでとの考え方が変わる、なんていうこともありました。
ボランティアから事務局スタッフへ
マドレボニータのボランティアスタッフ
そうこうするうちに二人目を妊娠。働き口も見つからず、このまま出産か・・・と思っていたときに、正会員になっていたマドレボニータで『産後白書プロジェクト』が立ち上がりました。迷わず、ボランティアスタッフとして応募。半年間の活動で、社会とつながる喜び、仲間と一緒にひとつのものをつくっていく喜びを味わいました。
事務局スタッフに
「これからは仕事も持った上でボランティアもしたい」というビジョンが見えてきたのも大きな収穫でした。そして、出産後に参加したマドレボニータのイベントで「事務局スタッフとしてはたらいてみませんか?」とお声がけをいただき、2009年にマドレ事務局のスタッフとして入局しました。
そしてアメリカへ
そして3年後の2012年、いよいよ夫の「アメリカで働きたい」という希望が具体化していきます。次回は、アメリカ移住への準備をどんな風に整えていったか、そして海外からの勤務を可能にするため、どのように仕事の環境を整えて行ったか、お話したいと思います。
マドレボニータはスペイン語で「美しい母」。母となった女性が主体的な人生を歩むことのできる社会を目指し、「産後」を起点とする社会問題に取り組んでいます。
「美しい母がふえれば、世界はもっとよくなる」をキャッチフレーズに「子育ての導入期」という最も不安定な時期にある女性の心と身体の健康をサポートしています。
現在は、産後の心身のリハビリに特化した「産後のボディケア&フィットネス教室」を運営する〈教室事業〉、教室運営を通じて産後女性に寄り添うプロフェッショナルである「産後セルフケアインストラクター」を養成する〈養成事業〉、「産後」という社会問題をより広く啓発していくことを目的とした〈研究開発事業〉の3つの軸で活動しています。