登場から62年。長年に亘って幅広い世代に愛され続けるペコちゃん。その人気キャラクターの商品展開について、商品企画の工藤さんに話を伺いました。(2012年7月時点の情報です。)
ペコちゃんグッズのクリエイター ペコちゃんをさらに愛されるキャラクターに
まず、現在のお仕事の内容を教えてください。
通販・キャラクター事業部でペコちゃんグッズの企画開発を担当しています。お人形や雑貨など、インターネット上での販売がメインの商品です。
具体的には、製品の計画から販売、在庫管理まで行います。少人数の事業部のため、年間計画や商品コンセプト、デザイナーとの打ち合わせ、原価計算など細かいところまで担当しています。例えば人形では、お洋服の色、使用するレースの種類、パッケージデザインをどうするかなど、立案から製品化までを担当します。
商品数はどれくらいあるんですか?
年間で70~100種類ほどです。コストを考えると同じ商品を継続して生産した方がいいのですが、お菓子と違って雑貨の場合はリピート購入されないので、新しい商品を投入してく必要があります。
現在のお仕事を担当するまで、どのようなお仕事をされてきましたか。
入社後、海外にお菓子を輸出する仕事を8年ほどやっていました。国内向けの商品を海外に販売する際に、パッケージを海外仕様にする企画などを担当していたのですが、その時の経験が今に役立っています。その後、総務部の法務担当になり、知的財産権業務を担当しました。産休・育児休暇後、CSR推進部を経て通販・キャラクター事業部へ異動しました。
不二家に入社を決めたのはどのような理由からでしょうか?
元々お菓子が好きだったのと、自分の企画したお菓子がお店に並ぶのを見たいと思ったからです。私の就職活動の時は不景気で、自分が行きたい業界に絞れる状況ではなく、ほかの業界も受けました。最初に金融機関の内定が出て、その後に不二家の内定が出ました。金融の方が業界としては安定しているかもしれないけれど、好きなものを扱う方が楽しいだろうと思い、不二家に就職を決めました。
どのような学生時代を過ごされていましたか?
今思えば、もっと勉強にも力を入れれば良かったと思います。テニスサークルや家庭教師のバイトが充実していたので、そちらに気持ちが集中していました。でも、実際に社会人になり、さらに子供を持つと、高い授業料を親が払ってくれていたこと、せっかく時間があって学べる環境があったのに学ばなかったこと、海外旅行するなり留学するなりすればよかったなど、もったいないと思うことばかりです。
失敗もバネに。その経験が成長に繋がる
お仕事のやりがいや苦労はどのような時に感じますか?
本当にお菓子が好きなことと、昔からキャラクターグッズが好きなこともあり、自分自身楽しみながら仕事をしています。商品化されると愛着も湧きますし、実際にお店でお客様が手に取られているのを見ると大変嬉しいです。
自分がこれは売れると思って企画した商品の売れ行きが思うようにいかず、在庫が残ってしまった時は非常に責任を感じます。こだわりを持って企画していますが、製造上の都合からデザインなどを調整せざる得ないこともあり、いろいろ苦労も多いですね。
お仕事で心がけていることはありますか?
常に責任を持って仕事に取り組んでいます。例えば、企画して発売した商品が売れ残ってしまった場合も、売れ残ったものをそのままにしてまた新しい企画に着手するということはせず、在庫の有効活用を検討、次の商品にはその反省を生かすなどして、責任を持つように心掛けています。
出すべき利益の把握や、どのくらいの期間で商品を企画し販売していくのか、在庫推移の予測など、目標値を定めて企画するというのも、責任の一つだと思っています。
工藤さんにとってお仕事とはなんでしょうか?
家とは違い、会社での自分は「お母さん」ではなく、「一人の社会人」という立場なので、生活にメリハリが生まれていると思います。専業主婦だと、常に子どもとのみ向き合っているため、社会の中の自分という感覚が欠けてしまいます。私にとっては、家の中と外、2つの違う立場を持っていることは、とても貴重だと思っています。仕事で得たものを育児のさまざまな面で役立てることが出来、それにより家庭での「お母さん」という立場も、より充実してきます。
また、仕事とは新しいものを取り入れて、自分を成長させるものだと思います。会社ではさまざまな業務を経験しますし、常に周りの環境も変化します。そしていろいろな人と関わる必要があります。私の部署では、IT系の新システムの開発にアンテナを張ることも重要です。いかに自分の置かれた環境に対応していくか考え、行動することで、成長できると思います。
お仕事と家庭はどのようにして両立していますか?
会社や夫に支えてもらいながら、なんとか両立しています。当然育児のために勤務時間が制限される面もありますが、家庭の「お母さん」という立場でそれを生かした商品作りが出来るという強みがあります。時間短縮勤務をしている分、その立場だからこそ分かることを、仕事に活かせるようにと考えています。
将来の夢や、これからどのようなことをしたいという目標はありますか?
今までなかったような面白い商品を作りたいです。今期でいえば、ペコちゃんのランドセルを発売しました。人形や雑貨以外の、これまでになかった何か違うものでお客様に求められるものを作りたいと思いました。ランドセルメーカーとの交渉から始まり、幾多の調整を経て製品化に至りました。今までのペコちゃんのイメージを大切にしつつ、ペコちゃんの新しい魅力をアピールできる企画に取り組み続けたいです。
大学生にメッセージをお願いします。
会社に入るとなかなか時間がないですし、長期でお休みがとれるのは学生の特権なので、海外などいろいろなところに行ってみるとよいと思います。さまざまな考え方に接して、多くのことを経験することで、こういう風になりたいとか、具体的に就きたい職業も見つかるかもしれません。たくさんの場所を訪れたり、アルバイトをしたりすることは大事です。
もちろん一つのことを継続することはとても重要ですが、一方でアルバイトなどのさまざまな事柄にチャレンジすることで、この職業は自分に向いている、向いていないということも身をもってわかると思います。実際にその職業に就くためには、どうすることが必要なのかという、より具体的なことも見えてくるかもしれません。
インタビューを終えて(ハナジョブ学生記者)
今回お話を伺って、私も今せっかくある時間と学べる環境を持て余さずにたくさんのことを吸収していきたいです。自分の努力が商品につながっていくことは、とてもやりがいに満ちたお仕事だと思います。どうもありがとうございました。