自らアメリカ行きを志願して、商品発掘のプロジェクトに挑戦した荒川さん。学生時代は、子育てしながら働き続ける自分の姿を想像していなかったそうです。マーチャンダイザーとして様々な仕事を経験された荒川さんに、仕事のやりがいや家庭との両立について伺いました。(2011年9月時点の情報です)
「相手の立場にたった仕事を心がけている」という荒川さんのワークスタイルとは?
現在のお仕事の内容を教えてください。
国分の独自ブランドK&Kの販売促進をしています。8月8日に、弊社の本社一階にセレクトショップ「ROJI日本橋」をオープンしたので、現在は主にその店舗運営、販売企画を担当しています。セレクトショップではK&Kブランドに限らず、弊社が開発した商品を販売する予定です。
現在のお仕事につくまで、どのようなお仕事を経験されましたか?
入社後、まず物流システム担当になりました。弊社には全国各地に物流センターがあり、センターに導入している物流システムのサポートを行いました。他にも、新しい物流センターを立ち上げる際には現地に入って運用作業教育やトラブル時のサポートをしていました。
4年間、物流システムに携わって、物流センターを運営するための仕組みや物流システムのことは理解できましたが、国分が販売している商品の知識があまりありませんでした。それで、国分の商品自体を知りたい思いが強まり、一番商品に触れることができる商品統括部への移動を希望しました。2006年10月にK&Kの商品を扱う食品統括部に異動しました。
食品統括部では、新規の商品開発の担当だったときもあれば、営業のサポートをしていたときもあります。2010年の4月から育休に入って今年の4月に復職しました。現在は、セレクトショップの開店準備をしています。同じ食品統括部の中でも色々な役割があるんです。私は1年単位くらいで仕事内容が変わりました。この間には半年ほど、アメリカにも行きました。
アメリカではどんなお仕事をされたんですか?
弊社では「海外チャレンジャー」という制度があります。自主的に何かやりたいと手を上げれば、海外に行って期間限定で色々なことにチャレンジできます。私はその制度を利用して、2007年11月から半年間、同期の女性社員と共にアメリカに行きました。目的は、日本に輸入して販売する新規の商品を見つける“商品発掘”です。現地スーパーに出かけて、興味のある商品を購入し、100商品くらい試食をしました。国内販売に向けて約30社と交渉し、実際に輸入に至ったのが2社になります。
英語に関しては、高校生の時に1年間留学をしていたので、何となくはわかりましたが、ビジネス上の言い回しなど、会話にはやはり苦労しました。ですが、海外でのプロジェクトでは、語学力よりもチャレンジ精神が大切だと思います。
荒川さんの学生時代と、国分株式会社に入社したきっかけを教えてください。
就職活動を始めたときは、化粧品会社に勤めたいと思っていたので、化粧品会社を片っ端から受けましたが、全部落ちてしまいました。自分の身の周りにある化粧品や食品など、身近な商品を扱っている会社を受けましたね。
弊社は食品卸の会社ですが、最初は仕事のイメージが湧きませんでした。でも、会社の説明をしてくれた人事の方や面接官の方の印象がとても良かったんです。1次面接から1対1で30分程度の長い時間を割いてくれて、じっくりと話を聞いてくれたので、人との繋がりを大切にする会社なのではないかなと思いました。その印象もあって国分に入社を決めました。
仕事の楽しさややりがいを教えてください。
仕事では、自分がこの程度しかできないと思っていても、それ以上を要求されることがあります。その差を埋めるために、自分の中で色々悩んだり苦しんだりしますし、怒られることもあります。でも、乗り越えたときに、怒られた人にも認めてもらえて、良好な人間関係が築けたときには嬉しく思いますね。仕事をすることで、自分がレベルアップできた10年間でした。
仕事をする上での苦労はありますか?
学生のときとは違い、仕事では色々な人と接するので、自分と合わない人ともうまく仕事をしていかなければいけません。学生の頃は、人間関係を人のせいにしてしまうところがありました。しかし最近は、好き嫌いで判断するのではなく、仕事の目的を達成するためには様々な人の知恵や協力が大事だと思うようになりました。
仕事で心がけていることはありますか?
自分の立場だけではなくて、相手の立場に立って物事を考えるように心がけています。仕事は担当によって、それぞれの責任や目的があるので、部署と部署が相反することがあります。例えば、商品開発をする人は、品質を保つために商品にコストをかけます。しかし、商品を売る人は、価格を抑えて消費者に売りたいと考えます。こういうときは、全体を見て、相手の立場に立って考えお互いの着地点を見つけることで、スムーズに仕事が進むようになりました。
経験してみないと分からないこともある!と語る荒川さんの仕事観とは?
荒川さんにとって、仕事とは何ですか?
なくてはならないものです。
1年間育休を取り、仕事をしていない時が1年ありましたが、その時期を経験して、私にとって仕事はなくてはならないものだと実感しました。入社して産休を取るまでは、仕事が忙しくて辞めたいと思うときもありました。でも、いざ本当に仕事をやらなくなると、やっぱり仕事を辞めたくなかったんだなと思いました。
子育ては結果が明確には見えない部分もありますが、仕事は1つのプロジェクトの成功や給料など、形になって結果が表れます。それがやりがいにもつながります。人それぞれだと思いますが、私は育児の方が大変だなと思いました。
どのようにして家庭と仕事を両立させているのですか?
全部完璧にこなそうとするのは難しいので、夫と分担して家事と育児をしています。例えば、幼稚園の送りには主人が行って、迎えは私が行くなど、工夫しています。
まだ復職して2カ月しか経っていませんが、復職したての頃は、子供が熱を出して週に2、3日休まなくてはいけない時期がありました。それが毎週続いたので、熱を出す子供に対して「またか」と思ったり、そう思ってしまう自分に自己嫌悪になったりしていました。今は、先輩ママや学生時代の友達にアドバイスをもらいながら、試行錯誤の毎日を過ごしています。
これからどんなことをしたいと考えていますか?
仕事の仕方やライフスタイルを子供に肯定してもらえるようになりたいですね。仕事をしていることで、子供に寂しい思いをさせてしまったら、肯定はしてもらえないと思うので。
学生へのメッセージをお願いします。
いま振り返ってみると、学生時代に友達になった人とは、社会人になってから知り合う人とはまた違う絆があると感じます。そして社会人になると、年を重ねるごとに、仕事をして結婚して出産して育児をして、など自分の時間がどんどん少なくなります。
好きなことを思いっきりできる時期は、学生時代しかないと思うので、自分のやりたいことに時間を使ってチャレンジしてください。その経験は、社会に出てからも生かされると思います。
私は、学生時代には全然知らなかった職種に就いて仕事をしています。
経験しないと分からないこともあるし、今知っている知識だけで狭く考えるより、もっと視野を広げて様々職種に興味を持つようにすると、未来は開けていくはずです。
インタビューを終えて(ハナジョブ学生記者)
今知っている知識で狭く考える必要はない、というお話がとても印象に残りました。私は、これから社会人になる前の期待と不安がありましたが、来年からたくさんのことに挑戦して、視野を広げたいと思いました。荒川さん、ご協力ありがとうございました。
お仕事紹介(マーチャンダイザー)
商品の開発から販売に至るまでの全てのプロセスの企画・設計に携わり、マーケティングや、原材料の調達・製造ラインの選定・品質管理などの一切の権限をもつ担当者がマーチャンダイザーです。
荒川さんは、K&Kブランドの販促を担当。食品統括部で、新規の商品開発や営業のサポート、輸入商品の販売、ショップの運営など様々なことを行っています。
国分株式会社
酒類・食品卸売業。2012年に創業300周年を迎える老舗企業。生活者の視点を出発点に、加工食品・酒類・菓子・低温商品・農産物・水産物など約60万アイテムを品揃えし、様々な業態の小売業や外食チェーンに販売している。缶詰をはじめとした自社ブランド「K&K」は100年にわたってご愛顧をいただく安全・安心のブランド。
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