偶然出会った、地球を相手にする仕事(国際石油開発帝石)

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みなさんの生活に欠かせない「石油・天然ガス」の開発・生産に携わる仕事に目を向けたことはありますか?今回は偶然の出会いに導かれて石油開発業界で技術職として働く、大竹真由さんにお話を伺いました。大竹さんは高度な専門性が求められる技術系としてのキャリアを積み上げてきた一方で、3人のお子さんの母親としても日々奮闘しています。そんな大竹さんは、これまでどのように仕事と子育てに向き合ってきたのでしょうか。(2016年11月時点の情報です)

コアにあるのは、操業現場での経験

現在のお仕事と、これまでどのようなお仕事を経験されてきたのかを教えてください。

現在は、新卒技術系社員の採用や育成を行う部署で、マネージャーとして働いており、新入社員研修チーム、採用チーム、育成チームの3つのチームを統括しています。

採用活動に加え、海外への派遣や最適な部署への配置などを検討することで、技術系社員が立派な技術者に成長することを支援する部署です。

入社して初めて担当した仕事は、新潟県にあるガス田の操業管理です。

現場で石油・天然ガス開発事業の基本を学んだ後、5年目からは本社の技術本部に異動し、海外の油ガス田の評価作業として地下データの計算やシミュレーション等に取り組みました。その中で、石油・天然ガスをより効率的に採取できる方法を提案することもありました。

その後は当社が参画するアメリカやアフリカの石油開発プロジェクトの予算管理やパートナーへの技術提案など、プロジェクト全体を管理する業務に従事しました。

一番印象に残っているのはどの仕事ですか?

やはり最初の新潟県の操業現場ですね。任された業務が、「天然ガスが商業的に生産できる期間は向こう何十年か」という、ガス田の将来予測(寿命のようなもの)を行うためのデータの取得でした。

データ取得の計画を立て、現場作業員の方々に計画を説明し、了承を得て作業を実施し、取得したデータを上長へレポーティングするのが仕事の一連の流れでした。

入社して最初に取り組んだ業務ということもあり、その後のキャリアを積み上げてきた中で、仕事の仕方や仕事への取り組み姿勢を学んだ、自分自身のコアになった経験だと思います。

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なぜ、大竹さんのコアになっているのですか?

石油開発会社にとっては、地下にある石油・天然ガスを探して、開発・生産し、最終的には販売してマネタイズすることが、ビジネスの基本的なフローになります。

ここで重要なのは、企業が将来のキャッシュになる石油・天然ガスの埋蔵量をどの程度保有しているかです。つまり、石油・天然ガスの埋蔵量を正確に数字として算出する業務は、会社の企業価値を把握する上でとても重要な業務になります。

また、地下の石油・天然ガスの埋蔵量計算に加えて、効率的に石油・天然ガスを採取することも大事な業務です。地下を実際に目で見ることはできないので、かなり大変な作業です。

地下のデータをかき集めて、地下の様子を三次元モデルで推測したりしますが、これは技術者の腕が試される場面でもあり、経験のある技術者でも予測が当たらないこともあります。

私自身は、データから地下の状態を推測して、実際の井戸の掘削を通じて推測の良し悪しの結果がはっきりと出るところが面白いなと思って入社しましたし、地下を探る作業は入社当時にやりたいことでもあったので、自分自身にとってコアな経験と言えるのかもしれません。

「地下のことを知るって、なんだか面白そう」そんな直感から石油工学の道へ。

実際の仕事のイメージが湧いてきました。そもそも、石油などの地下資源に関心を抱いたのはなぜですか?

本当に偶然です。大学受験では第一志望の物理専攻は落ちてしまい、深く考えずに第二志望として丸を付けた資源工学科に進むことになりました。

そして、面白い先生だなと思って選んだのが石油工学の研究室でした。はじめは地下の資源に対してそこまで興味がありませんでしたが、研究室に入って半年程でその魅力に気づきました。

そんな偶然の出会いが、INPEX(前身の帝国石油株式会社)への入社に繋がるのですね。

そうですね。学部生の頃から当社の社員と学会などで接点がありましたし、学内説明会に来た社員の方が目を輝かせて地下資源や石油開発の話をしている姿をみて、話の中身はよくわからないけれど、なんだか面白そうだと思ったんです。

就職した1999年頃は氷河期真っ只中で、特に女子学生には、採用案内がなかなか届きませんでした。そんな状況でしたから、入社する会社を選んだというよりは、唯一目の前にあったチャンスをつかんだということかもしれません。

学生時代に学業以外に取り組んだことをお聞かせください。

旅行が好きで、長い休みを利用して海外に行くことが多かったですね。

当時はバックパック旅行が世の中に出てきたような時代で、費用もかからず学生でも行きやすかったです。海外に行ってみると知らない世界ってこんなにあるんだなと思いました。

旅行先で出会った人の話を聞いて、今度はあそこの国に行こうという具合に、次から次へ旅したおかげで学生時代だけでも15~16か国へ行きました。

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一番のチャレンジは、子育てのために残業ゼロで働くこと!

大竹さんは働きはじめて17年目ですが、そもそも「仕事」をどのように捉えていますか?

ありきたりですが、成長の場でしょうか。

振り返ると仕事がなければ挑戦する場ってそんなになかったと思います。仕事を通じて挑戦することで、自分自身が成長していくと思います。

これまでで一番大きなチャレンジは何だったのですか?

第一子を産んで会社に戻った時のことです。入社3年目の出来事でまだ石油開発のイロハを学んでいる最中でしたので、「とてもこのままでは辞められない」と復帰したことを覚えています。

まだ業務自体も十分に慣れていない中、子育てに追われるといった状況になり、どうやって進んでいけば良いのか皆目わからない、まさに五里霧中の状態でした。

仕事のやり方では苦労されたのですね。

はい。とにかく残業ができないことが大変でした。INPEXの前身の会社は昔ながらの気質で、みんなが遅くまで残っていました。

私も若い頃は土日もずっと会社にいて、会議の前は徹夜で準備をすることもありました。それが当たり前の環境で残業せずにやっていくのは相当しんどかったですね。

それをどのように乗り越えたのですか?

1人目の子育てのときは工夫も何もなく、「とにかく目の前の仕事を終わらせる」という気持ちでやっていました。

2008年に会社が経営統合してからは時間内に業務を終わらせる雰囲気が醸成されてきましたし、また私も様々な業務経験を通じて、仕事の優先順位をつけて時間の使い方を上手く工夫できるようになりました。

あとは、これだけはやるぞという部分は手離さず、それ以外のことは仕方ないと割り切ることも時には必要ですよね。

例えば、私はスマホを持っていません。持つと便利だろうなとは思いますが、他に楽しみたいことがあるので、私にはスマホを見る時間的余裕がないんです。周りに流されないということも大切です。

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自分の内なる声を大切にしてほしい

現在取り組む技術系社員の採用や教育業務の面白さを教えてください。

学生インターンシップの企画や若手社員の育成を支援する業務に従事しています。

正直言えば、異動前の地下の埋蔵量を評価する仕事が好きだったので、そこから一旦離れなければならないことにはじめは戸惑いもありました。

ただ、私たちのちょっとした手助けで、悩みながら仕事をしている若手社員がやる気を出す様子をみたりすると、嬉しい気持ちになり、やりがいを感じています。

今の部署で力を入れたいことは何ですか?

多くの学生さんに、日本ではマイナーな石油開発業界を少しでも知ってもらいたいと思っています。

学生インターンシップの企画でも、石油工学以外の専攻の学生さんにも参加していただけるように工夫しています。

エネルギーは私たちの生活と密接に結びついているものです。

食べ物の産地を確認するように、石油や天然ガスについても、産地からみなさんの手元までどのようにしてたどり着くのか興味を持ってほしいと思いますね。

私は今までエネルギー開発業界には興味を持てずにいたのですが…、エネルギーに関わる仕事の面白さはどこにあると感じていますか?

地球を相手にする仕事である、という言葉に尽きると思います。

油田も2つとして同じものはないですし、石油・天然ガスを地下から採取するための井戸も一本一本違います。自然相手であり、私たちのコントロールがかなり効かないので、謙虚な姿勢で臨むことが肝要です。

これから挑戦したいことはありますか?

海外赴任を経験したいですね。当社技術系社員のほとんどは3~5年の海外勤務を経験しています。

私自身は、海外出張に何度も行っていますが、長期で滞在したことがありません。せっかくこのような環境にいるので、いずれ挑戦したいと思っています。

大竹さんの譲れないものは、何なのでしょうか?

仕事はやっぱり譲れないものですし、家族が幸せであることも譲れません。

そして、今はそれらに加えて趣味の踊りですね。子どもと一緒に入った、地域の踊りのチームでの活動なのですが、良い生活のリズムになっています。スポーツ観戦も好きで、子どもが勉強していようが、構わず一人で球場に行くこともありますね。

最後に、学生へのメッセージをお願いします。

今の学生さんは情報に溢れた環境にいるので、情報の取捨選択という面が逆に大変ではないかと思います。

私の人生を振り返っても、偶然に左右されたことが多いと感じています。

人生はそれほど上手にコントロールできるものではないので、そうした中で「楽しむ」ことを大切にすれば、どんな状況でも溌剌とするのではないでしょうか。そして、直感を信じて、自分の内なる声を大事にしてほしいなと思いますね。

取材を終えて

私とは縁の遠かった石油開発業界ですが、インタビューを通して身近に感じるようになりました。

大竹さんは譲れないものを大切にしながらも、時には状況に身を任せて仕事を楽しもうとしてらっしゃる姿が印象的でした。大竹さん、ありがとうございました!

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国際石油開発帝石(INPEX)は、日本最大の石油・天然ガス開発企業です。同社は、世界でも有数の規模となるオーストラリア・イクシスLNG(液化天然ガス)プロジェクトに日本企業ではじめてオペレーター(操業主体)として取り組む他、世界20数ヶ国で約70のプロジェクトを推進し、エネルギーの安定的かつ効率的な供給を実現することを通じて、豊かな社会づくりに貢献する企業を目指します。ウェブサイトはこちら

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About Author

大石真子

興味があるのは、ジェンダー、「働くこと」に関するあれこれ。高校生のときに運命的に出会ったハナジョブ。一人ひとりの想いが伝わるような記事を書いていきたいと思います!中高の6年間、女子校で育ちました。趣味・特技は、始めて9年目になる華道。よく、笑顔を褒められます!

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