99%は苦行。だけど1%の喜びがたまらない(NHK)

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テレビ局で働くことは一見華やかなイメージを抱きがちですが、1つの番組を作るのに、多くの人の努力でやっと成り立つそうです。放送直前まで未完成なこともしばしば…でも番組が出来上がったときの喜びは、何にも代えがたいものだそうです。そんな番組制作の裏側をお聞きしました。

「99%は苦行。だけど1%の喜びがたまらない」~テレビ番組を制作することとは?~

現在のお仕事内容を教えてください

毎週火曜日10時から放送している「プロフェッショナル」の番組立ち上げから携わっていて、デスクという仕事をしています。

デスクはディレクター(自分で取材し、番組を作る)とプロデューサー(番組の方向性を決め、制作における責任を負う統括)の間にあるような立場ですね。「プロフェッショナル」は取材対象者に張り付いて取材することが多いので、ディレクターの自己判断に任せられることが多いです。

デスクは、ディレクターの話を聞きながら、フォローしたり、構成についてアドバイスをしたりします。視聴者としてはこういう視点があった方がいいんじゃないか、あるいは先輩として、こういうところを留意して構成しないと、など違った視点で番組にアプローチするわけです。特に、「プロフェッショナル」の制作は本当に一言一句、間違いがないかを番組開始直前までチェックしていますね。

私は自分のことを「商店街の相談おばさん」だと思っています(笑)。ディレクターたちは個人商店みたいなものですから。

あと、自分も実際に取材に行くことも多いです。誰を取り上げるか、という取材はデスクが率先してやります。実際に会うということはとても大事です。取材対象者に会って話すことで、その人がどういう人か分かります。耳にはしていたけどピンと来なかったという人に、実際お会いして「この人はぜひ番組で取り上げたい!」と思うこともありますね。

現在のお仕事に就くまでどのようなお仕事をされてきたのでしょうか?

入局してすぐに、ディレクターとして新潟局に配属になりました。そこでは本当にいろんな仕事をしました。5分程度のローカル放送を作ったり、高校野球のときにカメラマンにおしぼりを配ったりなんかも…あとは選挙の放送のときに、マスコミ関係者のマイクのとりまとめを行いました。東京のキャスターと候補者のかけあいを、どのテレビ局が何番目にやるかなどの割り振りを行うんですが、マイクのとりまとめをテレビ局の分だけやっていたら新聞社の方に怒られちゃったり(笑)。なかなか経験できないことですね。

新潟にいたころは農業問題や社会事件についての番組制作が多かったのですが、4年目に本部の社会情報番組の部署に配属され、「クローズアップ現代」の制作や「NHKスペシャル」の制作などにも携わりました。結婚・出産した後には、BSハイビジョンの「いま裸にしたい男たち」という2時間ドキュメンタリーの制作も行いましたね。

その後、夫の転勤についていくために大阪に転勤し、東京に戻ってきたあとはデスクになり、「プロフェショナル」の制作に携わりました。立ち上げの際には1年間いろんなところに行って、取材先を探しまわっていましたね。その後にまた、出産・育休を経て、今の部署に戻ってきました。

細田さんはどんな学生時代を過ごしてらっしゃいましたか?またNHKに入局を決めたきっかけを教えてください

学生時代はミーハーでした(笑)。そもそも私が大学に入ってやりたいことは、テニスサークルに入ってダンスパーティーに行くことだったんです!当時はディスコに行ってワンレン・ボディコンで踊ってました。そのころ女子大生がラジオのDJをするミスDJにもあこがれていて、そういうお仕事もやってました。

一見派手な生活を送っていたのですが、一方で、放送研究会に所属して、地道にビデオで興味のあることを撮影していました。でもそういう撮影がすごく楽しかったです。村上春樹の「ノルウェイの森」にどっぷりハマってしまっていろいろと考え込んでしまったことも。どん底まで考え詰めたときに、もっと輝きたい、最前線で活躍したいと思うようになって、マスコミへの就職を考えるようになりました。NHKに決めたのは、ディレクター職があったので、年をとっても番組制作に携わることができる!と思ったことです。

「私の軸は番組が好きということ。それだけは大切にしたい。」~細田さんの仕事観とは?~

仕事の楽しさと苦労を教えてください。

頻度でいうとほとんど苦しいことばかりです。「プロフェッショナル」ではさすがにそういうことはありませんが、番組放送日が目前にせまっているのに、取材対象者からOKをもらっていないときは本当にどうしよー!って思いますね。でもそうやって苦労した番組はとてもおもしろくなるんです。試写会で「おもしろい!」と言われた時には、思わずトイレでうれし泣きしましたね。

番組が終わるころには頭が真っ白になるくらい苦しかったりするんですが、「この番組はお前しかできない」と言われると、その苦しみがふっとぶくらいうれしくなりますね。同僚や視聴者、家族などから、自分の番組をおもしろいと言ってもらえることが何にも代えがたい喜びです。

家庭も仕事もうまくいかず、モチベーションが上がらないときは苦しいです。でも自分のアイデアで番組がおもしろくなったり、ぱっとアイデアがひらめいたりしたときには、苦しい中にも一筋の光のように喜びがありますね。

仕事で心掛けていること、大事にしている思いを教えてください。

「謙虚である」ってことかな。
番組、視聴者、そして取材相手や同僚に対しても、謙虚であることですね。何十年も番組を作っていると、つい経験則に頼って、楽をしてしまいがちです。そうではなくて、常に真摯に真実を突き止めようとすることこそ、取材者として番組制作者としての謙虚さではないかと思います。取材相手の本当のことを知りたいと思ったら「このへんでいい」と思うことはまずないですね。

また「謙虚」というのは、物の言い方にもあらわれます。「自分が一番」とか「自分はできる」とクリエイターは思いがちだけど、そういうのは一番見苦しいと思っています。常に自己批判し、自分にごう慢さがないか考え、周りや相手の人の気持ち・アイデアを尊重する心が大切だと思います。

私の軸は番組が好きということ。それだけは大切にしたい。

細田さんにとって仕事とは何ですか?

生きることですね。働かずにはいられないです。一時期専業主婦にあこがれて、実際、産休・育休中のつかの間、“専業主婦”状態を経験したんですが、やっぱり無理だなと思ってしまいました。

休んでいる間、いろいろ考えてわかったのは、自分は「番組」が好きだという、とてもシンプルなことでした。どんなに辛くても、番組が好きという気持ちがあればやっていけると思っています。

細田さんは仕事と家庭をどのように両立させているのでしょうか?

私は番組のことを考えていると、家でも何も手につかないんですよ。でもそんな時でも夫は文句や嫌みを言いながらも、家事をしてくれるし、いろいろ助けてくれます。両立はできていないと思います(笑)。けれど徹夜で仕事をしたときでも朝の支度は欠かさずやって、子供を送り出すようにはしています。他には地域のファミリーサポートなどを利用してますね。

あとは、子供をしっかり観察するようにしています。子供の様子がおかしいときはいったん止まって、話すようにしています。そこはディレクター魂ですかね、見逃さないようにしています。

細田さんの将来の夢を教えてください

仕事の面では、死ぬ気で番組を作りたいと思っています。私たちの日常生活にはドロドロした部分って多いと思うんですが、そういった部分をドキュメンタリーで描きたいです。ドロドロしているんだけど、爽快感がある。そういった番組を作りたいです。

私はこれまで、正直、自分が女性であることや、子供がいることはデメリットだと思っていたこともありました。が、「デメリットはメリットになりうるんじゃないか」ということで、そういう視点から、新しい世界を作り上げて行けたらと思います。プライベートでは夫と二人で海外旅行にのんびり行きたいですね。あと、一人旅なんかもしたいです。

細田さんの休日の過ごし方を教えてください

仕事ばっかりで趣味が少ないんですよ!でもブログで、日々のどん底話などを書いてます(笑)。休日は家事や子供たちに追われていますね。でもこれからは自分自身を大切にする時間も作りたいです。自分を大事にすると、自分に余裕ができて、家族や周りに優しくなれますから。

これから同じ職業に就きたいと思っている人にアドバイスをお願いします

人はどん底に落ちそうになったときについ楽な方へ逃げたくなりますが、とことんどん底になった自分を見つめて、さらにそれを言語化できるようになった方がいいと思います。自分をしっかり見つめて、どん底の経験をユーモアたっぷりに語れるようになれば、生きる上でも強くなれると思いますよ。

女子大生にメッセージをどうぞ

もっと「恋愛」をした方がいいと思います。軽いのじゃなくて、一人の人にきちんと向き合う恋愛。気持ちがどん底になるし(笑)。案外自分自身の新しい部分に気づくことができると思うんですよ。ドロドロした部分に出会っても決して逃げないで立ち向かってください。

インタビューを終えて(学生記者:中並沙緒理)

「番組に対してとても貪欲で、アグレッシブな人」私が抱いた細田さんの印象でした。決して仕事に妥協せず、常に真摯に取り組む姿がとても魅力的でした。
細田さんのパワフルさが番組や周りの人たちに影響を与えていることが分かりました。
これからも、面白い番組を視聴者として楽しみにしています!ありがとうございました。

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ハナジョブ学生記者

2008年〜2016年までの学生記者たち

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